札幌貨物ターミナルの空中写真
東札幌駅に続いて、札幌貨物ターミナル駅の変化も国土地理院の空中写真で追いかけてみます。
参考資料は「鉄道による貨物輸送の変遷」、「停車場変遷大事典」、Wikipediaほかのネット情報です。
最初は1966年7月です。
・MHO663X-C5-10を加工したものです。
・左が札幌方、右が旭川方です。まだ一面の農地です。
続いて1971年6月です。
・MHO713X-C10B-8を加工したものです。
・新札幌駅(後の札幌貨物ターミナル)が1968年に開業しました。
・函館本線はもともと岩見沢周辺の石炭を手宮に輸送することを目的として建設された路線のため、札幌周辺には大規模な操車場や貨物駅は存在しませんでした。その後の石炭輸送の衰退に伴い、札幌を中心とした貨物輸送への再編が計画されて新札幌駅が設けられたようです。
・計画された新札幌駅の役割はコンテナと石油と操車場で、写真の下方にコンテナ基地、その右に石油基地が見えます。問題は操車場で、抱き込み式の仕訳線らしきものが確認できるのですが、完成しているようには見えません。後述のように操車場については見直しがされたため、建設途上で中止となったのではないかと想像しているのですが・・・。
続いて1976年9月です。
・CHO766-C12B-9、10、11を加工したものです。
・1971年に新札幌駅の計画が変更され、コンテナ扱いの拡充と操車場部分の見直しが行われました。
・写真を見ますとコンテナ基地が仕訳線用地に食い込むように拡大され、1971年の写真では一部敷設されていた仕訳線群がほぼ撤去されてしまっているのが確認できます。今後抱き込み式になることもなさそうです。
続いて1982年5月です。
・HO821-C10-13、14を加工したものです。
・1980年、札幌貨物ターミナルのレイアウトに関して再度変更が行われました。輸送改善のため岩見沢及び小樽築港の操車場機能を廃止してこれを札幌貨タに集約することとなり、一度は取りやめとなった仕訳線の整備が実施されたのです。
・写真を見ますと、1971年では仕訳線が配置されながら1976年には撤去されている部分に再度仕訳線が設けられ、たくさんの貨車が止まっているのが確認できます。操車場として機能しているようです。
最後に2020年9月です。
・CHO20201-C5-26を加工したものです。
・コンテナ基地は賑わっているようですが、操車場を経由する集結輸送の廃止により、仕訳線群からは貨車の姿が消えました。
・オイルターミナルの方も2014年頃に操業を停止したらしく、すでに石油タンクは撤去されてしまっています。
コンテナの取扱いでは着実に成長してきた感のある札幌貨物ターミナルですが、その陰には時代の流れに翻弄された仕訳線群があったようです。
最近の札幌貨タの配線図は貨物時刻表等に掲載されていますのでそちらをご覧いただくとして(汗)、ここでは旭川方・苫小牧方の貨物通路線部分のみをご紹介します。前面展望動画やGoogle マップをもとに私が作成したものです。
意外だったのは、千歳線と貨物通路線の分岐部が結構離れている新札幌駅の構内っぽいところです。ホーム部分は棒線駅同然なのに第二出発・第二場内のある駅って珍しい気がします。
KASAさんのHPでは1973年と1980年の札幌貨タの配線図が公開されています。
1973年
1980年
ぜひご覧下さい。
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札幌貨物ターミナルについての記事とご教示をありがとうございます。また私のHPへのリンクもくわえていだたいて光栄です。
仕訳線再設置の詳細については勉強不足で知りませんでした。
1971年6月の航空写真は興味深いですね。すでに仕訳線の工事が始まっていたのか気になるところだと思いました。
写真を見る限りでは函館本線の上下本線に挟まれるのは、ターミナル全体ではなく、仕訳線の部分のみのように見えますね。
千歳新線との方向別複々線での抱き込み式操車場が計画されていたのどうかなど、当初の計画段階での線路配置をみてみたいと思いました。
投稿: KASA | 2023年1月 7日 (土) 11時30分
KASAさん
おっしゃる通りで、当初の計画からその後どのように変化していったのか、大変興味があります。
投稿: f54560zg | 2023年1月 8日 (日) 20時59分
札タ→旭川方面は厚別駅のホームのない中線通過しないと旭川行けないのですね。
投稿: ゆかわあきら | 2023年3月18日 (土) 19時09分
先週、函館本線、上り普通列車に乗った時、札幌貨物ターミナルを見ていて、未だに架線柱と架線が張ってあるのが見えたのですが、何のために張ってるのでしょうか?電気機関車の運用はないはずですし、JR北海道の電車が入ってくることもあるのでしょうか?
投稿: Marin | 2023年3月29日 (水) 18時21分
Marinさん
確かにそうですね。どのような理由があるのでしょうか。
投稿: f54560zg | 2023年4月 2日 (日) 19時54分
S61.11のダイヤ改正までは函館線(岩2)のED76.75が牽引機として仕業に入ってましたが、その名残で架線柱や架線は残っているようで、き電停止は1990年代だったでしょうか?
千歳線は元より電車のみの電化開業でしたので、架線の準備は無かったようです。
投稿: 名無し | 2024年12月17日 (火) 11時51分
名無しさん
情報ありがとうございます。
投稿: f54560zg | 2024年12月22日 (日) 15時46分