« 引田・讃岐相生・阿波大宮・板野・阿波川端・坂東配線図 | トップページ | 池谷・勝瑞・吉成・佐古・徳島配線図 »

2020年5月29日 (金)

通票鎖錠装置

以前の西名古屋港配線図の記事に対し、しげぞう@さんから通票鎖錠装置についてのコメントをいただきました。
この装置については私も実際には見たことはないので大したことは書けないのですが、文献を参考にしつつわかる範囲で記事にしてみました(汗)。

 

【目的】
まず通票鎖錠装置の 目的から(笑)。
目的は、やっぱり合理化でしょうね。閑散線区での人件費と設備の維持管理費の削減でしょうか(あくまで個人的見解ですが)。

例えば下のような配線の駅があったとします。通票閉そく式の閑散線区の駅です。
1r_20200527191502 
貨物側線の分岐があるため通常であれば場内・出発信号機を設けなければなりません。しかしながら1日に1回か2回しかない入換作業のために信号取扱者を配置したり信号設備の維持管理を行うのはもったいない・・・、ということで
2r_20200527191501
このように通票鎖錠装置を設置して列車乗務員が転てつ器の取り扱いを行うようにし、地上側の要員と信号設備を省略しようとするものだと思います。

 

【機能】
この装置に求められる機能は、
①通常は転てつ器を定位(本線側)に鎖錠するものであること。
②入換を行う列車が到着したとき、その乗務員のみが転てつ器を解錠できるものであること。
③入換終了後に乗務員が転てつ器を鎖錠するのを失念したとしても、その列車より後の列車が当該区間に進入するのを防止できるものであること。
といったところでしょうか。

 

【具体的手段】
実際のメカニズムを見てみます。参考資料は原英雄著「鉄道実務受験講座運転保安装置」です。

通常はこの状態です。
1r_20200527191501 
鎖錠かんの一端は転てつてこに、他端は先端軌条に接続されています。
鎖錠かんの凹部が鎖錠子と係合しており、転てつ器は鎖錠されています。

 

入換を行う列車が到着し、乗務員が通票を通票皿にセットします。
2r_20200527191502

 

そのまま引手を押し込みます。
3r_20200527191501
引手を完全に押し込むと通票の外周に沿ってローラーが移動します。ローラーは鎖錠子に固定されていますので、ローラーと共に鎖錠子が移動することとなります。
鎖錠子が移動すると鎖錠かんとの係合が外れ、転てつ器が解錠されます。
通票をセットしていなくても引手は押し込めますが、鎖錠子が動かないため転てつ器は解錠されません。

 

4r 
転てつ器を反位に転換すると鎖錠子は動くことができなくなり、その結果鎖錠子の下部と係合する引手は引き出すことができなくなります。
図では省略していますがこの状態では通票はカバーの下に隠れており、通票を取り出すこともできません。通票を取り出すには引手を引き出す必要があります。

 

通票を取り出す手順はこれの逆になります。
入換が終了して転てつ器を定位に戻すと鎖錠子が解錠され、引手を引き出せる状態になります。
引手を引き出して通票を取り出します。

 

通常は定位に鎖錠されている転てつ器を必要な時だけ解錠するには、単純に転てつ器にカギをかけておけばよいわけですが、前述の通り最後にカギをかけ忘れる恐れがありますので、カギとして通票を利用するところがミソですね。運転開始時には通票の携行を確認するでしょうから、カギのかけ忘れを防止できます。
まあ、最悪は次駅に到着して初めて通票を携行していないことに気づく、なんてこともあるかもしれませんが、少なくとも他の列車がこの区間に進入することは防止できますね。その後の処理は面倒なことになりそうですが。

 

【その他】
・通票は通常のものとはちょっと違うという説もあるのですが、具体的にどこがどう違うのかはわかりません。通票鎖錠装置の中でローラーが通票の外周を摺動するので、そのあたり(摩耗とか?)を考慮したものでしょうか。
・言うまでもありませんが、この装置は通票閉そく式、票券閉そく式、通票式の区間でしか使用できませんし、通券では解錠できません。
・転てつ器は鎖錠されていたとしても側線から本線に車両が出てきたら事故になります。地上側に要員がいませんので車両の転動防止は必須です。

