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2022年12月25日 (日)

苗穂での夜行急行の運転停車

荷物拠点駅 その2の記事で、Marinさんから苗穂駅での夜行急行の荷物車入換についてのコメントをいただきました。
入換作業の詳細についてはわからないのですが、せめて時刻関係だけでもと思って、時刻表から列車ダイヤを作成してみました。

主に札幌駅に5時~7時に到着する函館線上り/千歳線下り列車と、21時~23時に出発する函館線下り/千歳線上り列車を時刻表から抜き出しました。区間は札幌~岩見沢間です。

 

最初は時刻表1980年3月号。
198003nbe
・まだ苗穂に荷物基地が整備される前です。
・「利尻」、「大雪」、「狩勝」、「からまつ」にはニ、ユの連結があります。「すずらん」は上りのみの連結で、1217列車には連結されていません。
・このほか函館本線には荷物専用列車が上下合わせて6本設定されていますが、すべて札幌発着です。

 

続いて時刻表1980年10月号。
198010nbe
・1980年10月に苗穂に荷物基地が設けられました。これに伴い札幌発着だった荷物専用列車はすべて苗穂発着に変更されています。
・しかしながら荷物車を連結している「利尻」、「大雪」、「狩勝」の札幌~岩見沢間の運転時間は1980年3月と変わっておらず、この時点では苗穂駅は従来通り素通りしていたようです。
・「からまつ」と夜行「すずらん」は廃止されてしまっています。
・ところでこのダイヤを見てわかる通り、函館線上り/千歳線下りの一番列車が札幌に到着するのは朝7時を過ぎてからなんですね。ちょっと意外。(小樽方面からの一番列車は札幌6時23分着です。)

 

続いて時刻表1983年1月号。
198301nbe1
・1981年10月に石勝線が開業し、「狩勝」は石勝線経由となって名前も「まりも」に変わりました。

 

続いて時刻表1984年6月号。
198406nbe
・「利尻」、「大雪」、「まりも」に変化が起きています。上り下りとも札幌~岩見沢・千歳空港間の運転時間が7分から19分伸びているのです。おそらく1984年2月の改正での変化と思われます。
・時刻表上では苗穂は通過となっていますのでこの伸びた時間が何なのかは厳密にはわからないのですが、まあ、苗穂での荷物車入換のための停車時間と解釈することにします。
・そう解釈すると、下り「まりも」が苗穂に到着した時、まだ先発の「大雪」は停車中っぽい気がします。
・また「まりも」は後発の函館線1595Mに追い抜かれます。千歳線列車と函館線列車ですので、「追い抜かれ」に当てはまるのかどうかは若干微妙ですが。

 

続いて時刻表1985年4月号。
198504nbe
・下り「大雪」が573Mに追い抜かれるようになっています。函館線の列車同士ですので、これは完璧な「追い抜かれ」ですね。

 

続いて時刻表1986年3月号。
198603nbe
・573Mの時刻が繰り上がって「大雪」は追い抜かれなくなりました。急行の面目が何とか保たれた感じです。

 

最後に時刻表1986年11月号。
198611nbe
・各列車の札幌~岩見沢間の運転時間が1983年1月号の時刻表の水準に戻りました。荷物輸送が廃止となり、当然ながら苗穂駅での入換がなくなったためと思われます。

 

苗穂駅の荷物拠点が整備されたのは1980年10月ですが、「利尻」、「大雪」、「大雪」(「まりも」)が苗穂で荷物車の解結を行うようになったのは1984年2月のようで、3年以上の時間差があります。この間は荷物車はどのように扱われていたのでしょうか。旅客車ごと札幌~苗穂間を回送したのでしょうか、それとも札幌で分割して荷物車だけ苗穂に回送したのでしょうか。はたまた札幌駅での荷物扱いが継続されていたのでしょうか。

それにしても、下り列車の場合はようやく始発駅を出たと思ったら次の駅で、上り列車の場合はあと1駅で札幌なのに、というタイミングでの約10分の運転停車というのは、乗客にとっては何ともイライラ感がつのったのではないでしょうか。

 

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コメント

いつも興味深い記事をありがとうございます。

1980年10月以降1984年2月以前の札幌~苗穂の荷物車の運用の例が、鉄道ファン1982年10月号の24~25ページの「荷物車の運用を追って1」というコラムにありました。

そのコラムでは、隅田川配置の車両による

「北東航1」(マニ)(北海道向け新聞輸送)

「北東航21」(オユ10)(北海道向け郵便輸送)

が種々の列車に併結されて、隅田川を出発して根室まで行き、6日後に隅田川に戻ってくるまでの動きが解説されていました。ただし、苗穂で荷扱いするか否かの説明はありませんでした。

下り、函館到着後、「北東航1」(マニ)「北東航21」(オユ10)ともに函館で下り「ニセコ」に併結されて札幌まで来て、札幌で切り離されて2両とも「まりも3号」に併結されて釧路へ(苗穂での荷扱いなし?)

