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2017年7月22日 (土)

貨物列車ネタ3(寄り道する列車)(神戸港・大阪貨タ・名古屋貨タ)

今回は、「幹線から分岐する支線上にある貨物駅に寄り道をする貨物列車」に関するお話です。旅客列車ではあまり見かけないパターンですね。
ここでご紹介する具体的な寄り道先の実例は神戸港駅、大阪貨物ターミナル、名古屋貨物ターミナルです。

 

1.神戸港駅
'80貨物時刻表では神戸港駅に寄り道をする貨物列車は見当たりませんで、神戸港駅を通る貨物列車はすべて神戸港駅もしくは湊川駅を始発または終着としています。
ところが'82貨物時刻表では寄り道する貨物列車が登場します。
具体的には以下の5本です。
①673列車 吹田操→神戸港→岡山操
②677列車 吹田操→神戸港→岡山操
③977列車 吹田操→神戸港→姫路
④1292列車 姫路→神戸港→吹田操
⑤4962列車 米子→神戸港→吹田操
寄り道の際の分岐は東灘信号場です。
いずれも一般の貨物列車のようで、コンテナ列車ではありません。
ここで気になるのが列車番号です。貨物時刻表を見る限り寄り道の前後で列車番号が変わっていないんです。
ということは、例えば東灘信号場で考えた場合、
・14時24分に吹田操から673列車が到着して14時27分に神戸港に向けて出発
・16時16分に神戸港から673列車が到着して16時31分に岡山操に向けて出発
ということになるわけで、これってルール違反じゃないの?という気もします。
その後の貨物時刻表でも寄り道列車は掲載され、2002貨物時刻表では7本のコンテナ列車が確認できます。やはり列車番号は変わりません。
その後2003年に神戸港駅自体が廃止されてしまったため、神戸港駅寄り道列車は姿を消してしまいました。

 

2.大阪貨物ターミナル
1982年(昭和57年)の開業以来しばらくの間は貨物時刻表では寄り道する貨物列車は確認できませんでしたが、2002貨物時刻表では寄り道列車が掲載されています。
①3094~75列車 金沢→大阪貨タ→高松貨タ
②3074~74~3095列車 松山→大阪貨タ→金沢貨タ
寄り道の際の分岐は吹田信号場です。
神戸港駅の場合と違って大阪貨タを境に列車番号は変わるようになっています。
2009貨物時刻表でも
①3094~73列車 金沢→大阪貨タ→高松貨タ
②3072~72~3095列車 松山→大阪貨タ→金沢貨タ
のようにほぼ同様の状態でしたが、2014貨物時刻表では寄り道列車は見当たらなくなってしまいました。
ただよくよく見ると、
①-1 3094列車 金沢→大阪貨タ
①-2 73列車 大阪貨タ→高松貨タ
②-1 3072~72列車 松山→大阪貨タ
②-2 3095列車 大阪貨タ→金沢貨タ
という列車がほぼ同じ時間帯の運転で掲載されており、つまり大阪貨タを境に2本の列車に分割されたように思えます。
このことについては後述します。

 

3.名古屋貨物ターミナル
'85貨物時刻表までは寄り道列車は掲載されていませんでしたが、'86貨物時刻表で登場しています。
①2076~3076~4076~4093列車 四日市→名古屋貨タ→泉
②4092~4077~3077~2077列車 泉→名古屋貨タ→四日市
③2094~4095列車 四日市→名古屋貨タ→札幌貨タ
④4094~2095列車 札幌貨タ→名古屋貨タ→四日市
寄り道の際の分岐は名古屋駅です。
大阪貨タの場合と同様名古屋貨タを境に列車番号は変わるようになっています。
その後'90貨物時刻表では
①2092~3092~92~4093列車 四日市→名古屋貨タ→泉
②4092~93~3093~2093列車 日立→名古屋貨タ→四日市
の2本のみとなりましたが、③と④については大阪貨タと同様、
③-1 2094列車 四日市→名古屋貨タ
③-2 4095列車 名古屋貨タ→札幌貨タ
④-1 4094列車 札幌貨タ→名古屋貨タ
④-2 2095列車 名古屋貨タ→四日市
のように名古屋貨タを境に分割されたようです。
その後2002貨物時刻表ではさらに
①-1 2086列車 四日市→名古屋貨タ
①-2 2060~90列車 名古屋貨タ→隅田川
①-3 92~2093列車 隅田川→泉
②-1 2094~91~2061列車 泉→名古屋貨タ
②-2 2085列車 名古屋貨タ→四日市
のように分割され、貨物時刻表の上では寄り道列車は姿を消しました。
なお'86貨物時刻表では四日市←→名古屋貨タの折り返し駅が「笹島」ではなく「名古屋」と記載されており、一瞬 「!?」 と思ったのですが、何のことはない、旧笹島駅の着発線部分も名古屋駅の構内なんですね。