 

【実例】
配線図から通票鎖錠装置が確認できる例を2つ。
02197704_20200526203201
釜石線矢沢駅。1977年4月です。

Photo_20200526203201 
足尾線通洞駅。1978年3月です。

それと、何の役にも立ちませんが、
19790718h07_20200526203201
日中線熱塩駅。1979年7月です。赤丸部がソレのはず(汗)。

 

お詳しい方、コメントお願いします(汗)。

 

配線図は3RT生さん、T.Mさんよりご提供いただきました。
ありがとうございます。

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
バックナンバーはこちらからどうぞ。

« 引田・讃岐相生・阿波大宮・板野・阿波川端・坂東配線図 | トップページ | 池谷・勝瑞・吉成・佐古・徳島配線図 »

コメント

駅ではそこまで行くときは、
次の駅に連絡し通票を取り出せるようにし、
取り出してから機関士に持たせその分岐まで行き、
解除し入換を行い、
終了後元に戻し、
機関士が通票をもって駅に戻り、
その通票が元駅の通票発行機にもどったことを確認し、
それから次の駅に終了報告しないと、
次の駅は列車を出せないって事でいいのでしょうか?

西名古屋港線だと、
入れ替えが終わったら笹島に戻ったのか、
そのまま西名古屋港に行ったのか気になりますね。

釜石線矢沢駅は、連査閉そく式の区間に設置された通票鎖錠装置ということになりますから、かなり破格ということになりますね。

東北新幹線の建設工事の資材搬入のために仮設された側線のようですから、矢沢駅を連動駅にする、そのために閉そくの境界駅になる、連査閉そく装置を新設するという一連の工程を嫌ったものと推測します。信号要員も配置しなければならなくなりますからね。東北新幹線の工事誌でも入手してみると書かれているかもしれませんね。


昭和54年(1979)10月1日改正の釜石線のダイヤでは、矢沢駅は職員無配置停車場(業務委託駅)となっています。

新日鉄釜石から鉄筋やレールなどの資材を搬入すると仮定すると、土沢駅似内駅間の閉そくの扱いをした後、土沢駅で通票を機関士に渡し、列車は出発。矢沢駅で通票を使用して入換をした後、土沢駅に戻った機関士から通票を駅に返納、土沢駅似内駅間の閉そくを解除する。といった手続きになるのかと考えられます。

管理人様
こんばんは。私ごときの質問の為に、わざわざ記事を作成して頂きありがとうございました。通票鎖錠装置付転てつ機の仕組みがよく理解できました。なるほど、よく考えられた仕組みだと納得感心しました。
最後の熱塩駅の写真ですが、機回しする時にポイントを操作するため、ただの鍵を使った鎖錠をせずに、通票鎖錠装置付転てつ機を使用したのでしょうか?
今回は本当にありがとうございました。

>ゆかわあきら様
私が読んだブログの記事では、西名古屋港から笹島に向かう列車のみ、途中の中部鋼鈑という場所で通票鎖錠装置付転てつ機を使用していたようで、入れ替え作業終了後はそのまま笹島方面に向かったと記録されていました。(逆の笹島から西名古屋港行の貨物列車でこの扱いが行われていたのかは、残念ながら記録されていませんでした。)
駄文失礼致しました。

ゆかわあきらさん
>次の駅に終了報告しないと列車を出せない
そう思います。

NZさん
>連査閉そく
そっかあ、釜石線は連査閉そくでしたか。スミマセン、気づいていませんでした(汗)。通票戻し忘れても閉そくを解除しちゃいそうですね。

>しげぞう@さん
結局は最後のカギのかけ忘れ防止だと思います。カギをかけ忘れると不届き者が転換してしまうかもしれませんし。


こんばんは。
熱塩駅の喜多方側のポイントに用いられていた装置の件、興味深く拝読しました。スプリングポイントでも良いのではと思いましたが、この装置の方が適切だったのでしょう。
写真を拝見して思ったのですが、雪の季節、タブレットを入れる部分に雪が入り込んで凍り付いたりすることはなかったのか、心配になりました。

通票を使わない信号方式で、
途中でこのような引き込み線がある場合、
ここまで管轄する駅構内に含めているのか?
別にその専用線に接続するためだけの信号場として扱っているのか?

