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2024年9月25日 (水)

南千歳の右側通行

前回の記事で、mulapaoさんから南千歳駅での快速エアポートの右側通行が左側通行に変わったことに関するコメントをいただきました。その理由に関しては私もよく知りませんでしたので、この機会にちょっと調べてみることにしました。
なお、「調べてみる」というのは、左側通行に変更になった理由に関する公式文書等を探す、ということではありません。列車の運転状況等からその理由を考察・推測する、という意味ですので、悪しからず、です(汗)。

 

まず、Wikipediaの南千歳駅の項目には2020年3月14日より右側通行から左側通行に変更になったとの記述があり、その根拠として以下の資料が掲げられています。

2020.3.14 ダイヤ改正|JR北海道- Hokkaido Railway Company (archive.org)

この資料の中には『快速「エアポート」の増発により運転間隔が狭まったため、こ線橋による乗り換えとなります』と記されており、右側通行から左側通行に変更になったことが窺えます。
そこで改正前後で快速エアポートの運転状況がどう変化したのかを確認するために列車ダイヤを作成したかったのですが、残念ながら2020年3月改正前後の時刻表を持ち合わせておりません(汗)。
そこで、若干乱暴ではありますが、このJR北海道の資料に掲載されている以下の快速エアポートの運転パターンの例から列車ダイヤを作成してみることにしました。
202003141000
ダイヤ作成に当たっては
・札幌→南千歳 所要33分
・南千歳→新千歳空港 所要4分
・新千歳空港→南千歳 所要3分
・下りは南千歳で1分停車
という条件を設定しました。

まず改正前です。(①)
202002ctmc
この時点では快速エアポートは15分間隔で、南千歳駅では右側通行です。
新千歳空港駅での到着~出発の間隔は3分程度しかありませんので、折り返しはおそらく段落としではないかと思います。
202000062ctmc
南千歳駅を右側通行とすれば乗り換えの利便性は向上しますが、反面デメリットとして上下の快速エアポートが南千歳駅の札幌方で交差するため上りの到着と下りの出発が同時に行えないということがあります。
20200006ctmc
改正前においては上記①の通り上下の快速エアポートのすれ違いは南千歳駅から離れた札幌寄りの地点になっており、この交差が問題にならないように設定されています。

ここで増発を行って12分間隔にした場合を考えてみます。前述の①を単純に12分間隔に詰めたものです。
202003ictmc
列車間隔が狭まったことにより上下の快速エアポートのすれ違い地点がかなり南千歳駅に近いところになってしまい、交差の影響が出そうです。右側通行を維持しようとすると複線区間でありながらまさかの「対向列車待ち」が発生してしまうわけで、このままではちょっと具合が悪いですね。

では実際には改正後はどうなったのか、というと、同様に先の改正後の運転パターンから作成したダイヤは次のようになります。202003ctmc
上下の快速エアポートのすれ違いは南千歳駅で行うようになっています。
この状態でも南千歳駅で下りが出発する前に上りが到着するようにダイヤを設定すれば右側通行も理論上は不可能ではありません。しかしながら列車の遅れが発生した場合にはやはり「複線区間での対向列車待ち」が発生してしまうことになりますので、このため、残念ではありますが右側通行を断念したのではないかと推測しています。
ただちょっと気になるのは、下りが新千歳空港駅に到着してから次の上りが出発するまで5分程度の時間があることです。これをもっと詰めれば下図のように上下の列車のすれ違い場所を南千歳駅の札幌寄りに移動させることができ、
202003mctmc
南千歳駅の右側通行を維持できそうな気もするのですが、実際にはそうはなっていません。やはりダイヤの乱れを考えたときのための余裕が少ないからでしょうか。

 

以上のように、12分間隔の運転であっても新千歳空港駅での下り到着~上り出発の時間を詰めれば上下の快速エアポートのすれ違いを南千歳駅の札幌寄りの場所にでき、南千歳駅で右側通行を行うことは可能そうに見えます。しかしながら実際に起こるであろういろいろなトラブルによる遅延を見込んで、南千歳駅を左側通行に変更したうえで南千歳駅でのすれ違いにしているのかもしれません。右側通行であるが故の苦労も多かったのかも。あくまで推測ですが(汗)。

 

参考までに、時刻表2015年4月号と2024年9月号からダイヤを作成してみますと以下のようになります。201504ctmc

202409ctmc
今年(2024年)の6月に快速エアポートはさらに増発されて10分間隔になっています。スゴい運転本数ですね。南千歳~新千歳空港間はこれ以上の増発の余地はなさそうです。
さすがにここまで運転間隔が狭まると南千歳駅でのすれ違いにせざるを得ないように思います。ひょっとしたら2020年時点でここまでの増発を見越していたのかもしれませんね。



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コメント

いつもながら説得力のある考察ありがとうございます。これはほぼ正解なのではと思います(スッキリしました)。確かに単線区間を含んだ10分間隔運転では、何かことが起きたときに回復が容易ではありませんね。危険の芽はあらかじめ摘んでおくということなのでしょう。南千歳乗り換えについてはエレベーターで十分対応できるという統計などもあるのかもしれません。それにしても、かつての線路容量が逼迫していた国鉄幹線のような事象が局所的に起こっているのは、とても興味深いです。
趣味的には南千歳・新千歳空港間を右側通行の複線化、なんて妄想をしてしまいますが、JR北海道の「中期経営計画2026」には新千歳空港駅のスルー化検討などが明記されていて、中長期的には不便な乗り換えも発展的に解消させたいのでしょう。

快速エアポートは設定当初、毎時4本の列車名の号数が、快速エアポートxxa号のうち、xxは発時刻(下り新千歳空港発/上り札幌発)で、aは下り奇数上り偶数の順番となっていました。


札幌11時台の新千歳空港行きは、110号、112号、114号、116号
空港12時台の札幌方面行きは、121号、123号、125号、127号

xx8号とxx9号は基本的に存在しませんでした。一瞬、増発余地かと思ったのですが、15分ヘッドなのでそのままでは増発余地はなかったのですが、毎時5本化でぴったり嵌ったので、そこまでは想定していたのかもしれません。

わずか数年で毎時6本化で、発時刻+順番の号数は崩壊しましたが(汗

mulapaoさん
>新千歳空港駅のスルー化検討
実現すれば画期的ですね。

北東航21さん
>列車名の号数
号数が妙な数字になっているなとは思ったのですが、それ以上は考えませんでした(汗)。なるほど、そういうルールだったのですね。

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