茂倉信号場配線図
上越線配線図 その6(湯檜曽~岩原スキー場前)の記事に対し、先日NZさんよりコメントをいただきました。
その中に『鉄道技術発達史 第3篇 電気』(1958年 日本国有鉄道)から引用された文章がありましたので、ここで再掲します。
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昭和24年7月茂倉信号場の遠隔制御装置が使用開始された。これは国鉄初めての継電連動装置による遠隔制御であって、種々の新しい設備を含み、茂倉信号場が我国最長の清水隧道内にあるという事柄と併せて技術上、経済上、職員の厚生衛生上種々な問題を投出している。図-82は茂倉信号場の連動図表である。
茂倉信号場は上越線清水隧道の真中にある行違設備を有する信号場であって、本装置完成以前は12名の駅員が隧道入口より4粁も奥の全然陽の目も見えない所に、日勤(8〜16時)及び夜勤(16〜翌日8時)の2交代勤務で従事していた。即ちこの隧道内の設備は元第一種電気乙連動装置であったのを、第一種継電連動装置に変えて、その連動機を土合に移し、土合駅より遠隔制御するのである。尚隧道内にも信号機や転轍機を保守する上の試験用を兼ね予備として、小型卓上用継電連動機が設けてある。遠隔制御用継電連動機はデスク型で共に進路挺子式である。
連動機の制御盤には信号表示、転轍表示、軌道表示及び閉塞挺子表示(本信号場は連動閉塞式区間)等の表示灯は勿論のこと、列車接近及び停電表示等を有し、之等の表示は何れも連続表示となっている。又土合信号扱所から茂倉信号場構内に居る列車乗務員その他を呼出すことが出来るように、制御盤上に呼出押釦をおき、之を押して隧道内の大型電鈴を鳴し、電話にかぶることを命ずるようになっている。その他運転上必要とするものは全部整っている。
本装置の特徴とするところは、上記のような諸設備を動作させるために、土合駅からの制御条件が21条件、又茂倉信号場からの表示が32条件となるのであるが、この多数の条件を唯15本の電線で間に合せていることである。即ち交直重畳式の継電器組合せ及び分解を使った電気結線方式による遠隔制御別回路(図-83参照)を採用して、土合.茂倉間4.7粁間に1.6粍19心のゴムケーブル1本を布設するだけで用を辯じている。
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この文章の中で示されている図-82をNZさんから別途ご紹介いただきましたのでここに掲げます。NZさん、ありがとうございます。
・列車交換のための信号場で、交換の際は下り列車は二番線、上り列車は一番線に進入します。下り列車を二番線に待たせた状態で上り列車が一番線を通過する場合は分岐器による速度制限を受けませんが、逆に上り列車を待たせた状態で下り列車を通過させる場合は速度制限を受けます。
・但し列車交換が行われない場合は下り列車が二番線を速度制限を受けずに通過できるようになっており、いわば「セミ一線スルー」とも言える特徴的な設備です。当時としては画期的だったのかもしれません。
・連動装置は進路てこ式です。下り列車を一番線通過とする場合は5R反位→2R反位で5Rが鎖錠されますので4Rには関係なく進路が構成できそうですが、二番線通過の場合は5R反位→3R反位→2R反位と、先に3Rを引いておく必要がありそうです。この場合5Rが3Rと2Rの両方でダブって鎖錠されることになります。
・下り遠方信号機は2基設けられています。
・7TK、8TKは轍査区間開通表示灯という名称らしいですが、要するに限界表示灯です。
・信号反応器というものはよくわかりません。
従来は電気連動装置であったため人による操作が不可欠だったものを、継電化により遠隔操作を国鉄で初めて可能としたということからは、いかに職員の労働環境が劣悪であったかを想像させてくれます。
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