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2020年8月23日 (日)

運転曲線 その1

今回もNZさんよりご提供いただいた資料のご紹介です。個人的にはなかなかの難物です(汗)。

El1
・山陽線姫操→岡操の電機の基準運転図表(運転曲線)です。ただしいつ頃のものかはわかりません。
・「採時速度(信号機による)」の行の横軸は距離で、縦軸は速度と時間の2つがあります。よって描かれている曲線も2本あり、連続しているのが速度、右肩上がりで停車場ごとにゼロリセットされるのが時間のようです。
・速度は平均すると50km/hぐらいで推移していますね。最高速度65km/h列車なのでしょうか。
・「ノッチ及びブレーキ」の行はよくわかりません。なにしろ電気機関車の速度制御をよく知らないもので(汗)。SやSPといった直並列はなんとなくわかるとしても抵抗器の切り替えとかはどうなっているのでしょう。
・破線はノッチオフでしょうか。

El2r
・上郡を過ぎると10‰の勾配が続き、速度も30km/h程度にまで落ちます。

El3r
・船坂隧道を超えると下り勾配となって速度も50km/h~60km/hくらいに回復します。
・破線がノッチオフだとすると18kmくらいの間ずっと惰行ということになるのですが、この理解で正しい?

El4r
・岡山操に到着します。
・「ノッチ及びブレーキ」の行に初めて「〇制」の文字が現れます。これって、姫操を出て初めてのブレーキということでしょうか?

そもそも運転曲線についての知識を持ち合わせていませんので初歩的な疑問なのですが、
1)これはどうやって作成したのでしょう。実地試験?それとも机上計算?
2)これはどのように活用されるのでしょう。ダイヤ作成?運転士教育?
3)1枚目の左上に速度種別が「通貨H9」と書かれているのですが、運転曲線は速度種別ごとに作成されるもの?
お詳しい方、お教えください。

冒頭で「いつ頃のものかわからない」と書きましたが、全体を眺めてみますと
・網干電車区が開設されていない→1968年10月以前のはず。
・赤穂線が全通している→1962年9月以降のはず。
ということで、1962年9月から1968年10月までの間ではないかと思われます。

資料はNZさんよりご提供いただきました。
ありがとうございます。

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コメント

ご無沙汰しております。

運転曲線はあくまでも机上の計算を元に算出しております。
動力車の総出力やその速度特性を加味した「特性曲線(ノッチ曲線とか言われます)」、列車総重量、想定される最大荷重、勾配、曲線半径(曲線も列車走行にとって抵抗になります)などを元に、さらに曲線・分岐・下り勾配での制限速度などを加味して、時間に対する速度曲線を算出します。
さらにその速度曲線を時間で積分した運転時分曲線で構成されます。

まずその運転時分曲線を使って、ダイヤの引くための「駅間運転時分」を算出するのがまず第一の目的です。

さらに信号機の制限速度現示や踏切の特殊発光信号現示に対し、運転士が現示を確認してから信号機あるいは踏切までに、減速や停止が完了するかや、ATS等による停止や速度制限が、防護区域手前までに完了するかなども速度曲線を元に確認するために利用します。

ちなみに私鉄などでは一部の特急車両用の運転曲線を別に作成したりする以外は、単一のもので済ませているようですが、国鉄→JRでは電車・気動車・客車列車・貨物列車などでそれぞれ別のものが作られているうえ、さらに客車や貨物列車では牽引機の種類や性能、客車・貨車の速度制限、総重量なども加味していくつも作る必要があったため、このような「通貨H9」などという速度種別区分が必要なのだと聞いて言います。
ちなみに「通」は通過主体の列車を表し(停車主体は「停」)、「貨」はもちろん貨物列車、「H9」は上り10‰勾配での列車の均衡速度を表していて、「H9」は39km/hを表しています。

長くなるので一旦切らせていただきましたが、この速度種別の数字は均衡速度の下1桁、アルファベットは2桁目(3桁目)を表しており、高い方から、A→100Km/h台、B→90Km/h台とだんだん低くなり、結果H→30Km/h台となります。

ちなみにダイヤは速度種別ごとの「運転時分曲線から駅間運転時分を算出したもので引く」、と申しましたが、さらに停車時分や遅延回復等のための余裕時分(これらもラッシュ時間帯や閑散時間帯で差がある)、さらに信号機現示による速度制限や、側線進入時の分岐制限などがかかる場合はその余分な時分を加算して、実際のダイヤは引かれます。

