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2019年7月21日 (日)

「運転取扱心得」昭和22年版の改正の概要 その2

NZさんからいただいたコメントのご紹介の、その2です。

以下コメントです。ところどころに私の個人的なコメントを追記しています(●印部)

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第三編 閉塞
第一章 総則
三一、閉塞の観念
従来は閉塞の観念が確然としていなかつたために多くの疑問が生じたので、これを次の四つの方法に区分して、その拠点を明かにした。
 常用閉塞方式
 代用閉塞方式
 閉塞準用法
 無閉塞
三二、閉塞方式その他の名称
1、常用閉塞方式
常用閉塞方式は最も完備した閉塞方式で、常時使用されているものであるから、その意味を明かにするために、その名称には「……閉塞式」を使用することとした。例えば「自動閉塞式」「通票閉塞式」のとおりである。
2、代用閉塞方式
代用閉塞方式は常用閉塞方式が故障のために使用することができないとき、これに代用するものである。この意味を明かにするために、その名称に「……式」を使用することとした。例えば「通信式」「指導式」のとおりである。
3、閉塞準用法
閉塞準用法は狭い意味では閉塞方式ではなく、常用閉塞方式、代用閉塞方式を行うことのできないときこれによるものであるから、その関係を明かにするために、その名称には「……法」を使用することとした。例えば「隔時法」「指導隔時法」のとおりである。
4、無閉塞
無閉塞は列車を運転する場合閉塞方式も閉塞準用法も施行することのできないとき、列車を運転しなければならないことがあるので、これを一括して規定したものであつて、閉塞の範囲に入るものではないが、閉塞と関連があるので閉塞編に集録した。

第二章 常用閉塞方式
三三、常用閉塞方式としての条件
常用閉塞方式としては、必ずこれに通信機関が伴つているものであることを立前とした。従つて通票式は常用閉塞方式から除外した。
三四、連動閉塞式
従来は特認によつて一部に連動閉塞式を施行するに過ぎなかつたが、単線区間に限つて一般的に施行し得ることとした。
三五、票券閉塞式
従来は票券式を独立した閉塞方式として認めていたが、常用閉塞方式として使用するためには通信機関が附随してゐるものとして、名称も票券閉塞式とした。

第三章 代用閉塞方式
三六、代用閉塞方式としての条件
閉塞方式としては、通信機関の伴つていることが条件であるが、一時常用閉塞方式に代用するものであるから常用閉塞方式ほど完備したものでないことは已むを得ないが一閉塞区間一列車主義を確保することを必要条件としたものである。但し、通票式、指導式は特殊の場合に施行するものであるから、通信機関は必要としない。
三七、指導通信式
従来は指導法と通信閉塞式又は閉塞器式とを併用して一つの閉塞方式とする考え方であつたが、これを票券閉塞式と同様通信機関が伴つているものとして、名称も指導通信式とした。
三八、通票式
従来は通票式は一般の閉塞方式と同格に取り扱われていたものであるが、これを常用するときは種々の缺陥が生ずるために、代用閉塞方式として取り扱い、又その使用範囲も制限した。

●この時点では通票式は公には認められていなかったのですね。

第四章 閉塞準用法
三九、閉塞準用法の条件
閉塞準用法では、一閉塞区間一列車主義を確保することができないために、狭い意味では閉塞方式とみなしてはいない。然しその方法は閉塞方式の観念に従つたものであるから、閉塞方式と全く別箇のものではない。その関係を明かにするため、閉塞準用法と呼ぶこととしたものである。これに含まれるものは、隔時法、票券隔時法、指導隔時法……等である。
四〇、伝令法
従来は伝令者の用途を列車又は車両のある閉塞区間に他の列車を運転するとき、その箇々の場合について規定し、又は伝令者を列車に乗り込ませる以外にも使つているために、観念的に疑義があつたので、伝令法としてこの取扱に一貫性を持たせた。

第五章 無閉塞
四一、無閉塞の範囲
無閉塞とは閉塞方式も閉塞準用法も施行することができない場合に、列車を運転しなければならないときの運転方法である。即ち通信が杜絶したために対手停車場に指導者の打ち合せに適任者を派遣するとき、又は隔時法を行う前に線路の状態を確めるときに、単行機関車を運転してもよいことは従来のとおりであるが、従来はこの場合何のような方法で運転せしめているものか明かでなかつた。又自動の閉塞信号機に停止信号を現示しているとき、その箇所を越えて進行する場合も同様であつたので、これらは何れも無閉塞で運転するものであるから、機関士が特に注意しなければならないことを明かにした。

第四編 信号
第一章 総則
四二、信号、合図、標識の分類
従来の規定では信号、合図又は標識として使用しているものの範囲が狭いために、その後で発達した施設のうちには信号、合図、標識の何れに属すべきものか明かでないものが多い。よつてこれらを確然と区別するために、信号、合図、標識を定義した。
四三、警戒信号
従来は警戒信号を場内信号機又は出発信号機に現示せしめてよいことを通牒によつて認めてゐたが、これを規定に取り入れた。
四四、注意信号
従来は自動の閉塞信号機に注意信号の現示のあつたときに限つて、速度を低下せしめることになつていたが、これを列車に対するすべての信号機に注意信号の現示のあつたとき、速度を一時間四十五粁以下に低下せしめることとした。
四五、代用手信号により運転する場合の速度制限
場内信号機又は出発信号機が故障等のために、代用手信号による進行信号を現示せられたときは、列車は速度を一時間四十五粁以下に低下して進行しなければならないこととした。
四六、誘導信号
誘導信号機の信号現示はこれを「誘導信号」と称して、この現示により進行する列車の速度は一時間十五粁以下に制限しなければならないこととした。
四七、閉塞信号機の番号
従来は番号を粁程の十倍の近似数で表わしていたが、今後は自動区間の停車場間に設けてある閉塞信号機の数を表わすこととした。

