入換標識と入換信号機
入換標識と入換信号機。その外見に関するあれこれです。
まずはこの写真。
1980年4月5日、美濃太田駅です。
中央にあるのは言うまでもなく入換標識です。
もう一枚。
2012年9月26日、品川駅です。
これも入換標識です。灯器にてこ番号が書かれています(たぶん233R?)。
これらはいったい何でしょう。入換信号機識別標識が設けられていますので入換信号機であることは間違いないんです。
問題は、入換信号機と入換標識との共用なのか、それとも単独の入換信号機なのか、つまり、
なのか、
なのかが見た目だけではわからないってことですね。
そこでこの写真。
2015年10月24日、糸魚川駅です。
灯器に2つの番号が書かれています。おそらく一方(118R)は入換信号機、他方(143R)は入換標識のてこ番号と思われます。
すなわちこれは入信と入標の共用だと思うんです。
もう1枚。
2014年5月2日、中津川駅です。
書かれている場所は違いますが、同様に2つの番号が書かれています。
このように2つのてこ番号が表記されていれば入換信号機と入換標識の共用であろうと見当がつきます。
つまりコレです。
一方では、
1979年7月11日、松戸駅です。
灯器に書かれている番号は1つだけです。
2015年7月11日、東仙台信号場です。
やはり書かれている番号は1つだけ。
(38LZは誘導信号機です。)
すなわち識別標識が設けられていて番号が1つしか書かれていない場合は入換標識との共用ではなく、専用の入換信号機と思われます。
コレですね。
外見から入換信号機と入換標識との共用なのか、それとも単独の入換信号機なのかを見分けるのはなかなか難しいと思いますが、もし、人生において万が一、これを見分けなければならないような緊急事態に遭遇したときは、このような表記は大変便利かと思います。
なお、以上で述べたことは全て進路選別式の場合に限られます。
進路てこ式になると話は変わってきます。
たとえばこの写真。
2012年6月2日、天浜線の掛川駅です。
識別標識がありませんので、これは入標です。にもかかわらず灯器には「3L/4L」という2つの番号が???
先の方に見える出発信号機のあたりはどうなっているかというと、
1番線(左)の入換標識には「3R」、2番線(右)には「4R」と書かれています。
ということは、
・この駅は進路てこ式であると思われ、
・入標のてこ3は、
R側反位で1番線→本線
L側反位で本線→1番線
の進路開通を行う。
・入標のてこ4は
R側反位で2番線→本線
L側反位で本線→2番線
の進路開通を行う。
のではないかと思います。
3L・4Lという2つの入換標識を並べて設置するのではなく、進路(線路)表示機を設けることで1基での共用としたために、結果として入換標識であるにもかかわらず灯器に2つの番号が書かれているようです。
もう一例。
2018年8月7日、飯山駅です。
入換標識に43L、44Lという2つの番号が書かれています。
46Rです。
この場合は両引きとせずに片引きてこ4本としているようです。
もし進路てこ式で入標と入信を共用するとややこしいことになりそうですね。
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コメント
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こんにちは。これだけ連続して拝見すると壮観です。
松戸駅の識別標識の番号「33RZK」の表記、結線図などを見ないとわからない番号が新鮮です。Zが付いていると誘導信号機みたいですが、主体の入換信号機の番号と同じなので区別することができますね。
人生の分かれ目?には、気をつけて確認したいと思います(汗)
機械式の入換信号機と入換標識の区別も、入信の機構を入標に転用したケースもあり、難しいですね。
投稿: 3RT生 | 2018年8月11日 (土) 14時22分
JRでも、地域によって、番号が書かれていたり、いなかったり、 書かれていても正面だったり横だったりと様々なのが面白いですね。
入信、入標共用か、入信専用かは、たしかに紛らわしいですよね。
進路選別式か進路てこ式かという点、興味深かったです。
入換標識の進路(線路)表示機の表示は、関係する転てつ器の定反位によって制御されると思っていたので、進路てこ式の場合、てこ2本で制御するということもあるのだなと、勉強になりました。ありがとうございます。
投稿: KASA | 2018年8月12日 (日) 19時37分
こんにちは。
私は民鉄沿線に住んでいるので入換信号機識別標識を設けていない入換信号機を当たり前のように見ており、信号機と標識の共用というものがいまいちピンときません。
京急の神奈川新町駅や金沢文庫駅などでは、入換信号機と入換標識の使用する箇所が車両停止標識でしっかりと区切られており、標識の区間も携帯型無線機を使用して構内運転士が単独で運転しています。よく目にする入換標識に対する解説は、運転士による単独運転はできず操車係員による添乗が必要、と書かれていますが、どの会社にも当てはまるものではないようですね。
ところで、入換が可能な駅で入換標識だけを設け、引上げ線はなく本線路を使用して入れ換える構造の駅では、本線路に入換標識の限界地点を示すものがないですね。信号機であれば車両停止標識なのですが。