どちらの例が多いのでしょうかね?

やわやわとまれさん
お久しぶりです。
>スプリングポイント
確かに。スプリングポイントにして転換てこをロックしてしまってもよさそうな気がしますね。南京錠で固定している例はあちこちで見かけますし。

ゆかわあきらさん
断言はできないのですが、信号機がない以上駅構内でも独立した信号場でもないような気がします。列車ダイヤ上ではどのように表現されるのでしょうか。

こういう場合、
A駅からB駅に向かう貨物列車で、
途中のC地点にA駅所属の引き込み線があったとすると。
列車の発車時間はA駅の時刻ではなく、
A駅所属のC地点で入換終了し出発が可能な時間だと思うんです。
つまり、A駅出発の時間と、C地点の到着並びに出発時間が機関士のスタフに書いてあるような…。

紀三井寺の駅の本州化学がこれに近いことしてるので参考なるのかも?

 伯備線倉敷駅の場合は、通票を携帯するものの倉敷駅から操車掛の誘導であり、作業後はまた倉敷駅へ戻っていました。
 結局は倉敷構内のような考え方ですね。通票を携帯したのは操車掛で、現場の解錠と転てつ作業は操車掛が行っていました。
 列車ではないとすれば時刻設定があったのか疑問です。それにしても大きな列車間合いが必要です。

 別件ですが、60年前の話。
 福塩線の駅家駅は単線の棒線駅で信号機はありません。しかし貨物取扱駅であり、側線と貨物ホームがありました。
 列車が停車すると通票で解錠して入換を行っていました。配線上、作業ができるのは上り列車のみです。

 上記はC6217です

みなさんチェック済みだとは思いますが、紀三井寺駅の話が出てきたので、このブログの
「貨物列車ネタ8(一方向からしか入れない駅) その5 紀三井寺」
の項を読み返していたら、つ さんが投稿に引用されているブログに、中部鋼鈑分岐点について詳しく述べられています。当時の乗務員の方が書かれているので、臨場感があります。

通票鎖錠装置に関する規程類

運転保安設備基準規程(昭和40年3月 運逹第3号)

(停車場外の分岐)
第28条 次の各号に掲げる条件を備える場合は、停車場外の本線から側線を分岐することができる。
(1) 連査閉そく装置、通票閉そく装置、票券閉そく式又は通票式の区間であるとき
(2) 通票鎖錠装置を設けたとき
(3) 留置車両の転動により本線を支障しない設備としたとき
2 前項第1号の規定により、連査閉そく装置を設けた区間で、分岐する場合は、連査閉そく機と通票を収容する装置との間に連鎖を附さなければならない。

(通票鎖錠装置の設置)
第193条 通票鎖錠装置は、連査閉そく装置、通票閉そく装置、票券閉そく式又は通票式の区間における停車場外の本線にある転てつ器に設けるものとする。

(通票鎖錠装置の解錠)
第194条 通票鎖錠装置は、その区間の通票でなければ、解錠できない装置のものとする。

別表第1(第2条)
(30) 「通票鎖錠装置」とは、停車場外の本線の途中から分岐する転てつ器の鎖錠を通票により行なう装置をいう。

運転保安設備基準規程の制定の主旨及び概要について
第2 概要
1 閉そく装置について
(6) 停車場外の分岐の設置及び条件
 停車場外の本線から側線を分岐する場合の閉そく装置及び条件を規定した。

4 連動装置その他について
(5) 通票鎖錠装置の設置
 通票鎖錠装置の設置条件及び機能を規定した。

***

 通票鎖錠装置が連査閉そく区間にあるのは、例外でも特認でもなかったんですね。
 運転取扱基準規程、旧規程等については別途投稿します。

皆様
多くのコメントありがとうございます。
通票鎖錠装置に関しましてはこの「通票鎖錠装置」の記事と「西名古屋港配線図」の記事
http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-f0bc.html
に分散してしまっており、ご不便をおかけしてしまっています(汗)。

