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2021年5月12日 (水)

混合列車 その1

しばらく前に「貨物と荷物」という記事を書き、その中で客車と貨車を連結した五能線1730列車の写真をご紹介しました。このような列車を見たのは個人的にはこれが唯一で、「この時代でもまだ混合列車って走っているんだ」と、軽い衝撃を受けた記憶があります。
五能線以外でも混合列車の写真は趣味誌やネットで見かけることがありますので、その後「混合列車って、全国にいったいどれほど走っていたんだろう?」ということに興味が湧いてきました。そこで混合列車の運転状況を調べてみたくなったのですが、どうやって調べたらよいかがわからない。全国の列車ダイヤがあれば申し分ありませんがそのようなものがあるはずもなく、とりあえず手元にある資料は混合列車がまだいっぱい走っていたであろう43-10の交通公社時刻表(以下旅客時刻表と記します)と43-10貨物時刻表・・・。

 

そこでふと貨物時刻表の五能線のページを見てみると、なんとこの1730列車が掲載されているではありませんか。であるならば、「貨物時刻表に載っている旅客列車っぽい列車番号の列車を探せばいいんじゃね?」、ということで、以下のものを探してみました。

①43-10貨物時刻表に掲載されている列車の中で、列車番号の十位の数字が0~4になっている列車。

これに該当する列車はいくつか見つかったのですが、その作業をする中で以下のような列車も見つかりました。

②43-10貨物時刻表に掲載されている列車の中で、列車番号の末尾にDがついている列車。

普通に考えれば気動車列車が貨物時刻表に掲載されるはずはありません。「これはひょっとして気動車が貨車を牽引するパターンか?」とも思ったのですが、後述の通り必ずしもそうではなさそうな気がします。とりあえずこれも追加することにしました。

次に、貨物時刻表にはあからさまに誤植を疑わせるような記述もあるため、念のため①、②と同じ列車が43-10旅客時刻表に掲載されているかどうかを確認してみました。「同じ列車」かどうかは運転時刻と列車番号で判断しました。
ところがこの確認作業を行っている中で、偶然以下のものを発見してしまいました。

③43-10旅客時刻表に掲載されている列車の中で、列車番号の十位の数字が5~9になっている機関車牽引列車。

これを見つけた時はちょっとびっくりしましたが、これも追加することとしました。但したまたま発見できたもののみで、さすがに全ページをくまなく探したわけではありません。貨物時刻表にこれと同じ列車が掲載されているかどうかの確認もしました。

 

これでようやく探し出し作業が完了しました。しかしながら、どうもおかしい。数が多すぎる。線区によっては大半の客車列車が該当してしまう。気動車列車でも同様で、気動車で貨車を引っ張る列車がこんなに多いはずがない・・・。

一般的な混合列車のイメージは「旅客車と貨車を連結した列車」ではないかと思うのですが、上記の方法で調べた結果はどうもこれではなくて「旅客と貨物を輸送する列車」のような気がしてきました(汗)。まだ小口扱貨物の取り扱いが行われていた頃であり、旅客車の一部を利用して小口貨物を積載・輸送する列車が貨物時刻表に掲載されているのかもしれません。

 

というようなわけで、一般的な「混合列車」とは違うような気もしますが、せっかく探し出したものですのでご紹介したく思います。
前述の通り、
①43-10貨物時刻表に掲載されている列車の中で、列車番号の十位の数字が0~4になっている列車、及びこれと同一と思われる43-10旅客時刻表に掲載されている列車。
②43-10貨物時刻表に掲載されている列車の中で、列車番号の末尾にDがついている列車。及びこれと同一と思われる43-10旅客時刻表に掲載されている列車。
③43-10旅客時刻表に掲載されている列車の中で、列車番号の十位の数字が5~9になっている機関車牽引列車、及びこれと同一と思われる43-10貨物時刻表に掲載されている列車。
のいずれかに該当する列車です。

 

まずは北海道地区。

431001sg

赤字は貨物時刻表と旅客時刻表とで相違がある部分です。

●函館本線
1197列車は貨物時刻表では長万部発小樽築港行きですが旅客時刻表では長万部発黒松内行きですので黒松内で客車を解放するっぽいです。「貨物列車にオマケで客車」という感じですので列車番号も貨物列車の番号になっているのではないかと思います。

●江差線
751・752列車に該当するような貨物列車は貨物時刻表には掲載されていません。もし仮に掲載されていたとしても、列車番号の十位の数字が5であることはローカル線の貨物列車としてはちょっと違和感があります。江差線にもう1往復設定されている客車列車の列車番号は1729・1722列車という至って普通の番号となっており、このあたりはよくわかりません(汗)。

●石北本線
旅客時刻表に掲載されている下り客車列車8本中6本、上り8本中5本が貨物時刻表にも掲載されています。これらは列車番号からしても「旅客列車にオマケで貨物」という感じです。

●釧網本線
釧網本線に至っては旅客時刻表に掲載されている上下合わせて13本すべての客車列車が貨物時刻表にも掲載されています。これ以外に貨物時刻表にしか掲載されていない通常の貨物列車が7往復設定されており、正直なところそこまでの貨物需要があったの?という気はします。
上下13本の列車は釧路駅発着ですが、7往復の貨物列車は釧路操発着となっており、このあたりの貨車の継送方法にも興味が湧きます。