投稿: 十兵衛 | 2018年8月13日 (月) 17時37分
3RT生さん、機械式は実物を見る機会も少なく、ナゾが多いですね。万が一の時は十分ご注意下さいませ(笑)。
KASAさん、進路が3以上あるとてこ数も3以上となることになるわけですが、今のところ見たことはありません(汗)。
十兵衛さん、
>操車係員による添乗
例外もあるかもしれませんが、一般的には入換標識の場合は操車担当さんから運転士さんへの「誘導(進めとか止まれとかの指示)」が必要なのであって、この指示が伝わるのであれば必ずしも「添乗」しなければならないことはありません。結局のところ運転するのは運転士さんであって、操車担当さんが運転するわけではありませんので。
>本線路の入換標識の限界地点
上記の通り操車担当さんが誘導しますので、車両停止標識のような、運転士さんが確認しなければならない標識は設けられていません。そういう意味では操車担当さんが限界地点を認識しているということになるのだと思います。
投稿: f54560zg | 2018年8月13日 (月) 21時10分
ありがとうございました。
入換標識による運転の境界は二人の目で確認するという意味でも必要がないと言えますね。
投稿: 十兵衛 | 2018年8月14日 (火) 08時35分
十兵衛さん、f54560zgさん
停車場の内外の境界は、原則として
複線区間の場合は、最外方の場内信号機内方~反対線路の最外方の場内信号機内方まで
単線区間の場合は、上下両方向の最外方の場内信号機内方
となっていますので、本線引上げの入換の限界地点は、停車場の境界点となります。
引上げ両数などの都合でこの境界を超えて入換を行う場合は、限界地点に車両停止標識を設置して対応しています。
車両停止標識は「車両に対して停止する限界を示すもの」ですので、運転士だけでなく操車や信号の担当者にも関わる標識なのです。
投稿: | 2019年2月 2日 (土) 00時15分
名無しさん
情報ありがとうございます。操車担当さんも車両停止標識を意識しながら誘導するわけですね。
>境界を超えて入換を行う場合
単線区間で境界(=場内信号機)を超えて入換を行うとなると、閉そくの関係もあってややこしそうです。通常行われることってあるのでしょうか。
停車場の境界の外に車両停止標識が設けられている例は、個人的には見たことがありません・・・。
投稿: f54560zg | 2019年2月 3日 (日) 20時21分
場内の内方に車両停止標識や停止目標が
あるのは結構見掛けますけど
外方はやはり無いですねぇ。
入換標識についてはその前後の
列車を担当してきた車掌が誘導係員を
兼ねる場合もあって面白いところです。
投稿: 伊26 | 2019年6月22日 (土) 23時15分
伊26さん
よく見かけるのは場内信号機とほぼ同じ位置に車両停止標識が設けられているケースですね。
投稿: f54560zg | 2019年6月23日 (日) 22時12分
御返事有り難うございます。
機関車の入換は貨物駅に行けば頻繁に
見られるのですが、
電車・気動車の入換(狭義)はなかなか見る機会がありませんねぇ。
誘導合図をフライキ・カンテラで行うか
入換無線・乗務員無線を使うかという指定って
あるのでしょうか?
投稿: 伊26 | 2019年6月30日 (日) 13時33分
2018/8/13への補足
一人に運転士兼操車担当の職名を持たせた例がありました。公然と両方の仕事を出来ます。
投稿: | 2019年6月30日 (日) 19時47分
また忘れました。上記はC6217です。
投稿: | 2019年6月30日 (日) 19時51分
伊26さん
電車は難しそうですね。気動車ですと車両基地で連結・開放が行われそうですが、それほど頻繁ではないのでしょうか。
ただ、個人的な経験ですが、気動車の入換って、操車担当さんが運転台に入るんですよね。ですので一見すると誘導されているようには見えないかも。
誘導の方法もナゾですね。いまだにフライキが使用されているのはちょっと首をかしげたくなるのですが。
C6217さん
その場合はさすがに連結や開放はないですよね。構内運転の代用的なものでしょうか。
Microsoft Edgeを使うと名前が空欄になってしまいますね。Internet Explorerだと名前が残るようです。
投稿: f54560zg | 2019年6月30日 (日) 22時06分
JR佐倉駅での、E217になった後の、空・鹿、空・東、の分割だと、空港行きが出発した後、後に残される付属4両は、操車係(実際は運転担当助役)の手信号の青カンデラで4両所定停止目標まで移動しています。
113の時はもっと面倒で、幌外したりエアコック閉めたりジャンパー外して連結器の解放てこを咬ませ物入れたら後ろの4両を、合図者からされ合図でちょっと後退、で、前が出たら、青カンデラで誘導して。
今は、空・東が佐倉で再連結するのに佐倉の誘導信号機が現示(空からの11両に対して)。
投稿: 通過せん | 2021年7月29日 (木) 22時36分
通過せんさん
分割された付属は前が出て行ってから誘導されるのですね。構内運転開始位置まで、ということでしょうか。
また併結は、基本がホームに停止してから付属が動き出すのではなくて、付属が先にホームで待っているのですね。
投稿: f54560zg | 2021年7月30日 (金) 20時00分