ゆかわあきらさん
駅間での分岐の場合は、時刻表上はあたかも独立した停車場であるかのように扱われているようですね。もしC地点がA駅所属であればC地点はA駅構内ということになり、連動範囲となって通票鎖錠装置が設けられることはないと思います(A駅の出発信号機で転てつ器を鎖錠するので)。紀三井寺駅の場合はまさにこのケースで、一見駅間での分岐に見えますが実は紀三井寺駅の構内のようで、紀三井寺駅の出発信号機で転てつ器を鎖錠しているようです。


運転取扱基準規程(昭和39年12月 運逹第33号)

(通票鎖錠装置付転てつ器の取扱い)
第110条 閉そく区間に対する通票で鎖錠する装置となっている転てつ器は、駅長、車掌又は操車掛が通票により、その鎖錠を開閉しなければならない。

***

この条文について『運転取扱基準規程逐条解説』(伊多波美智夫・著 日本鉄道図書 昭和40年)による解説を抜粋します。

 【要旨】 通票鎖錠装置付転てつ器の取扱いを定めたものである。
 【解説】 停車場間の途中から採石を輸送するとか、鉱石を輸送するとかの場合は側線を分岐しなければならないが、本線の途中からの分岐になるので、本来ならば最寄りの停車場から専用線を敷設するかあるいは分岐箇所を停車場としなければならないが、列車の運転の閑散な線区では、経費の節約を図るために安全を保てる方法を講じて、停車場間の途中から分岐することを認められている。安全を保つ方法としては、通票鎖錠装置が設けられているものがある。この取扱いは列車運転と密接な関係があるので最も正確に取り扱わなければならない。従って、その取扱者は、駅長、車掌又は操車掛と定められている。
 通票鎖錠装置付転てつ器を取り扱うときは、閉そく区間両端停車場で閉そくを行なって通票を取り出し、これを機関士が携帯して列車が所定の扱いにより出発し、現地に到着したならば、駅長、車掌又は操車掛が機関士から通票を受け取り、これによって転てつ器を解錠し、転換するものである。使用後は、転てつ器を本線に開通して通票を抜きとれば、転てつ器は再び鎖錠される。
 通票鎖錠装置が最も安全な方法と考えられるのは、側線に線路を開通して車両が側線に進入するときは、通票を使用して転てつ器を転換するので、閉そくを行なったままの状態にあり、他の列車をその区間には、運転することができない。また、列車の運転のために機関士が通票を携帯している間は、転てつ器を解錠することはできないというように側線と本線とで同時に列車又は車両を運転することができないようにしているからである。
 この方法は通票閉そく式を施行する区間に設けられているが、現在、通票閉そく式を連査閉そく式に設備変更している区間では、連査閉そく機と通票閉そく機とを電気的に連鎖させ、連査閉そく式による閉そくを行なった後、通票を取り出して連査閉そく機を鎖錠する方法をとることとした。

*****

釜石線矢沢駅の分岐は、東北新幹線の工事の仮設線のために設けられたものと思われます。釜石線を連査閉そく式に改修したときに撤去した通票閉そく機を、似内、土沢両駅に昭和50年頃になってどこかから持ってきたのでしょうかねぇ。  

管理人様
こちらにも失礼いたします。
なんだか私の質問から騒動が大きくなってしまったみたいで…。
皆様からの詳しい解説や体験談等、本当にありがとうございます。
>NZ様
通票鎖錠装置付転てつ機の詳しい資料のご提供ありがとうございます。
この通票鎖錠装置付転てつ機と併合閉塞が同時に使われる事例とかはあったのでしょうか?併合閉塞を施行すると通票の形が変わるので、やはり同時は不可能だったのでしょうか?
もしよろしければご教示ください。

