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2021年11月 4日 (木)

大曲~秋田間の改軌工事

ご承知の通り奥羽線大曲駅~秋田駅間は、もともとは狭軌の単線であったものが、その後複線化が行われ、秋田新幹線開業以降は狭軌と標準軌の単線並列及び一部区間では3線軌、といった形態に姿を変えています。
改軌を伴う工事を行う際は、工事と列車の運行の両立に多大な工夫と苦労を要したであろうことが容易に想像できます。

この辺りの工夫や苦労が垣間見えるものとして、鉄道ピクトリアルの1996年1月号にこの区間の秋田新幹線工事の進め方についての記事が掲載されていますので、今回はこれをご紹介したいと思います。

 

まず、Wikipediaによれば、大曲~秋田間の開業から1984年までの歴史は以下のようです。

1903年~1904年 大曲~秋田開業(単線)
1975年 峰吉川~秋田 複線化
1981年 大曲~神宮寺 複線化
1984年 神宮寺~刈和野 複線化

つまり、秋田新幹線の工事が始まる時点では刈和野~峰吉川間を除いて複線化が完了していました。

 

次に、前述のピク誌によれば、秋田新幹線工事は4つのステップに分けて進められており、以下のようであったと記されています。

1992年3月~1994年7月 刈和野~峰吉川の複線化
1994年7月~1995年6月 神宮寺~峰吉川の3線軌化
 (この間神宮寺~峰吉川間は上り線による単線運転)
1995年6月~1996年3月 大曲~秋田の上り線の標準軌化
 (この間大曲~秋田間は下り線による単線運転)
1996年4月~1997年3月 田沢湖線の標準軌化
 (この間田沢湖線は全線運休、バス代行)

第4ステップは田沢湖線ですので除外して、1992年3月から1996年3月までの大曲~秋田間の線路の移り変わりを図で表すと次のようになります。
Rss
・黒線は狭軌、赤線は標準軌、破線は工事中です。
・刈和野~峰吉川間を複線化する際に新たに設けられた狭軌の線路が下り線なのか上り線なのかははっきりわかりません。ただ、仮に下り線だとすると、狭軌で完成してすぐに3線軌化するというわけのわからないことになりますので、おそらく新設されたのは上り線なのではないかと思っています。もっとも上り線であったとしても、1年後には再び標準軌への改軌工事をすることになるわけですが。
・1994年7月に上り線が完成して唯一の単線区間であった刈和野~峰吉川間の複線化が完成するものの、その後直ちに下り線を3線軌化するための工事が始まりますので、結局のところ大曲~秋田間が全区間にわたって狭軌の複線で運転されたことはなかったようです。
前回の記事で旅の途中のとおりすがりさんからいただいたコメントの通り、Wikipediaには
1994年7月 刈和野~峰吉川間複線化
1995年6月 大曲~秋田間単線化
と書かれていますので、これだけ見るとこの間の約1年間は大曲~秋田間が複線で運転されていたかのように思えますが、実際にはそうではなかったようです。1994年7月をもって「刈和野~峰吉川間複線化」と呼んでよいものかどうかも若干モヤモヤしますね(笑)。

 

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コメント

分かりやすくまとめてくださり、ありがとうございます。

私も、Wikipediaの「1994年7月複線化、1995年6月3線軌・単線化」の記述を見たとき、いつ3線軌化の工事をやったのだろう、と疑問に思ってはいました。青函トンネルのように列車を走らせながら3線軌化した例がないわけではありませんが、やはり列車を止めて工事をした方がやりやすいですね。この工程からすると、刈和野-峰吉川で新しく敷設された線路は「複線化されたうちの片方」と言うより「3線軌化工事中に使う狭軌の仮線」と言った方が実態に近い気がします。

冒頭でお書きの通り、この区間の工事中のダイヤ編成はなかなか難しかったろうと想像されます。これについては、確か1993年12月にこの区間を通る普通列車が客車から電車化されていたはずですので、それで多少緩和されたところはあったのかもしれません。

旅の途中のとおりすがりさん
>3線軌化工事中に使う狭軌の仮線
まさにおっしゃる通りかと私も思います。

標準軌に在来サイズ車両の駅の風景は、関西の私鉄で見慣れていたものの、3線軌は箱根湯本で見たかも知れない程度で、コメントするのも恐縮ですが。
始めて記事を読んだ際、狭軌を3線軌にするには標準軌用のレールを1本足して3線軌のポイントに交換して。と思っていました。ところが「軌道中心のズレ」を考慮する必要があり、一筋縄では行かないことに最近になって気づきました。
改めて関連記事を見直しますと、秋田~大曲間が狭軌と標準軌の単線並列と一部3線軌で落ち着いたのは、そのへんにもあったように思います。

moni5187さん
神宮寺・刈和野が島式ホームなのに対し峰吉川が相対式ホームなのが結構大きいポイントなのかもしれませんね。

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