 

ところで大阪貨タと名古屋貨タの項で書きました「列車の分割」。
このような事例を見ると、「一つの列車と呼ぶことのできる条件」とはいったい何? って思ってしまいますね。
・列車番号が同一であること
は関係ないとして、次に思い浮かぶのは
・大部分の車両が直通すること
なんですが、車両が直通するにもかかわらず別列車として時刻表に掲載されている旅客列車もあります。逆に貨物列車の場合は、始発駅を出た時とは全然違う姿で終着駅に着くものもあります。鉄道でそのような事例があるかどうかわかりませんが、昔バスで、時刻表上は1本の便なのに途中の車庫で車両交換する(すなわち乗客は乗ってきたバスから降ろされて別のバスに乗り換える)といったこともありました。
今回の記事はあくまで「一つの列車が寄り道をする」ことを前提に書きましたが、考えてみるとその「一つの列車」ということがちょっとあいまいで、結局のところ
・時刻表で一つの列車として掲載されていること
ということになるのかな、と思ます(汗)。

 

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バックナンバーはこちらからどうぞ。

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コメント

> 鉄道でそのような事例があるかどうかわかりませんが、

昭和40年代の話ですが、子供のころ京成金町線の柴又駅から「上野行き」に乗った時、駅の時刻表に「高砂で車両交換」との表示がありました。はたして本当に、高砂に着くとホーム向かい側の別編成に乗り換えさせられました。
またずっと後になり、京浜東北線「大宮行き」が南浦和駅の4番線(北行本線)に着いたところ、3番線に待機していた別編成に車両交換する場面に出くわしました。こちらは所定運用なのか何らかのイレギュラーなのかわかりません。通常ではなかなか乗れない、3番線から大宮方面への進出ルートに乗れたので満足でした。

クモイ103さん
>車両交換
そうなんですよね、所定なのか突発なのかがよくわからないんですよね。
ちなみに私がご紹介したバスの車両交換は浅草寿町発金町駅行き都営バスの青戸車庫での出来事でした。

f54560zgさん、貨物列車ネタをありがとうございます。

神戸港支線の貨物列車の列車番号ですが、昭和56年4月1日現在の大阪鉄道管理局の列車運転時刻表の運転手続に、「列車番号の呼称方」という項目があり、

次の列車は下記区間、列車番号に「上り」または「下り」を冠して、呼称するものとする。

とあって、神戸港に寄る貨物列車で神戸港で列車番号が変わらない列車の列車番号が挙げられており、その区間は「東灘操~神戸港」とあります。

ですので、例えば、 f54560zgさんが上に列挙して下さった673列車の場合ですと、東灘操→神戸港 「下り673列車」、神戸港→東灘操 「上り673列」車」と呼称していたようです。

ルール違反は百も承知ということでしょうか・・・(汗)。

KASAさん、情報ありがとうございます。そんな細工がされていたんですね。
それにしてもKASAさんのお持ちの資料の豊富さ、スゴイですね。

f54560zgさん、こんばんは。

いえいえ・・・豊富だなんてお恥ずかしいです。統一性のないバラバラのデータしか手許にないのが実情です。

ヤード系貨物輸送における貨物列車というのは、かなり複雑ですね。

途中で明らかに「寄り道」をする旅客列車は、福井鉄道の越前武生⇔田原町間の普通列車が市役所前から分岐して福井駅前までの区間へ立ち寄るのがほぼ唯一の例ですかね。

はじめまして。
寄り道で思いついたのが「リゾートしらかみ」の川部~弘前です。
観光列車だからこんな経路なんでしょうかね。

>鉄道でそのような事例があるかどうかわかりませんが、
阪急梅田駅の時刻表ですが・・・
http://www.hankyu.co.jp/station/pdf/HK-01_ky_2_w.pdf
この会社、運用中の車両交換を定期的にやってます(11:56のとか)。