いつもありがとうございます。

さらに以前の規程を見てみましょう。

運転取扱心得(昭和23年8月 逹第414号)

第95条 停車場外の本線の途中から側線を分岐している転てつ器であって、その閉そく区間に対する通票により鎖錠することのできる装置になっているものは、列車又は車両を側線に出入せしめるとき、駅長、車掌又は操車掛が通票によりその鎖錠を開閉しなければならない。
 問 通票鎖錠装置の開閉を駅長が行う場合を問う。
 答 通票搬送の設備をした箇所では、駅長が扱う。

*****

運轉取扱心得(大正十三年十二月逹第九一三號)

第八十條 本線路ノ途中ヨリ分岐スル側線ノ轉轍器ニシテ當該區間ノ通票ニ依リ鎖錠セラルル装置ノモノハ列車ヲ側線ニ出入セシムル場合ハ該通票ヲ以テ車掌之ヲ開閉スヘシ

*****

実際に、どれくらい設置されていたのでしょうか。いささか古いですが、

運轉取扱細則(昭和二十三年九月七日 門鐡逹甲第一八二號)

第九十七條 通票鎖錠轉てつ器と管理者は、次のとおりとする。

香椎 博多港 間 4K320M 仮第1号のイロ(昭26.10.1追加)
博多 筑前高宮 間 1K781M
段駅構内 (削除)
渡 人吉 間 49K900M (削除)
小城 東多久 間 8K731M
小江駅構内
肥前吉井 祝橋 間 2K250M
南大分 大分 間 138K977M 仮第1号のイ
竹中 中判田 間 131K515M (削除)
岩崎 香月 間 2K646M
小森分岐点 (管理者 岩崎駅長)
浅野側線分岐点 (管理者 呼野駅長)
呼野 採銅所 間 16K800M 仮第1号のイ
製鉄所側線分岐点 (管理者 呼野駅長) (削除)
古宮分岐点 (管理者 採銅所駅長)
中津原側線分岐点 (管理者 香春駅長)
土工線分岐点 仮第31号 (管理者 妙見駅長) (昭27.7.4追加)
入水側線分岐点 (管理者 船尾駅長) (削除)
豊前大熊駅構内 (管理者 金田駅長) (日付不明 追加)

※元の表には、設置箇所、轉てつ器番號、鎖錠器種別、管理者が記載されている。設置箇所、轉てつ器番號(番号に仮を含むものに限る)及び管理者(設置箇所に駅名を含まないものに限る)を抜粋した。鎖錠器種別は全項目とも通票閉そく機の通票である。粁=K、米=Mと改めた。削除は手元の資料が昭和27頃までの改訂を手書きで行なっているので、その間に削除されたものと考えられる。

*****

門鉄管内には筑豊炭田があるからなのか、また時代によるものなのか、かなりの数の設置箇所ですね。

*****

大阪鉄道管理局の運転取扱基準規程を手入力したサイトがあり、それによると昭和40年頃の同局管内には4箇所設置されていたようです。

いつも楽しく拝見しております。
さて、関西本線月ヶ瀬口駅は元々通票鎖錠転轍機を使う亜炭搬出用の側線があって、後から駅が出来、そののち交換設備が設置されたようです。10年程前に現地を見に行きましたが、加茂方は結構な勾配で入換作業は大変だったのではないかと思いました。
「シーナリィ・ガイド」に往年の写真と構内の絵が出ています。
参考まで

NZさん
詳細な情報ありがとうございます。連査閉そく装置と通票閉そく装置の連鎖をどのように行っていたのか興味深いです。

天鉄ヲタさん
月ヶ瀬口は駅が開業する前から側線がもうけられていたのですか。情報ありがとうございます。

管理人様 皆様いつもありがとうございます。
NZ様貴重な資料ありがとうございました。
門鉄局には、沢山あったのですね。NZ様ご推察のように炭田が数多くあったことが理由のような気がします。
当時のダイヤグラムが有ったらまた楽しい発見が出来そうですね。
ありがとうございました。

