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2017年12月27日 (水)

貨物列車ネタ14(向きを変える列車) その4(南武線)

貨物列車ネタの「向きを変える列車」、その4回目です。
例によって貨物時刻表からの追跡です。

 

●新座貨物ターミナル
南武線と中央線を直通する貨物列車を調べている中で気がついた、新座貨物ターミナルでスイッチバックする列車です。

 

1)43-10貨物時刻表
中央線のページには新鶴見操方面と八王子方面とを新宿駅経由で結ぶ貨物列車が上下合わせて15本掲載されています。(もちろんこれ以外にも飯田町・田端操方面~八王子方面の列車も掲載されていますが。)
新鶴見操方面と八王子方面との連絡には南武線を経由したほうが距離的には有利なのですが、実際には上記の通りわざわざ遠回りとなる新宿駅を経由するルートで運転されています。

 

1r

 

これは一つには南武線と新鶴見操車場が直接つながっていないこと、もう一つには以前の立川駅の記事の通り、立川駅では中央線と南武線は本線としては絶縁状態になっていて列車の直通ができない構造になっているためだと思われます(入換を行うなら話は別ですが)。もともとは違う会社でしたからね。

 

19790504

 

ですので南武線経由で運転することができず、新宿駅経由とせざるを得なかった、ということなのだと思います。

 

2)'80貨物時刻表
ここでは新鶴見操方面~八王子方面を結ぶ貨物列車は下り(新鶴見操方面→八王子方面)10本、上り(八王子方面→新鶴見操方面)7本が掲載されているのですが、下り方向の10本はすべて南武線から中央線に直通するルートに切り替わっています。

 

2r

 

これはすなわち、武蔵野線の開業によって新鶴見操と南武線が府中本町を通じてつながったことと、南武線から中央線への直通を可能とするような立川駅の配線改良が行われたことによるものと思われます(この時代の立川駅の配線についてはよくわかりません(汗))。
一方で上り方向はどうかといいますと、こちらは中央線から南武線に直通するルートには切り替わっていません。かといって相変わらず新宿駅経由かというとこれもそうではなく、7本中2本は新宿駅経由のままなのですが残り5本はなんと中央線→国立→武蔵野線→新座貨タ(スイッチバック)→武蔵野線というルートで運転されています。

 

新宿駅経由
・5482列車 甲府→新鶴見操
・4682列車 南松本→新鶴見操

 

武蔵野線経由
・5462列車 八王子→浜川崎
・5470列車 八王子→根岸
・5472列車 竜王→新鶴見操
・1460列車 八王子→新鶴見操
・1462列車 八王子→新鶴見操

 

3r

 

立川駅の配線改良は上り線側までは及ばなかったようですね。
というわけで少なくともこの時点では新座貨タスイッチバック列車が誕生していたことになります。

 

3)'84貨物時刻表
'82貨物時刻表ではほとんど変化はなかったのですが、'84貨物時刻表では上りも中央線から南武線に直通するルートに変わりました。

 

4r

 

再度立川駅の配線改良が行われたということなのだと思われます。
これにより新座貨タでのスイッチバックは消滅しました。

 

4)'88貨物時刻表
その後の'85、'86貨物時刻表でもほぼ同じ状態が続いたのですが、'88貨物時刻表ではなんと新座貨タスイッチバックが復活しています。しかも以前のような上り列車ではなく、下り列車なんです。
新鶴見信方面から八王子方面に向かう下り列車は全部で9本掲載されているのですが、そのうち

 

・5263列車 扇町→西上田
・5269列車 塩浜操→西上田

 

の2本の列車だけが武蔵野線→新座貨タ(スイッチバック)→国立→中央線というルートで設定されています。

 

5r

 

貨物時刻表には新座貨タの着発時刻がカッコ付き(つまり貨車の解結作業はなし?)となっていますので、何のための遠回りなのかがよくわかりません。

 

5)2002貨物時刻表
その後の'90、'92貨物時刻表ではほとんど変化はなかったのですが、2002貨物時刻表では上記の2列車は通常の南武線から中央線に直通するルートに切り替わってしまい、再度新座貨タでのスイッチバックは廃止となりました。

 

前面展望動画からわかる範囲で配線図を描くと、最近の立川駅は以下のようになっているようです。

 

R
下りの場合は下1、上りの場合は上中または下中を経由することにより南武線~中央線の直通が可能になっていますね。

 

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バックナンバーはこちらからどうぞ。

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コメント

f54560zgさん、こんばんは。興味深い記事をありがとうございます。特に、立川駅の配線改良によって、中央線と南武線間の貨物列車の直通ルートが生み出されていたということを再認識することができました。

88年の下り貨物列車の一部の新座貨タ経由復活ですが、かなり大雑把な推測にすぎませんが、立川駅の南武線側の配線改良(旅客ホームの2線化など)の関係で、立川駅下り1番線経由の南武線~中央線直通ができない時間帯があったから・・・でしょうかね?

南武線旅客ホームの2線化は、1999年10月完成で、中央線の旅客ホームの増設に比べて、随分と遅かったようです。

初めまして
新座駅スイッチバックは南武線の分倍河原付近の勾配におけるけん引定数不足による措置だと聞いております。当時EF64重連でないと登り切れないらしくEF65など単機けん引列車が新座周りだった記憶があります。

管理人様ありがとうございます。
南武~中央の経緯はこの様になっていたのですね。
最初の頃は、南武線自体の速度制限や線路等級の低さに伴うものかと思っていたのですが…。どうも違う様でしたね。
なぜそのような推測したかというと、平成になっても65km/h制限のロホキ34200が運用されていましたし、後にチキ80000化される前の生石灰輸送は、8800や2800等の貨車は蘇我方面に、4700の速度制限車は南武線に運用されてたからです。

あとこのルート変更って、八王子での機関車交換がほぼ無くなったのとリンクしてるような気がしますね。

元八王子機関区職員さんのコメントを見ますとそう感じます。

>元八王子機関区職員さま、ゆかわあきらさま、

ご教示ありがとうございます。

列車の運行ルートというのは、単に線路配置だけでなく、種々の理由によって決められるということにあらためて気づかされました。

皆様
コメントありがとうございます。
KASAさんのおっしゃる通り、外からではわからないような複雑な要因があるのですね。

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