上り、釧路から「まりも4号」に併結され、札幌に到着後、旅客車ごと回送列車として手稲に回送

その後、「北東航21」(オユ10)は、手稲で「1843レ」に併結されて札幌に到着し旅客車ごと回送列車として苗穂へ、苗穂で上り「ニセコ」の回送編成に併結されて旅客車ごと回送列車として札幌へ、札幌から「ニセコ」とともに函館へ、

「北東航1」(マニ)は、手稲で「荷1043レ」に併結されて苗穂へ、苗穂で「荷44レ」に併結されて函館へ。

郵便側の視点から書いてみます。
苗穂駅への荷物基地設置に伴い、苗穂駅構内に札幌鉄道郵便局札幌輸送センターが設置され、苗穂駅での郵便授受を担当しました。一方それまで札幌駅で郵便授受を担当していた札幌鉄道郵便局本局も引き続き業務を行っています。つまり郵便積み下ろしは札幌苗穂両駅で行っていたわけです。
55年10月改正時点の郵便側の業務資料原本を見たことがありますが、おおむね旅客列車では札幌、荷物列車では苗穂と住み分けされていたようです。そして「利尻」「大雪」「狩勝」とも、札幌取扱でした。

KASAさんご紹介の「北東航21」、55年10月改正でもほぼ同じ流れです。下りは札幌で積み下ろしを行い苗穂は取扱なし、そして上りはまず「狩勝」札幌到着時に取り下ろしを行い、積込は回送後の苗穂で行うという変則的な流れだったようです。
札幌→手稲→苗穂の回送では郵政職員は下車して無人、直通の郵便物は積載したまま施錠し締め切った状態で運転されていたと思われます。


KASAさん、かたぎさん、貴重な情報ありがとうございます。
札幌と苗穂の両駅での荷物扱い、これに手稲回送が絡んで複雑な運用がなされていたのですね。
>1843レ
手稲発札幌行きという客車列車があったというのもちょっとびっくりでした。

かたぎさん、

ご教示ありがとうございます。鉄道郵便は興味深い点が多いと思いました。

f54560zgさん、

「手稲発札幌行きという客車列車」 私も驚きました。時刻表をみたらたしかにあるのですよね(笑)。私の場合、この時代、札幌近郊のローカル輸送は電車というイメージがあったものですから。

苗穂に荷物・郵便の拠点を作ったのは、札幌駅の高架化工事が関連しています。
高架後の札幌駅では、荷物・郵便扱いはしない予定でしたので、札幌と苗穂の両方で取り扱っていたのは過渡的取り扱いです。

1978年に着工した高架化工事が進展して、札幌駅の手荷物ホームを廃止したタイミングで苗穂に一本化されるのですが、道東・道北方面の急行列車に連結する荷物車郵便車を、苗穂から手稲に送り込んで編成を整えてから札幌駅回送とすると、ニセコから各急行への併結が時間内では収まらず、苦肉の策として苗穂駅運転停車となったようです。

北東航21さん
ローカル列車に追い抜かれるわけですから、おっしゃる通り苦肉の策ですね。

当時、札幌発の夜行急行に乗る時、駅構内の放送はあまり気にしていませんでしたが、後続の普通列車に追い抜かれるというのは案内していたのでしょうか?
苗穂の停車案内は札幌発車時にあったのは覚えています。大雪や利尻は旭川までの短距離客も多かったはずですが‥。

Marinさん
案内の有無はわかりませんが、急行料金を払ったのに結果後着であったことを乗客が知ったら暴動が起きそうですね。

この記事を初めに読んだときは、あぁそういえば大雪が結構長い時間苗穂に停まっていたなぁ・・・と思っただけでしたが、ふと考えてみると、こちらの記事が初めて津軽海峡を渡ったのではなかったかと感じました。青森駅や三厩駅までは早い時期にたどり着いていたのに、なかなか海を渡らないなと思っていたのですが、これから北海道の記事が多く掲載されることを楽しみにしています。

Decchiさん
何しろ北海道で乗った鉄道は札幌市電ぐらいでして・・・。細々と進めていきたいと思います(汗)。

ニセコが旧客時代の78年3月の札幌発手稲行1842レの編成を上げているブログがありました。
https://ef58928.blog.fc2.com/blog-entry-183.html

これを見ると機関車は機回ししたっぽいですね(確証ではないですが)
客車は荷物車郵便車3両がないので、札幌駅切り離しです。

北東航21さん
情報ありがとうございます。
当時としては豪華なローカル列車ですね。

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