古い資料を見てみましょう。
『新鐡中心 實用運轉法規』(二宮 成彦・著 交友社 昭和15年11月発行)
資料の説明:タイトルの新鉄中心とは、新潟鉄道局の規程を中心とするという意味です。規程の解説書はたいてい本社規程を対象とするものですが、この本は局レベルの規程を取り上げている珍しいものです。また、巻末に「新鐡中心 鐡道防空法規」が掲載されています。

※以下、漢字及び仮名遣いは現代通用のものに改めます。

108ページ
111.通票鎖錠転轍器の取扱方
 通票鎖錠装置の転轍器は一般に本線路の途中から分岐する砂利線等の分岐点に設けられ、当該区間の通票を鍵としなければ之を転換することの出来ない装置を施したもので、列車を側線に出入させるには車掌又は操車掛は機関士から通票を受け取り下記に依り取扱うのである。尤も下記の取扱方中尖端軌条及外筐の施錠、解錠は停車場外では保線係員が行うのである。
(1)尖端軌条及外筐の鎖錠を解き、次に抽き出しを引き出し之に通票を納入して押入れ、転轍器を反位に転換すること。
(2)転轍器の使用を終ったときは之を定位に復し、尖端軌条を鎖錠した上抽き出しから、通票を取出して抽き出しを原の位置に押入れ、外筐を鎖錠した上通票を機関士に返付する事。
(3)鎖錠用鍵は該転轍器の管理者即ち駅長又は線路分区長に於て保管し、使用の都度、車掌、操車掛又は保線係員に交付すること。
(心得第80条、昭12.7新鉄逹甲第551号通票閉塞器式の通票に依り鎖錠せらるる装置の転轍器取扱方)

*****

 鎖錠装置を外筐で覆うのは、雪国ならではなのか、というと必ずしもそうでもなく、先日ご紹介した門鉄の運転取扱細則には、

第九十七条の二 通票鎖錠転てつ器み覆のあるものはその覆にその覆のないものは尖端軌条を転てつ器鎖錠金具で締付鎖錠を施しその鍵は管理者が保管して置かなければならない。(後段省略)

とありますから、九州でも覆がついてることがあったようです。

NZさん
大変貴重な情報ありがとうございます。
それによれば、通票を装置に出し入れする以外にも鍵を使用して①先端軌条②外筐の解錠・鎖錠を行うということになろうかと思うのですが、そうなると通票を使用する意味合いが薄れていくような気が・・・(汗)。

f54560zg さま

 私も、現物を見てるわけではないので、なんとも歯切れが悪いのですが…
 外筐と尖端軌条を施錠解錠する鍵は、閉そくとは関係がありませんので、この鍵では転轍器を動かすことはできない仕組みなのだと思います。
 実際に転轍器を操作して尖端軌条を動かすには、他の列車が当該分岐点に向かって運転してくることがないことを保証する通票が必要なのだと思います。

*****

門鉄局の細則 第九十七条の二 の引用中
「通票鎖錠転てつ器み覆の」は、「通票鎖錠転てつ器に覆の」の誤りです。

 ところで、後段省略と書きましたが、その後段は以下のように続きます。

 保存担当者が検査修繕等のため鍵を必要とする時は管理者に保守作業簿に依り連絡し鍵の交付を受けるものとする。

 引用中の「保存担当者」は「保線担当者」か「保守担当者」の誤りかもしれません。この条文は後から追加されたようで、手書きで条文を書いた紙を糊付けしてあります。その際の写し間違えかもしれません。


すべてはここから始まった!?

通票鎖錠装置についての規程はここまで遡れるようです。
『國有鐡道建設規程 解説』(鐡道大臣官房研究所編纂 鐵道技術社・印行 昭和4年8月)
資料の解説:国有鉄道建設規程が昭和4年7月鉄道省令第2号で改定され8月1日から実施されました。
この解説は規程の「改正に際して其の精神を解説して本規程の實施に便し、併せて将来改正する場合の参考に資」するために書かれたものです。
この中で旧規程と言われているのは、大正10年10月に改定された規程をさします。

