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2019年7月18日 (木)

「運転取扱心得」昭和22年版の改正の概要 その1

NZさんから都道府県別目次にいただいたコメントのご紹介です。
コメントのままにしておくにはもったいない内容ですので、そのまま記事にさせていただきました。

ボリュームが大きいので2つに分けました。今回はその1です。

以下コメントです。ところどころに私の個人的なコメントを追記しています(●印部)

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古書店で「運転取扱心得」昭和22年版を入手しました。本文に先立って、改正の概要を記した文章が載っていたので、その部分を入力しました。いろいろと興味深い事項が書かれています。あわせて、この文章で「従来は」と書かれている大正13年版の運転取扱心得も入手したので、いつかご披露できればと思います。

こちらのサイトで適当な項目が見当たらなかったので、仮にこの項目にアップします。

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運転取扱心得(昭和22.2.12達第60号)

※原文は旧漢字(漢字ひらがな書き)

◎概要
第一 総合的構想
 運転取扱心得が大正十三年に改正されてから二十数年を経過して、その間社会情勢が幾変遷した結果思想的にも鉄道運営にも尠なからぬ変化を来たしている。これに対応するために?々部分的の改正が行はれたために、観念的には一貫性を缺き、又保安施設においても補足的に発達して来たものも尠なくない。これらを整理統合して合理化を図り、且つ十年以上の将来性を考えて方針を樹てたことが改正の第一要点である。従つて軌道構造のこれに適合しないものは相当強化することが必要となる。
 従来と観念的に相違する諸点は、次のとおりである。
一、運転の取扱は理論と実際とが一致してゐることが理想であるが、従来の規定は理論に優る観があつて運用の範囲が広く、規定を運用する者が去就に迷ふ点もあつたので、つとめて実際化を図つた。
二、従来は責任の単一化を目標としていたが、各自の立場において責任を分担せしめることとした。
三、従来は規定の目的が明らかになつていない点もあつて、その精神をつかむことに困難を感ずる場合があるので、各章の冒頭においてこれを明示することとした。
四、同一系統の取扱方も従来は箇々の場合に分散して規定していたために、総合性に乏しい感があつたので、記憶を容易にするために多少の利害を離れて整理統合を主とした。
五、停車場の外に信号所があつたために、規定上に複雑の度が加はつていたし、実際の状態も信号場と信号所との関係に疑義が生じているので、信号所はこれを信号場と称して信号所の名称を廃止した。
六、従来は列車に車掌の乗務を省略することを認めていたために、非常に列車運転上の保安度が低下したし、又運転取扱にも不便を感じ便法を講じなければならなかつた。これ等が大きな缺陥となつていたため、列車の後部にはすべて車掌を乗務せしめることとした。
七、運転事故を防止するため、車掌は列車の後方に注意を集中し、又機関士と機関助士とは前方に注意して、列車の前後に対して警戒を厳にし、若し列車に故障が生ずるか、又は線路に故障のあつたために、列車を停止したとき列車防護を必要とする状態ならば、機関士は速かに「列車防護を促すとき」の汽笛合図を行つて、車掌に列車防護の手配を促し、機関士、機関助士、車掌が協同してその列車の安全保持に努めることを列車運転保安の第一義とした。
八、従来の規定では、或る取扱に対してその責任者が明かとなつていなかつた点があつて、責任者以外の者が担当する誤りが生じたため、つとめて職名を挙げて担当者を明かにし責任の所在を確立した。

第二 条文の構成
一、分類
条文の構成については、種々の方法が考案されるが、読む者の便を図って、従来の方法に従うことが最も妥当と考えて、これによることとした。但し内容の分類については、或程度の変化がある。即ち運転取扱心得は運転、閉塞、信号の三原則から成り立つているものであるが、理論的には閉塞区間の設定も、一閉塞区間一列車主義の原則も又信号現示に対する運転の条件も、皆運転の法則であるという観点から、従来はこれらを運転の章に規定していた。それがために同一系統の条文が各章に分散されていて、所要の条文が何の章に定められてあるものか判然としないので、索引に困難があつた。よつて閉塞に関係ある事項はすべて閉塞の編に、又信号に関係のある事項はすべて信号の編に規定することとして、これらに関係のない運転上の取扱を運転編に一括規定した。
二、諸達集録
運転の取扱に直接関係のある事項で、従来別達となつているもの、又は当然運転取扱心得に規定しなければならないものも、通牒によつて処理していたものがある。これは規定の徹底に非常な障害となつているため、これらのすべてを運転取扱心得に収録して、運転取扱心得によつて運転取扱の全体を知ることができるものとした。

●社内規定や業務マニュアルの悩みと共通する部分があって、妙に共感してしまいます(笑)。再発防止とかもあるんでしょうね。

◎取扱関係
第一編 総則
一、貨物輸送のみをする区間の特例
従来は貨物輸送のみをする区間における列車の運転は、全面的に運転取扱心得の範囲外としてもよいことに定めていたが、これは同心得の範囲内で簡易取扱を認むべきものであるから、構内運転に準拠することとした。
二、用語
従来の規定では用語を解説しているものが極めて少いが、運転取扱心得には専門語が非常に多いので、心得のうちに定義の定めてない用語は別表として解説した。
三、駅長は構内作業内規を作成しなければならないことを規定した。