●「粁程の十倍の近似数」って具体的にどのように表示されていたのかわからなかったので昭和10年の線路図を見てみたら、例えば東海道線下りは沼津を出ると、東1275→東1289・・・となっていました。ひょっとして神戸の手前では東5880とか???

四八、入換信号機
従来は車両を入換するとき主として操車掛が注視するものも入換信号機と称していたが、信号機の信号現示は機関士が注視するものとして、その他の職にあるものが注視しなければならないものは信号機以外の名称を附することとした。従つて入換信号機も機関士の注視するものを入換信号機として、操車掛の注視するものはこれを入換標識と称することとした。

第三章 臨時信号機
四九、停止信号機の廃止
従来は臨時信号機として停止信号機を使用してもよいことになっていたが、これを廃止して途中で列車を停止せしめる場合は停止手信号によることとした。
五〇、徐行予告信号機
従来は徐行予告標として信号機の範囲外としてあつたが、遠方信号機と同様のものであるから、信号機としてこれを認めることとした。

第四章 手信号
第一節 通則
五一、手信号の種類
従来は入換手信号とその他の場合に現示する手信号とに区別されていたが、信号、合図の定義を定めた結果入換手信号はこれを合図として、その他の手信号はその用途によつて、これを代用手信号、通過手信号、臨時手信号の三種に区別した。
五二、代用手信号
代用手信号は場内信号機又は出発信号機が故障となつたときだけこれを現示せしめることとして、その他の信号機には代用手信号を現示しないことを明かにした。
五三、通過手信号
停車場で列車を通過せしめるときの信号機の設備としては、三位式の信号機或は通過信号機を附設した二位式場内信号機が完備したものであるが、これ以外の信号機の設備では機関士が信号現示によつただけでは、停車場を通過してよいか否かが明かでないために、この場合通過手信号を現示せしめることとした。
五四、臨時手信号
停車場間の途中で列車を停止せしめる場合、又は停車場内で運転上の必要から列車を停止せしめる限界を示す等の場合に現示する手信号を「臨時手信号」と称することとした。

第五章 特殊信号
五五、特殊信号は発雷信号と発焔信号との二種で、何れも停止信号を現示するものであるが、発焔信号は手信号と同様に取り扱うこととした。

第六章 合図
五六、合図の範囲
従来は合図の範囲が明かでなかつたが、これを十一種類に限定して、その他のものは運転上には使用しないこととした。

第七章 標識
五七、標識の種類
従来は標識に類似した施設が多く使用されていたが、運転上に使用する標識としては十一種類に限定することとした。
五八、列車の後部標識
従来列車の後部標識は一箇掲出するのみであつたが、これを二箇掲出することとしてその光力も増大せしめることとした。

◎信号機の新設及び改廃
一、場内信号機と出発信号機との間に設けてある自動の閉塞信号機は、場内信号機又は出発信号機に改める。
二、場内信号機に相当する自動の閉塞信号機は、場内信号機に改める。
三、半自動の閉塞信号機は、第一場内信号機に改める。
四、手動の閉塞信号機、掩護信号機は、場内信号機に改める。
五、誘導信号機は、灯列式のもののみとする。

●灯列式でない誘導信号機とはどのようなものだったのでしょう。

六、操車掛の注視する入換信号機は、入換標識に改める。
七、進路表示機、進路予告機を一般に使用する。
八、地上中継信号機、車内中継信号機を使用する。
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多くは納得する内容のものですが、逆に言えばそれ以前はどのようになっていたのかが気になりますね。

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コメント

貴重な資料を掲載いただきありがとうございます。

場内信号機でありながら実態が閉塞信号機
の場合、無閉塞運転は可能だったのかも気になりますね。
JR各社で場内相当の閉塞信号機の呼称が
異なる上、無閉塞運転(閉塞指示運転)の
可否もやはり不明瞭ですね。

f54560zg 様

コメントから格上げありがとうございます。

とりあえず、信号機の第五項、誘導信号機ですが、一つ前の運転取扱心得である、大正13年心得によると、

第百四十七條 常置信号機は向て之を視るとき左腕、色灯又は灯列を以て左の方式に依り信号を現示す
第三項 誘導信号機 腕木式 灯列式 色灯式
進行信号(徐徐に進行することを得)
昼間 腕下向四十五度  白色灯列左下  緑色灯
夜間 緑色灯      向四十五度

※灯列式と色灯式は昼間と夜間で同じ方式ということになります。原文は漢字カタカナ書きです。

国有鉄道の時代の運転のルールを電子データ化できれば…

伊26さん、NZさん
さすがに収拾がつかなくなってなんとかしないといけない状況になったんでしょうね。それでもまだまだ不十分な点が残ったのではないかと思いますが。

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