以上長文失礼いたしました。

度々で大変お恥ずかしいですが、一つ訂正があります。

最初の書き込みで
「速度曲線を時間で積分したものが、運転時分」と書いてしまいましたが、
正しくは「速度曲線を時間で積分し、その結果で距離を除した」ものが運転時分曲線となります。

分かりやすく言うと、列車がずっと定速運動なら「距離÷速度」で運転時分は出ますが、実際は非線形の速度変化ですので、まず一定の時間ごとの速度変化を積み重ねてそれを時間で除することにより平均速度を出し、その結果で距離を除することにより運転時分が出ることになります。

誤った説明、お詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

 牛福羽作@羽村さまと重複しますが少し補足を

 運転曲線の正式のものは書式が決まっており、機関車の牽引力と列車の走行抵抗を計算して正確に秒単位まで算出されます。
 速度曲線も勾配変化の度に斜きが変わり、惰行は点線で記入されます。
 速度は無駄な低速運転のないように、制限を超えないように設定されます。
 制限に対する余裕は5km/hだったと記憶しています。これは運転曲線の設定では重要な要素で、特に時間短縮の使命のある列車は厳しく設定されていました。蒸機時代でも特急列車は2km/hです。

 この運転曲線は現場の機関士のための略式のものと思われます。機関車形式も牽引重量も記入されていないのは、受け持ちの特定の列車のものと推定されます。
 実際に運転すると曲線のとおりには行かず、ズレが出ます。そのプラスマイナスを相殺して定時運転するための虎の巻と言ってよいでしょう。
 速度曲線も変化の様子が実測したスケッチであることが明白です。
 サミットである上郡~三石での速度低下は長い下り勾配に備えて低下しておき、以後の惰行におけるブレーキを少なくするためです。またこうしておくと、遅れを回復するとき高速のまま通過することで回復がはかどります。
 三石~吉永の速度低下は以後の惰行に備えてく吉永を制限いっぱいの65km/hで通過するためです。大きめのブレーキを使用して、指定地点で40km/hになるよう緩めれば吉永入口で正確に65図では63)になっています。

 作成は列車種別ごとに行いますが、全種別が必要ではなく、線区のダイヤで必要な種別のみで間に合います。また急がない列車はひとつ下段のものを流用するという手抜きが可能です。

 余裕速度のこと。新幹線では200km/h運転を行うため、10km/hの余裕をみて最高速度を210km/hと定めました。次の260という端数も同じ理由です。
 後になって速度向上のため、余裕を5km/hとして205km/hでスジを引きました。つまり205で走らないと遅れる、210になるとATCによって頭打ちブレーキが作用する。頭打ちブレーキは強力で20kちかく速度が低下して遅れが増える。
 運転士は勾配を見ながら205kに保つようマスコンを扱う右手が休むヒマがない。我々はロボットじゃない。
これは0系時代の新幹線運転士から聞いたボヤキです。

管理人 さま、牛福羽作@羽村 さま、C6217 さま
解説ありがとうございます。

この運転曲線が、65km/hを超えないように設定してあることや、吉永駅に「下り通貨65K/H制限超過し易い」、和気駅に「構内65K/H超過し易い注意」とあることから、2軸貨車の最高速度が65km/hだった時代に作成された図表と言えそうですね。北海道を除く国鉄の2軸貨車が2段リンク化され貨物列車の最高速度が引き上げられたのがヨンサントオなので、それ以前のものなのでしょう。管理人さんの推測と一致しますね。

*****
上郡→三石間5号閉そく確認地点でPからSPにノッチ戻しをしているのは、モーターの過熱を防止するためかなぁなどと考えていたのですが、トンネルの先の下り勾配に備えるためだったんですね。

C6217 さまへ 質問です。
三石手前→吉永間で3回制動と緩解を繰り返したあと、吉永→和気間では制動をしないでも和気駅に65km/h以下で進入できるはずである。そうなると、和気駅手前でもう一度ブレーキを扱うのは、あまり上手な運転ではないということでしょうか。
3回目の緩解をするときの速度を実際の列車の状況に合わせて調節せよということでしょうか?