※規程本文は原文どおり漢字カタカナで、解説は現在通用の漢字仮名遣いに改めました。

第2章 線路
第11節 分岐及平面交叉
第40條 本線路ニ於ケル分岐ハ停車場内又ハ信號所ニ於テ為スコトヲ要ス但シ側線ヲ分岐スル場合又ハ貨物列車ノミヲ運轉スル本線路ニ於ケル分岐ニシテ特別ノ事由アル場合ニ限リ相當ノ保安設備ヲ為シ之ニ依ラザルコトヲ得

解説 旧規程では停車場外で本線路から本線路を分岐することを絶対に許さなかったが、本規程では信号所を設けて停車場と同様に常置信号機で防護すれば停車場外でも分岐することを許すことにしたのである。
 本条但し書は砂利線、工場専用線の様な側線を分岐する場合又は貨物列車のみを運転する本線路から本線路を分岐する場合に限り、単線では通票鎖錠装置、複線では電気鎖錠装置の様な簡易な装置を分岐転轍器に設ければ必ずしも信号所を置かなくてもよいことにしたのである。

*****

 前に引用した運転取扱心得は、大正13年制定ですので建設規程より古くなりますが、当初からあった条文か、追加された条文かはわかりません。

*****

通票鎖錠装置関係の規程は出発点まで遡れました。「閉塞の併合」については、項目として立てていただければ、関係する規程を載せたいと思います。

 閉塞の併合は楽しみです。途中の停車場が無くなるのですから、運転士の携帯する時刻表はどういう表示になるのでしょう?
 津山線で岡山~津山の併合を記憶しています。駅数も距離も相当のものです。

NZさん
>鍵
通票と別の鍵を使用すると鍵をかけ忘れても気づかないのでは?という点が引っかかのですが、最悪かけ忘れてもその後の列車の運行には支障ないという判断なのかもしれませんね。
>閉塞の併合
難問ですね(笑)。

C6217様 併合閉塞の件

>途中の停車場が無くなるのですから、運転士の携帯する時刻表はどういう表示になるのでしょう?

私もこの件は気になってしまいました。1998年に木次線乗り歩きの際、出雲三成駅で信号機に「×」印が点灯していたことを覚えています。

当時撮った写真の中に信号機の「×」印のものはあるのですが、運転士の時刻表を撮ったはどこに行ったのやら・・・。

と思ったら、オークションサイトでこんなものを見つけました。

http://ginga21.jp/auction/item/sold/27572

敦賀第一機関区の運転士時刻表で、併合閉塞の記載のあるものが出品されていました。

基本的に通常の運転士時刻表を使用しており、一番下の記事欄に「閉そく区間併合運転」の押印があります。駅名欄には通常の「タマ」の形が書かれていますが、その左運転時分の欄に青色の矢印で併合区間と「タマ」が記入してあります。
正式な書式かどうかはわかりませんが、一例として参照下さい。

480042さん
貴重な併合閉そくの実例の情報、ありがとうございます。

480042さま。ありがとうございます。実物を初めて見ました。

併合閉そくの話になってきましたね(苦笑)

私も、いろいろなサイトを見ていたところ、併合閉そく区間の運転時刻表を載せているサイトを見つけましたので、ご紹介します。(当該サイトの承諾をいただいています)
その名も「運転時刻表ギャラリー」で、URLは
http://ef58.net
です。トップページから、
運転時刻表>新宮運転区>急行紀伊②
とたどってください。

津〜亀山間が併合閉そく区間で、この運転時刻表では、右側の注意事項欄に、票券閉そく式での通票の形が記載されています。また、下部の列車別注意事項欄にも記載されています。
多気駅の注意事項に、「通票三方向に付 確認方特注」というのが目を引きます。参宮線の通票と間違えて受け渡しする事故があったのでしょうね。

他のページの運転時刻表も、見どころがあります。
以上、ご紹介まで。

NZさん
ご紹介ありがとうございます。
このような資料は貴重ですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 引田・讃岐相生・阿波大宮・板野・阿波川端・坂東配線図 | トップページ | 池谷・勝瑞・吉成・佐古・徳島配線図 »

過去の記事

2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