貨物の継送 1997年3月 2079列車 その2
今回も1997年の貨物時刻表の中の宮城野始発盛岡貨タ行きの2079列車についての話です。
前回の記事ではコンテナがどこから宮城野にやってくるのかについての話をしましたので、今回は宮城野を出発したあとどこに行くのか、についてです。
前回の記事にも書きました通り、大雑把には2079列車は以下のような、昔で言うところの解結貨物のような列車です。
①全国各地(基本的には宮城野より南)の駅からのコンテナがいろいろな貨物列車に積まれて宮城野に到着。
②これに宮城野発のコンテナを加えて整正され、2079列車として宮城野を出発。
③途中水沢で入換作業。水沢行き貨車を解放し、水沢発貨車を連結。
④六原でも入換作業。六原行き貨車を解放し、六原発貨車を連結。
⑤終点盛岡貨タに到着。盛岡貨タ行きのコンテナを取り降ろし。
⑥盛岡貨タより先の駅行きのコンテナは別の列車に積み替えられて目的地に向かう。
2079列車が水沢と六原に停車して貨車の入換を行う唯一の下り列車であることは前回の記事でも書きましたが、上りについても水沢で入換を行うのは1本だけ(盛岡貨タ始発名古屋貨タ行きの3082(~4077~3077)列車)で、六原に至っては入換を行う上り列車はありません。ですので水沢発着となるコンテナの全ては2079列車もしくは3082列車のいずれかに積まれ、六原発着となるコンテナの全ては2079列車に積まれることになります。
六原駅の配線はこんな感じです。(2000年7月)
東京方に渡り線がありませんので上り列車の入換ができないんですね。
水沢の場合は上下方向の列車が止まりますので、普通に考えれば北方面行きは2079列車、南方面行きは3082列車に積まれるように思うのですが、実際にはそうはなっていません。
六原の場合、六原行きのコンテナ輸送ルートが設定されている発駅は玉前、千葉貨物、宮城野、盛岡貨タの4駅だけ、六原発のコンテナの着駅は盛岡貨タ、富士、岐阜貨タ、能町、大阪貨タ、姫路貨物、鵜殿、西岡山、新居浜の9駅だけですが、発駅・着駅の所在地にかかわらず南からやってきて北に向かうことになります。
この中でも盛岡貨タ発六原行きはちょっとイレギュラーなルートで(上図の※印)、水沢で中継が行われます。水沢に停車する唯一の上下列車間で授受が行われるわけです。
それでは次に、前述の⑥の、「水沢・六原から発送されて各駅に向かうコンテナ、いったいどんな駅へ?」について、盛岡貨タを出発する時点での列車ごとにまとめると以下のようになります。
北海道行きや東青森行き、八戸貨物タ行きは2079列車としては順当な行先です。しかしそれ以外は、本来であれば3082列車の守備範囲ではないかと思われる南方面の駅行きばかりです。九州行きまであります。いったん盛岡貨タまで行って、引き返して南に向かうのです。このあたり、2079列車と3082列車の役割分担をどのような基準で決めているのかがナゾです。
詳しく見てみます。
・水沢及び六原から発送されて2079列車で盛岡貨タに到着したコンテナは図示の貨物列車で継送されて黄色に塗られた着駅に向かいます。着駅の左上のカタカナは設定されている発駅で、ミ:水沢発、ロ:六原発を表します(前述のとおり六原発は盛岡貨タを含めて9駅だけですのでほとんどは水沢発です)。宮城野発は盛岡貨タまで。
・3077列車は宮城野始発札幌貨タ行きで、札幌貨タから各方面に散っていきます。五稜郭行きもいったん札幌貨タまで行ってから戻ってきます。
・ここから先はいったん盛岡貨タまで行ってから戻ってくるパターンばかりです。
・盛岡貨タの次に宮城野で中継となるものも多く見受けられます。宮城野に向かうのは1554列車(大館始発青森(信)経由郡山貨タ行き)によるものと3076列車(札幌貨タ始発宮城野行き)によるものの2パターンあります。
・水沢からは矢板行きと宇都宮貨タ行きという輸送ルートが設定されています。矢板行きは宇都宮貨タで中継されますので水沢から宇都宮貨タまで両者はご一緒しそうなものですがそうはなっていません。矢板行きは上図の通り2079列車で盛岡貨タへ、そこから1554列車で宮城野に戻り、宮城野から3082列車に積まれて宇都宮貨タへ向かいます。一方の宇都宮貨タ行きは(2079列車とは関係がありませんのでこの図にはないのですが)水沢で最初から3082列車に積まれ、宮城野で水沢発の矢板行きと合流して宇都宮貨タに向かいます。この違いは何なんでしょう。
・また、似て非なるものとして、六原発の西岡山行きと水沢発の西岡山行きの例もあります。六原発は上図の通り2079列車でいったん盛岡に行ってから1554列車で宮城野に戻りますが、水沢発は3082列車で宮城野に向かいます。宮城野から西岡山まではご一緒です。
・富士行き、新居浜行きも同様です。六原発は2079列車、水沢発は3082列車です。
・盛岡貨タの次に隅田川で中継されるものも2パターンあります。常磐線方面は3050列車、北陸・長野方面は3070列車です。
・東海・名古屋方面行きは3082列車で西浜松・名古屋貨タ中継となります。
・広島・九州方面行きは4078列車で広島貨タ・福岡貨タ中継となります。
以上のように2079列車と3082列車は密接な関係のようですので、次回は3082列車について。
配線図はKASAさんよりご提供いただきました。
ありがとうございます。
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コメント
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六原発着の荷主は製紙工場のようですね。製紙工場は原料から紙まで一貫する工場と、原料からパルプまで、パルプから紙を別工場で行う場合とあり、六原は原料からパルプまでを担当したようです。
着駅をみると、富士・能町・鵜殿・新居浜はそれっぽいですね。
投稿: 北東航21 | 2024年2月 1日 (木) 08時35分
北東航21さん
情報ありがとうございます。
荷主や貨物の種類などが分かるとまた興味の幅が広がりそうです。今のところそこまでには至っていませんが(汗)。
投稿: f54560zg | 2024年2月 4日 (日) 22時03分