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2015年3月15日 (日)

過走余裕距離内の転てつ器 その4

前回の記事では過走余裕距離内の転てつ器の片鎖錠について書きました。定位の片鎖錠であれば、反位から定位には転換できるが定位から反位には転換できない、ってヤツですね。
この片鎖錠、転てつ器を単独で取り扱う連動装置であればよいのですが、信号てこによって転てつ器も制御される、すなわち総括制御の連動装置ですとちょっと具合の悪いことがあります。

実例で説明しましょう。今回は北陸線の福井駅です。連動装置は第1種電気継電進路選別式です。

19791004r

細かくてわかりづらいので拡大します。

19791004m3r

19791004m1r

実際には開通てこが設けられているのですが、まずは過走余裕距離内の転てつ器が片鎖錠となっていたらどうなるのか、について説明をします。具体的には、上り場内信号機6REの過走余裕距離内の転てつ器57、56、51が定位の片鎖錠となっている場合で考えます。

・たとえば中3番線にいる気動車をいったん上り機折線に引き上げ、折り返して上り2番線に移動させるという入換作業を行っていたとします。この入換作業の最中に上り本線に上り列車を進入させる場合を考えます。
・中3番線から上り機折線までは入換標識26RHによって進路を構成します。これによって54、55が定位、56、51が反位に転換されて鎖錠されます。
この状態で上り本線に上り列車を進入させるために場内信号機6REを取り扱うと、過走余裕距離内の転てつ器56、51が26RHによって反位に鎖錠されていますので6REは警戒信号を現示します。
・ここで気動車が上り機折線への進入が完了し、26RHを定位に戻したとします。すると56、51は解錠されるわけですが、この時6REが引かれていますので、定位の片鎖錠である56、51は反位から定位への転換・鎖錠が自動的に行われてしまいます(総括制御であるため)。
・この結果、上り機折線の気動車を上り2番線に移動させようとしても、51が定位に鎖錠されてしまっているため入換標識22LIを取り扱うことができなくなってしまいます。

つまり総括制御の連動装置に片鎖錠を使用すると、信号てこの取扱い方法によっては転てつ器が現場の意に反した転換をしてしまい、構内作業に支障が出てしまう恐れがあるというわけです。

これを防ぐために設けられたのが開通てこです。
連動表を見てみましょう。

・まず、連動表には開通てこという名称のてこが記載されています。上り本線の開通てこは11Rですね。そしてこの11Rの鎖錠らんには場内信号機6REの過走余裕距離内の転てつ器57、56、51が記載されています。
・一方6REの鎖錠欄を見てみますと、記載されている転てつ器は防護区間内の63、65、66だけで、過走余裕距離内の転てつ器は記載されていません。さらに(○11R)(正しくは上下方向のカッコですが)というのが記載されています。つまり、6REによって11Rが反位に片鎖錠される、ってことですね。
・次に開通てこの取扱い方ですが、先の例の気動車の入換中に上り列車を進入させる場合は11Rを定位としたまま6REを反位にします。こうすることにより過走余裕距離内の転てつ器57、56、51は何ら鎖錠されることがありませんので入換作業に支障をきたすことはなくなります。また6REには警戒信号が現示されます。
・仮に入換作業が早く終了した場合、11Rを反位に取り扱えば57、56、51が定位に転換・鎖錠され、6REには注意信号が現示されることとなって、より高い速度で列車を進入させることができるようになります。11Rは反位の片鎖錠ですのでこのような取り扱いが可能です。当然、いったん11Rを反位にしてしまったら6REにより鎖錠されてしまいますので、6REを定位に復さない限り11Rは定位には戻せません。
・過走余裕距離内での支障がない状態で上り本線に停車列車を進入させる場合は11Rを反位にして6REを取り扱います。これにより過走余裕距離内の転てつ器が列車を進出させる方向に開通することになり、かつ6REは注意現示、上り本線の出発信号機3Rには停止信号が現示されます。
・また、連動表には記載されていませんが、11Rは3Rにより総括制御されます。つまり3Rを反位にすると自動的に11Rも反位になるということです。先に記した通り11Rが定位の状態で6REを反位にすると、仮に3Rが反位であったとしても6REには警戒信号が現示されますので、上り本線を通過する列車を進入させる場合は6REと11Rと3Rの3つのてこを取り扱わなくてはならなくなります。11Rを3Rによる総括制御とすれば、6REと3Rの2つのてこを取り扱えば通過列車を進入させることができるようになりますので、信号取り扱いの簡素化につながるわけです。

規模の大きい停車場では警戒信号で列車を進入させなければならない状況が多々発生するでしょうし、またそのような停車場は総括制御の連動装置が一般的かと思われます。従って規模の大きい停車場では開通てこが設けられることが多いのではないかと思います。

過走余裕距離内の転てつ器のお話、これにて終了です。

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