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2015年2月22日 (日)

過走余裕距離内の転てつ器 その1

まず、国鉄時代の運転取扱基準規定の中からいくつかの条文ををご紹介します。

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第2章 運転
第2節 列車の運転
第1款 通則
第55条 列車の同時進入及び同時進出
『停車場で2以上の列車が相互に支障するおそれのあるときは、次の各号の1に該当する場合に限り、これらの列車を同時に進入させ、または進出させることができる。
(1)安全側線(引上線を含む。)を設けてあるとき
(2)警戒信号により列車を進入させるとき
(3)列車の進路に対して、出発信号機又は列車停止標識若しくは場内信号機の位置から前方へ150m以上の過走余裕距離を設けてあるとき
(4)列車を誘導するとき』

第2章 運転
第5節 転てつ器の取扱い
第107条 列車進入前の転てつ器の開通方向
『出発信号機の内方にある転てつ器(総括制御の第1種継電連動装置の転てつ器を除く。)は、2以上の列車が相互に支障するおそれのある場合を除いて、列車を停車場に進入させる前に、これを列車の進出する方向に開通しておかなければならない。ただし、到着後、直ちに引上線を使用して車両入換えを行う列車を進入させるときは、安全側線又は引上線の方向に開通しておくことができる。
2 (以下略)』

第4章 鉄道信号
第2節 常置信号機
第3款 信号機の取扱い
第311条 列車又は車両の進路及び信号の現示
「列車又は車両の進路(進行信号、減速信号又は注意信号の場合は、過走余裕距離を含む。以下同じ。)に支障のあるときは、その区間を防護する信号機に進行を指示する信号を現示してはならない。」

第4章 鉄道信号
第2節 常置信号機
第3款 信号機の取扱い
第314条 停止列車を進入させるときの信号機の取扱い及びその順序
「停車場に停止すべき列車を進入させるときの信号機の取扱い及びその順序は、次の各号に定めるところによらなければならない。
(1)自動区間
ア 進行定位の信号機の設けてあるとき
出発信号機及び場内信号機に進行を指示する信号を現示しておくこと。
イ 停止定位の信号機の設けてあるとき
出発信号機に停止信号を、場内信号機に注意信号又は警戒信号を現示すること。
(2)非自動区間
出発信号機に停止信号を、場内信号機に注意信号又は警戒信号を現示した後、遠方信号機に減速信号を現示すること。
(以下略)
==========

若干乱暴ではありますが、以上の条文で規定されていることがらの主だったところを整理・要約すると以下のようになろうかと思います。

・場内信号機によって停車場に列車を進入させる場合は、場内信号機の防護区間内だけではなく出発信号機の内方(=過走余裕距離内)の転てつ器についても以下のように取り扱い方が定められている。
1)他の列車との支障がないのであれば過走余裕距離内の転てつ器は列車の進出する方向に開通させておくこと。
2)支障があるのであれば、過走余裕距離内の転てつ器を安全側線側に開通させておくか、もしくは警戒信号で列車を進入させること。そのいずれもが不可能ならば列車を停車場に進入させてはならない。

今回は、以上のような過走余裕距離内の転てつ器の取扱いが正しく行われるために、連動装置にどのような条件が組み込まれているのかを、実際の駅の連動図表を見ながら調べてみましょう、というお話です。

まず最初に福知山線の石生駅です。連動装置は第2種機械乙です。
19790825_3
・連動表の、たとえば下り場内信号機1の鎖錠らんを見てみましょう。ここには 21 23 <6> <8> <10> と記載されています。これらのうち転てつ器は21と23だけですが、いずれも場内信号機1の防護区間内の転てつ器であって過走余裕距離内の28、30、31については記載がありません。
他の場内信号機3、8、10についても同様で、防護区間内の転てつ器については記載がありますが過走余裕距離内の転てつ器については記載されていません。
・つまり場内信号機を取り扱う際の過走余裕距離内の転てつ器の取扱いについては連動装置には組み込まれてはおらず、人間の注意力に依存していることになるのだと思います。
・なお石生駅の場合は安全側線が設けられておらずかつ場内信号機に警戒信号を現示することもできませんので、たとえば
1)尼崎方→2番線 と 福知山方→1番線
の同時進入を行ってはいけないことになります。もし上り場内信号機8が反位に取り扱われている状態のときに、誤って下り場内信号機1を反位に取り扱おうとした場合、正しい取り扱いが行われていれば8の過走余裕距離内の転てつ器21は列車の進出する方向、すなわち反位に転換されているはずですので、1のてこを引くことはできません。
しかしながら前述の通り21の反位への転換はあくまで人間の注意力に依存しているため、仮に正しい取り扱いが行われていませんと(つまり21が定位のままですと)、結果として8が反位の状態でも1を反位にできてしまう危険性があります。これを防止するため1の鎖錠らんには<8>が記載されており、8が反位の時は1を反位にできないようにする信号機相互の鎖錠が連動装置に組み込まれています。
2)尼崎方→2番線 と 3番線→福知山方
3)尼崎方→3番線 と 2番線→福知山方
4)尼崎方→2番線 と 福知山方→3番線
5)尼崎方→3番線 と 福知山方→1番線
6)福知山方→1番線 と 3番線→尼崎方
7)福知山方→3番線 と 1番線→尼崎方
についても同様です。