●根室本線
ここには旅客列車としての列車番号を持つ列車(混合列車?)と貨物列車としての列車番号を持つ列車(準混合列車?)の両方が存在しています。貨物輸送区間>旅客輸送区間となっているものは貨物列車の列車番号となっており、客貨の主従関係で列車番号が割り当てられているように見えます。 

 

と、ここまで書いてさらに疑問が湧いてきてしまいました。

・途中駅での貨車の解結は行われていたのだろうか?
前述の函館本線の1197列車のように、途中駅で客車の解結を行っていると思われる例はあるのですが、貨車の解結となると時刻表からでは正直わかりませんでした(汗)。途中解結なしで始発から終着までそのままの列車のほうが多いのではないかと思うのですが。

・貨車と客車の連結順序は?
途中駅でけん引機による入換が行われるとなると連結順序にも関係してきそうです。函館本線1197列車、根室本線487列車、497列車、494列車はおそらく[機+客+貨]ではないかと思うのです(別の入換機が入換を行う可能性もないとは言えませんが)。
また、連結順序は冬季の暖房にも関係してきます。
ネット上の写真を見ると、釧網本線と根室本線は[機+客+貨]、石北本線は[機+貨+客]が多いようですが、そうでない写真も少数ながら確認でき、結局よくわからない・・・(汗)。

 

続きます。

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コメント

> ・途中駅での貨車の解結は行われていたのだろうか?
貨物時刻表の列車時刻で、()になっている時刻は、通過(運転停車)です。支社境界に近い組成駅の時刻を参考までに表記しています。
釧網本線の場合、支社界は緑ー川湯間ですが、列車の組成を行う駅としては、斜里ー弟子屈間となり、この両駅で連結や解結しない列車は()で括った時刻が表記されます。

また時刻に三角印が付されているものは、白抜きが連結、黒抜が解結に限定されます。

交通新聞社が復刻した43-10貨物時刻表では、(2)〜(3)ページに用例があります。

手元の、昭和50年代の北海道のダイヤ(いずれも、昭和51・10・1改正 北海道総局調製 1時間目ダイヤ)を見てみました。このころになると、混合列車は道東にわずかに残っているだけになってしまったようです。
列車番号が 混何々 と書かれている列車を拾ってみます。

石北本線
混523 上川 → 遠軽
混525 旭川 → 遠軽
混527 旭川 → 遠軽
混529 旭川 → 遠軽
混526 遠軽 → 旭川
混528 遠軽 → 旭川
混530 遠軽 → 旭川
混532 遠軽 → 上川
※遠軽ー網走間には設定がありません。

釧網本線
混631 網走 → 釧路
混633 網走 → 釧路
混635 網走 → 釧路
混637 網走 → 弟子屈 
混630 斜里 → 網走
混632 弟子屈 → 網走
混634 釧路 → 網走
混636 釧路 → 網走
混638 釧路 → 網走(斜里ー網走間の列車線は、混合列車を示す一点鎖線ではなく、実線なので、この区間は旅客列車なのかもしれません。貨物は翌朝の混630列車に継走か? この列車の網走着と入れ違いに網走を出発する629Dの運転時刻が夜遅くにならないように(斜里着は23時を過ぎている)、638列車の斜里ー網走間を速度が速い旅客列車としたのでしょうか。) 

根室本線
混441 釧路 → 根室
混445 新得 → 釧路
混444 根室 → 釧路
混448 釧路 → 新得


     

もう少し資料を探してみたら、昭和47・3・15改正の1時間目ダイヤが見つかりました。

函館本線の1197列車は、列車そのものが見あたりません。

江差線の混751、混752の列車は、函館ー上磯間に上下列車として設定されています。函館ー上磯間は、1日に数往復の貨物列車が設定されていますが、朝の通勤通学時間帯のこの1往復だけを旅客扱いもする混合列車にしたというかんじですね。上磯には、日本セメントの専用鉄道がありました。

北東航21さん
ご教示ありがとうございます。
そいうった目で見ると途中駅での解結はほとんど見当たらないのですが、他に解結列車が運転されていますのでそんなものかな、という感じですね。

NZさん
751・752列車はあくまで混合列車なのですね。貨物時刻表に掲載されていないことといい、列車番号といい、不思議な列車です。

江差線でNZさんが言及された751・752列車を含む函館ー上磯間数往復の貨物列車について。
貨物時刻表に掲載されていないのは、もしかして日本セメントの専用列車であり一般の貨物営業に供していなかったためではないでしょうか?
つまり旅客列車で言えば団体専用列車のため一般の時刻表に掲載されないのと同じで。
列車番号の十位の数字が5であることは、それだけこの線区で重要な位置を占める列車ということのような気もします。

クモイ103さん
たとえば氷川~浜川崎の石灰石列車は貨物時刻表に掲載されていますので、専貨であっても掲載されるはず、と思うのですが。確かに列車番号はちょっと変わっているのですが・・・。

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