行き先は高槻市行きで案内。
車両交換の案内で正雀で対面乗り換え。
ちなみにM、Cとも乗り換えで運転助役が出入庫線に引き上げていたように思います。

で 様

阪急電鉄、以前は神戸線梅田行普通の西宮北口でも車両交換やってましたけど、いつの間にかなくなってますね。

KASAさん、いやいや、相当な情報量ですよ。これからもいろいろご教示お願いしたします。

名無しさん、Hinamiyaさん、情報ありがとうございます。旅客列車の寄り道は直通客からは不評かもしれませんね。観光列車であれば問題はないかも。

で。さん、 名無しさん、情報ありがとうございます。定常的に車両交換する場合、素朴に、なんで2本の列車に分けないのでしょうかね?

阪急の場合、乗務員がそのまま引き続いて乗務するってのが一因かもしれません。
結構、乗務後の休憩時間の協定があると2本に分けると別の乗務員手配が必要で、京都線系統の場合は正雀に乗務員配置がないため淡路から回送する必要があり、要員が純増してしまうと言う大人の事情がある気がします。

列車として分割しない理由の一つに、運転密度がそこそこ高い路線の場合、途中駅止まりとして案内してしまうと、たとえその先の接続があることを案内していても、「途中までしか行かないから」と見送ってしまう人がいることがあると思います。

実際、阪急神戸線の場合、私のあやふやな記憶では西宮北口行と案内していた時期もあったような気もするのですが、いつの間にか元に戻ったようです。

大人の事情は・・・、まあ、会社によってはそういうケースもあるかもしれませんが、だったら、「車両は直通するけど列車番号が変わる」というケースで必ず乗務が切れるかというとどうなんでしょう?

で。さん、名無しさん、なかなか複雑な事情がありそうですね。難しい・・・。

神戸港は麦芽の輸入していましたので主に岡山操行きは万富のキリンビールへ麦芽と空き瓶の輸送目的です。キリンビールの専用貨車のホキ9800が神戸港常備や国鉄のホキ2200の湊川駅常備と岡山操常備などがあります。
神戸港は輸入麦芽、輸入小麦、輸入大豆の一台拠点です。

万富のキリンビールさん、情報ありがとうございます。ビール工場の専用線というとどちらかと言えば製品の出荷のほうを思い浮かべてしまいがちですね。

定期車両交換ネタだと昔京王にあった、
京王八王子駅発都営新宿線直通ですか。

桜上水で京王のグリーン車と都の10-000系を交換してという運転だったと記憶してます。

恵比寿のサッポロビールに時々原料運搬にサッポロビール私有穀物ホッパー車が来てました 当初は黒色にサッポロの星マークでしたがホキ2200と同じクリーム色に塗り替えられ使われてました

名無しさん、情報ありがとうございます。結構あちこちでそのような事例があったんですね。
yyoshikawaさん、サッポロビールも私有貨車を所有していたんですね。

こんばんは。初めて書き込みさせて頂きます。
貨物列車の列車番号についてですが、最も可能性があるかな…と感じるのは「機関車の運用」です。
例えば現在列番が変わる代表的な列車、5086~3083~83レ(百済タ~札幌タ:東海道経由)では、機関車交換のある新鶴見、青森(信)でそれぞれ列車番号が変わります。これを踏まえると、'82年に列番が変化しないまま神戸港を通る列車が突如現れたのは「'81年に神戸臨港線が電化され、機関車が通し運用になったから」と考えるとしっくりきます。このような列車が生まれる理由は他にも様々な条件が絡んでいると思うので、私も気になる所です。またこのような投稿を楽しみにしております。

65さん、コメントありがとうございます。
なるほど、機関車の運用も関係しているかもしれませんね。過去と現在とでは基準が変わっているかもしれませんし、なかなか難しいテーマですね(汗)。

バスに関して言うと京都ではあるあるです。
一番多いのは循環系統である200番台で、
九条車庫、
みぶ、
で前に止まってるバスに乗り換えです。


鉄道で遭遇したことあるのは、
京急神奈川新町での普通車の車両交換。
(ここは定期的にあると思われます。)
岳南鉄道岳南富士岡でした。
岳南は発車時から不具合そうだったので、
富士岡の検査場まで何とか持ってい行き、
そこで変えたようでした。
(赤カエルが現役時代の頃です。)

ゆかわあきらさん
情報ありがとうございます。
京都のバスから京急・岳南まで、よくご存じですね。

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