第二編 運転
第一章 列車の組成
四、有効長と車数制限
停車場における線路の有効長の関係で、列車に対する連結車数を制限する必要のある場合は、管理部長がこれを指定することとした。
五、列車の備える制動機
列車の備える制動機としては、貫通制動機を使用するものとして、事故の場合の外は貫通制動機を使用しない列車を運転しないこととした。
六、列車の備える制動軸数
列車の備える制動軸数は速度と密接な関係があるので、速度に応じて制動軸数を備えることを明かにした。即ち列車の制動距離は非常制動を行つて六〇〇米以内で停止せしめることのできるものとした。
七、連結軸数及び制動軸数の計算
列車の軸数は機関車を除いて計算することとして、その計算はすべて連結軸数、制動軸数ともに一軸を一軸として取り扱うこととした。
八、車掌の乗務
従来は列車に車掌の乗務を省略することを認めていたが、列車防護にも諸取扱にも缺ける点が多いのですべての列車に車掌を乗務せしめることとした。
九、緩急車の連結
車掌を乗務せしめるために、列車の最後部には緩急車を連結することとした。
十、速度一時間六十五粁以下で運転する旅客列車には、牽引定数の許す範囲内で貨車を連結してもよいこととした。

第二章 列車の運転
第一節 通則
一一、列車の同時着発
従来は停車場で列車が同時に進入又は進出することのできる条件が明かになつていなかつたので、これを明かにした。

● 列車の同時進入・進出の条件はが明確になったのは比較的遅い時期なんですね。

一二、列車監視
停車場に着発する列車又は通過する列車を駅長が監視しなければならないことを規定した。この監視は、到着監視、出発監視、通過監視の三種類に区別している。
一三、線路を閉鎖して行う工事と表示板
軌道交換その他線路を一時閉鎖して工事を行うときは、駅長もこれについて警戒しなければならないので、停車場に工事中は表示板を掲出して置くこととした。
一四、トロリー使用
トロリーの使用で列車の運転に関係のある事項を規定した。
一五、運転通告券
列車を運転するについての重要な事項を駅長から機関士に通告するときは、運転通告券を使用せしめることとした。

第二節 運転整理
一六、運転整理の指令
列車の運転整理は管理部長の指令によりこれを行うこととした。
一七、列車の遅延恢復
列車を遅延せしめないことに努めなければならないことは当然のことであるが、若し遅延が大きくなつたときは積極的に遅延の恢復に努めなければならないこととした。
一八、列車の運転の状況を記録するために、駅長と車掌は列車運転状況表を作成することとした。

第三節 制動機の取扱
一九、制動の方法
機関士が列車を停止する場合、常用制動によるときと非常制動によるときとを明かにした。
二〇、制動試験
列車を組成したとき又は車両を連結若しくは解放したときは、制動試験を行うべきことを規定した。

●これも「今頃?」という気がしてしまいますが。

第三章 構内運転
二一、構内運転方式の制定
従来定例の入換に対しては、操車掛の誘導を省略してもよいことを認めていたが、これを構内運転として列車運転に準ずる方式を定めて車両入換と区別した。

第四章 車両の入換
二二、停車場外にわたる入換
停車場外にわたつて入換するときは、列車に対して危険な場合があるので、停車場外に進出することのできる場合を制限した。
二三、列車を停車場外に停止せしめるときの取扱
車両入換のために列車を停車場外に停止せしめることは、特殊の場合に限ることとし、又列車が停車場外に停止したことを確めるまでは、場内信号機に接近した箇所での入換を行つてはならないこととした。

第五章 転轍器の取扱
二四、転轍器の鎖錠
列車を運転する際連動装置が故障となつたときの転轍器の鎖錠方法を定めた。
二五、安全側線の開通方向
単線区間の安全側線に対する転轍器は、列車を同時に進入せしめるときは安全側線の方向に開通せしめて置かなければならないが、列車の行違のないときは本線の方向に開通せしめて置くこととした。

●従来は対向列車がなくても安全側線側に開通させていたのですね。

第六章 車両の留置
二六、車両の留置範囲
停車場で車両を留置するときは、これを車両接触限界の内方に停止せしめて置かなければならないことを明かにした。

第七章 運転速度
二七、最高速度
旅客列車の最高速度は従来は一時間九十五粁であつたが、これを一時間百十粁まで昂上することとした。但し一時間百粁を超える速度で運転する車両には特殊の制動機を備えなければならないし、又転轍器も一時間百十粁の速度で運転することのできる程度のものに強化しなければならない。
貨物列車は従来のとおり一時間六十五粁である。

●2軸貨車の75km/h化はこの20年後ですね。

二八、下り勾配線の速度
列車の備えている制動機が強化されてきたためと安全度に或程度の修正を加えて、従来よりは多少速度を昂上することとした。
二九、曲線の速度
列車の速度を昂上したために、曲線を通過する速度も安全度に或程度の修正を加えて、従来よりは多少昂上することとした。但し分岐に附帯する曲線の速度は従来のとおりである。
半径六〇〇米以上の曲線に対しても、速度を制限する必要があるためこれを合理化した。
三〇、運転取扱上の制限速度
列車を運転するときは種々の事情で運転取扱上、状況に応じて速度制限を必要とするが、従来はその制限速度が区々で記憶に困難を感じたので、多少の利害を犠牲にしてこれを十五粁、二十五粁、四十五粁の三段階に限定した。
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その2に続きます。

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