次に米坂線の小国駅。連動装置は第2種継電乙です。

19790719
・連動表を見てみますと、4本ある場内信号機2L、2R、5L、5Rのいずれの鎖錠らんにも防護区間内の転てつ器のみが記載されており、過走余裕距離内の転てつ器については記載されていません。つまりこれだけ見ると先の石生駅同様、場内信号機を取り扱う際の過走余裕距離内の転てつ器の取扱いについては連動装置には組み込まれてはおらず、人間の注意力に依存しているように見えます。
・しかしながら小国駅の場合は石生駅と違って安全側線が設けられていますので、
1)米沢方→下本 と 坂町方→上本
2)米沢方→下本 と 坂町方→上1
については同時進入が可能となっています。
たとえば上記1)の同時進入が行われる場合、場内信号機2Lと5Lが反位に取り扱われるわけですが、連動表を見ての通り5Lを反位にすることにより2Lの過走余裕距離内の転てつ器51は定位(安全側線側)に鎖錠されることとなります。よって他の列車との支障がある場合の過走余裕距離内の転てつ器については連動装置により間接的に安全側線方向への開通が確保されることとなり、他の列車との支障がない場合に列車の進出方向に開通させることについてのみ人間の注意力に依存することになりますね。
・以上のように場内信号機を取り扱って列車を進入させるという作業をする場合、同時進入が行われるか否かによって過走余裕距離内の転てつ器を安全側線方向に開通させるか進出方向に開通させるかの2通りのケースが発生するわけですので、場内信号機で過走余裕距離内の転てつ器を鎖錠しない方がいろいろと面倒が少ないというメリットがあるのかもしれません。
・また小国駅の場内信号機は警戒信号を現示できませんので
3)米沢方→上1 と 坂町方→上本
4)米沢方→下本 と 上1→坂町方
5)米沢方→上1 と 下本→坂町方
6)坂町方→上本 と 上1→米沢方
7)坂町方→上1 と 上本→米沢方
については同時進入・進出が禁止ですが、これらについては石生駅と同様連動装置によて信号機相互間に鎖錠が設けられています。

次に北陸線の松任駅です。連動装置は第1種電気継電鎖錠てこ式です。
19791001r_2
・連動表を見てみますと、たとえば場内信号機1Rの鎖錠らんには防護区間内の転てつ器31、32、38に加えて過走余裕距離内の転てつ器37、35も記載されています。その他の場内信号機2R、8L、9L、10Lについても同様です。
すなわち先の石生駅、小国駅と違って、場内信号機で過走余裕距離内の転てつ器も鎖錠するようになっていることがわかります。
・場内信号機で場内信号機で過走余裕距離内の転てつ器を鎖錠するのかしないのかの明確な境界があるのかどうかわかりませんが、重要な駅においては鎖錠するってことなんでしょうね、きっと。
・同時進入・進出に関しては、いずれの場内信号機も警戒信号を現示できませんので
1)米原方→下本 と 中→直江津方
2)米沢方→中 と 下本→直江津方
3)直江津方→上本 と 中→米原方
4)直江津方→中 と 上本→米原方
5)直江津方→下1 と 米原方→下本
6)直江津方→下1 と 米原方→中
7)下1→直江津方 と 米原方→下本
8)下1→直江津方 と 米原方→中
については同時進入・進出が禁止となりますが、前述の通り場内信号機で過走余裕距離内の転てつ器を鎖錠していますので、上記1)~8)の進路を同時に構成することはできないようになっています。

以下次回の記事に続きます。

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コメント

今回も頭の体操になる記事、実に読み応えがありますね。

毎度長文で失礼いたしますが、補足をさせて頂きたく思います…


石生駅の
>連動表の、たとえば下り場内信号機1の鎖錠らんを見てみましょう。ここには 21 23    と記載されています。これらのうち転てつ器は21と23だけですが、いずれも場内信号機1の防護区間内の転てつ器であって過走余裕距離内の28、30、31については記載がありません。

小国駅の
>連動表を見てみますと、4本ある場内信号機2L、2R、5L、5Rのいずれの鎖錠らんにも防護区間内の転てつ器のみが記載されており、過走余裕距離内の転てつ器については記載されていません。

これは、ただでさえ運転取扱基準規程第107条により、相互支障のおそれがない場合には列車到着前に進路を進出側に転換せねばならないのに、相互支障のおそれがある場合にも過走余裕距離内の転てつ器を転換することとなると、転てつ器が現場扱である第2種連動装置を設けた停車場の場合、駅の広さによっては転てつ手によるこの取扱が実施不可能となります。
そのため、第2種連動装置を設けた停車場の過走余裕距離内の転てつ器には信号機との連鎖を設けなくてもよいこととされています。(信号設備施設基準規程(以下「信施」)第66条第3号)
その代わりに、ご指摘のように過走余裕距離内を支障する進路を持つ信号機相互間に連鎖を付すことで、過走による他列車等への支障から防護しています。
(信施第40条第3号)


