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2023年5月17日 (水)

上落合信号場の3R

前回の記事における上落合信号場の線路使用方についてのお話しの中で、若干言葉足らずな部分があったように思いましたので改めて整理してみます。

12199802ssko1
最初にこの配線図を見て「?」と思ったのは、3Rの進路が1番線なのか、2番線なのか、というところでした。普通に考えれば、左側通行ということで2番線ですよね。
ただここで妙に気になってしまったのは3Lです。対向となる進路の信号てこを共用して信号機相互の鎖錠を省略するというのはよく行われることで、実際、3L/3R以外の4L/4R、5L/5R、6L/6R、7L/7Rはすべてそうなっています。ですので3Rと3Lの進路は同じなのではないか、すなわち3Rの進路は1番線かもしれない、という疑念が生じてきました。

Wikipediaを見たところ、これに追い打ちをかけるように、歴史の項に「根室本線と石勝線の両列車がすれ違う際は前者が信号場の落合方で待機」と書かれていました。よってこの段階では、何かしっくりこないなぁとは感じつつも、私の中では「3Rの進路は1番線」ということでいったんは決着していました(Wikipediaの構造の項の「根室本線の列車は下り(新得・根室方面)が2番線」という記述にはこの時点では気づいていませんでした)。すなわち下図のようです。
12199802ssko2

しかし、いったんはこのように結論付けたものの、時間が経つとやっぱりモヤモヤしてきます・・・。そこで、「そうだ、根室本線の前面展望動画を見ればいいんじゃね?」ということで探してみました。

https://www.youtube.com/watch?v=E9qet5Z5FE8
富良野線~根室本線の下り列車の前面展望動画です。2015年5月の投稿で、旭川駅の高架化工事が完了していますので2010年10月以降の撮影と思われます。
こちらでは以下のような状況が確認できます。
2:03:30頃、3Rの進行現示に従ってトンネルに突入します。トンネルの中では線路は見えませんが。
2:04:20頃、前方に2つの色灯が見えてきます。左側が進行現示、右が停止現示です。そのまま通過します。

「あれ? なんだ、2番線じゃねーか!」
ここで一気に方向転換です。
その後、Wikipediaの構造の項にも気づいて、「3Rの進路は2番線」ということでスッキリしました。12199802ssko3

 

次に設備改修の可能性について。
1966年の上落合信号場開設時は根室本線の交換可能信号場として機能していたであろうこと、そして付近の広内(信)や西新得(信)の配線から類推するに上落合信号場が一線スルーであった可能性は低いことを考えると、開設当初は根室本線下り場内信号機の進路は2番線のみだったと思われます。
そしてその後にこれを1番線のみに変更すること、もしくは1番線と2番線の2進路に変更することについては、設備改修の費用と手間を考えますと、これを上回るメリットがあるとは思えないんですよね。むしろ、根室本線列車同士の交換ができなくなる(1番線のみにした場合)などデメリットのほうが目立つ気がします。
すなわち上落合信号場の根室本線下り場内信号機は開設以来ずっと2番線であって、改修は行われていないのではないかと考えます(自分から改修の可能性を書いておいてこんなことを言うのもアレですが(汗))。

 

ではなぜ根室本線下り列車は3R手前で交換待ち停車をするのでしょうか。
石勝線では2011年と2012年に相次いで信号場での脱線事故が発生しています。特に2011年は火災事故です。この関係で、トンネル内での列車の交換を避けるようになったのではないでしょうか。鬼峠信号場は1986年に廃止されていますし。
(もしそうであれば、上落合信号場での石勝線列車同士の交換も行われなくなっているハズですが、これは確認できていません。)

 

以上、あくまで個人の見解です。

 

配線図はモクムールさんよりご提供いただきました。
ありがとうございます。

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コメント

根室本線の当該区間が災害運休して久しい今、上落合信号場の2番線と関連する信号機(3R、4R)が使用停止となっている模様。
たぶん、3L・4L・6R・6Lも使用停止されていると思われ。

一つ前の記事にやわやわとまれさんがコメントされた件(なぜ上落合の石勝線下り4R(#2)が5R(#1)よりも上位なのか?)とも関連して,信号機の付番を確認しました.
結論は,上落合信号場は当初から一線スルーではなく,左側通行の上下本線別の信号場として設計されていたはずだということです.当然根室本線下り3Rの進路は下り本線の#2です.そして,石勝線が加わった時もそれが踏襲され下り本線への4Rが自然な進路となり,上り本線への(逆)進入5Rよりも上位に置かれたという解釈です.

ここで,この記事の冒頭でのf54560zgさんの考察にある,「対向となる進路の信号てこを共用して信号機相互の鎖錠を省略するというのはよく行われることで、実際、3L/3R以外の4L/4R、5L/5R、6L/6R、7L/7Rはすべてそうなっています。ですので3Rと3Lの進路は同じなのではないか、すなわち3Rの進路は1番線かもしれない」
という部分が気になります.
そこで,このシリーズ(石勝線と根室線)の他の単線交換駅の進路テコ番号を付番を確認しました.
(1a)旧夕張線,根室線時代からの左側通行を基本とする駅・信号場では,まず相互に鎖錠すべき進路(下り本線出発と上り本線への場内,下り本線への場内と上り本線出発)に同じ番号のR/Lを割り当てます.
(1b)これらの駅で,さらに中線などの別進路がある場合に,対向する進路ごとに同じ番号のR/Lを割り当てています.
(2)石勝線として設置された一線スルーの信号場などでは,同じテコ番号が進路ごと(一線スルー本線,副本線)に行われています.
したがって,上落合は古い施設なので,(1a )(1b)のルールに従えば,3Rは下り本線(#2)への進路であるべきです.

以上で,上落合信号場の疑問は解消したと思いますが,最後に2つの疑問が残ります.
(A) なぜこのシリーズの他の場所のテコの番号は2から始まっているのに,上落合だけは3から始まっているのか?
(B)なぜ下位である5Rが3現示なのに,上位のはずの4Rが2現示なのか?
 こちらは,記載ミスの可能性がないとも言えませんので,石勝線下りの前面動画などで確認の必要がありそうです.
(長文すみません)

>管理人さん

過日、

「根室本線の富良野~新得の」が、
       ニュースに なっていませんか?

廃韓さん
そうですよね。残念ながら・・・。

モクムールさん
ご考察ありがとうございます。
(A)新狩勝を例に取れば、てこ1はおそらく滝川方の方向てこの類に割り当てられているのでは、と思います。上落合の場合はたとえば滝川方の方向てこに1、南千歳方の方向てこに2を割り当てているのではないかと思います。
(B)一番正しい姿は5Rの方が上位にあることだと思うのですが、最近の前面展望動画ではやはり4Rの方が上位ですね。副本線の場内に進行を現示する例もありますので、違和感はありますが間違ってはいないのかも。

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