よろしくお願いします。


: NZ さま  吉永のブレーキを見落としていました。急勾配個所でブレーキを使用して速度を落とし、緩勾配区間でジワジワと速度向上を受け止めるという原則にしたがってこの図が描かれたと想像します。
 この図は現場のスケッチなので余裕がありそうですが、計算した運転曲線では制限速度のマイナス10k程度の運転になっていた筈です。
 計算による運転曲線をどのように応用して現実の運転をするか、それが現場の知恵とされていました。
 ナイショですがごく僅かの速度オーバーに目をつむれば、大きな合理化運転が可能な例は沢山あります。実行するかどうかは機関士の腹ひとつです。

C6217 さま

ありがとうございます。

理想的な運転操作をグラフ化したものと言うわけですね。

*****
ATCの速度照査で頭打ちをされるのは運転する側にはあまり好まれないようですね。
総武快速線上りの錦糸町→馬喰町間は、地上線から地下線への下り勾配で、車内信号の現示(*)に対して速度超過するとATCのブレーキがかかって、タイヤフラットの原因になる、そこで、手前から軽くブレーキを掛けた状態でトンネルに入るようにという指導がされていたようです。

* 75km/hだったと記憶しています。

運転曲線はダイヤを引く基本資料として作られてますので、その通り運転すれば、遅延は発生せず、かつ安全な運転ができます。

この姫操〜岡操の図はおそらく現場が実際の運転用に速度種別毎に作成したものと推察します。

牽引定数が最大値で作成されていますが、実際の編成は毎日異なり(当然、列車重量も変わる)、天候によっても抵抗は異なりますので、三石手前から吉永の3回の制動を速度に合わせるようにその場で調整することになります。

熟練の機関士だと、この下りは補給制動で運転した可能性もゼロではないと思います(補給制動は失敗すると列車暴走に繋がるので、禁止していた乗務員区もあったようですが)。

補給制動のことですが、毎年夏に行われる(今年だけはオリンピックの影響で実施されず)国際鉄道模型コンベンション(於:東京ビッグサイト)で「乗務員が語る蒸気時代」というステージトークショーがあります。2016年の時には「補給制動」について説明がありました。瀬野八越えでは、広島、糸崎機関区の貨物列車の機関士は補給制動が前提で運行していたそうです。「補給制動とは、バケツから漏れる分だけ水を補充して水位を保つようなもの」だそうです。
参考資料:JAM国際鉄道模型コンベンション2016公式記録集(ネコパブリッシング)

皆様
詳細な解説をありがとうございます。
運転曲線は基本的には「ダイヤ作成のために計算により作成されたもの」であるということですね。大変重要な資料ですね。
ただし、フリーハンドで描かれたような結構ラフな曲線ですので、この場合は教育訓練用の意味合いが強いのでしょうか。

上郡~三石間の速度低下はこの後の下り勾配による速度上昇に備えたものなのですね。牽引力の不足なのかと思っていました(汗)。

NZさま ATCの頭打ちブレーキは常用ブレーキの最大値が使用されていました。そのため僅かな速度低下のときも大きなショックを発生しています。総武快速線もそのために滑走したのでしょう。 新幹線は滑走防止のために初めから速度域に応じてブレーキ力を調節しています。ので、高速域のブレーキはあまり苦になりません。
 山手線と京浜東北線に採用されたときは最大ブレーキのままだったので乗客からのクレームも多かったそうです。乗客からヘタクソと面罵された運転士もいます。
 防止策としてご指摘のように頭打ちブレーキが作用するより早めに軽いブレーキを使用しておく方式が採用されました。頭打ちをしないように、しても追加のブレーキですから衝動は大違いです。運転士はATC信号地点を覚えねばならず信号機を見るよりくたびれるとの声もありました。
 民鉄も使用例が増えて、どういう対策がれているのでしょうか。人間なみの判断をするAIはいつ登場するのでしょう。

 上記の補足。頭打ちブレーキは安全面から見ると制限速度オーバーですから緊急事態として最大ブレーキを使用するのは当然とれていました。
 一番問題になったのは山手線内回りの池袋進入です。ホーム間際まで25‰上り勾配で、力行でもブレーキでも定速運転が難しい場所です。
 最大ブレーキが必要としても、立ち上がりを緩やかにするか、段階を刻めば衝動は防止できます。最近のATCの様子をご存じの方はぜひ解説をお願いします。

いやあ、C6217さんからご紹介いただいたエピソード、大変おもしろいです。
このテの話題はC6217さんの独壇場ですね。

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