したがって、
>場内信号機で過走余裕距離内の転てつ器を鎖錠するのかしないのか
は、信施第66条に明示されているということになります。


【参考】
信号設備施設基準規程(昭和40年電達第2号)抜粋

第40条 列車の過走により他の列車又は車両に支障を及ぼすおそれのある場合で、場内信号機、出発信号機又は列車停止標識に対して安全側線(第1種車止めを設けた引上線を含む、以下同じ)の設けてないときは、次の各号の1に該当する設備を設けるものとする。
(1)外方の信号機に警戒信号を現示する設備
(2)外方の信号機と場内信号機、出発信号機又は列車停止標識の内方の過走余裕距離(150m以上)内の転てつ器等との間に連鎖を設ける設備
(3)外方の信号機と場内信号機、出発信号機又は列車停止標識の内方の過走余裕距離(150m以上)内を支障する他の信号機及び入換標識との間に連鎖を設ける設備


第66条 信号機とその過走余裕距離内の転てつ器との間には、連鎖を設けるものとする。ただし、次の各号の1に該当する転てつ器との間には、連鎖を設けないことができる。
(1)常時鎖錠の転てつ器
(2)自動区間の第1種電気継電連動装置(単独てこ式継電連動機を使用した場合に限る。)を設けた停車場の安全側線を分岐する転てつ器
(3)第2種連動装置を設けた停車場の転てつ器


参考文献
信号設備施設基準規程 日本国有鉄道 1965
改訂 信号設備施設基準規程解説 信号保安協会 1972

てつ@ち鉄局さん、情報ありがとうございます。
私もとりあえず手持ちの資料を調べてみたのですが、国鉄時代の「運転保安設備基準規定」の第181条に同様の規定があるのを見つけました。
「信号設備施設基準規程」とか、「運転保安設備基準規定」とか、同じような規定がいろいろありますね(汗)。
また、本日の記事の亀岡駅は鎖錠てこ式(≒単独てこ式)ですが過走余裕距離内の転てつ器に連鎖を設けておりますし、また第2種連動装置の停車場でも同じ例があります。まあ、「連鎖を設けないことができる」ですから設けても構わないわけですが、停車場の個別の事情によっていろいろなケースがあるのだと思います。

 どこに書いてよいのか迷ってここに記します。過走余裕距離が絡むからです。

 5月22日に長崎本線の肥前龍王で発生した正面衝突未遂のこと。半分は判って半分は不可解です。念のため新聞資料を整理すると次のとおりです。

1.肥前龍王は1線スルー配線で、直線の通過線と分岐側の退避線の2線がある。

2. 2019Mは肥前竜王を通過予定のところ、車両の異常点検のため肥前龍王の上り場内付近に停車した。この停車位置が後で問題となる。

3. この遅れを受けて指令は2020Mとの交換を肥前竜王に変更した。

4.2020Mは指示を受けて肥前龍王の退避線に進入して停止した。

5.運転可能となった2019Mは指令の指示により運転再開した。

6. 運転士は場内を過ぎて停車したと思っていたため、停車前に確認していた場内に従って通過線に進入のつもりであった。

7.ところが進路が退避線に向かったため停車した。両列車の先頭間隔は93mであった。

 そこで推理と判断をすると

① 2020Mに対して上り待避線の場内を進行指示とするためには、過走距離確保のため進出する側の分岐も開通させなければならない。(場内に警戒を出せば別ですがその設備があったとは思えない)

② ところがこの分岐は2019Mの接近により鎖錠されている。

③ 転換が可能だったのは時間経過によって接近鎖錠が解除されたものと思われる。
 また転換できたことから2019Mの停止位置は場内の手前だったと確認できる。

④ 2020Mのために退避線側に転換した分岐は鎖錠が解けるまで時間を要する。

⑤指令は解除前に2020Mに対する進路を構成して運転指示を出したのではないか? もちろん鎖錠が解けるまで分岐は動かず場内も進行指示とならない。

⑥ 指令は解除によって場内が進行指示となり2019Mが進入するものと予想していた。

⑦2019M運転士は場内を過ぎたと思い込んでいたため、指令の指示で直ちに運転再開した。

△ もし転換中に進入していたらどうなりますか? 分岐の上に車両がいれば転換しないし、転換を開始した分岐は何があろうと転換を終えますね?

 以上、推理と疑問がゴチャ混ぜになりました。正確な知識をお持ちの方のご教示をお願いします。

・・・鉄道事故調査委員会の速報待ちかも・・・

C6217さん、この件については、なぜこんなことが起こるのか、実に不可解ですよね。
bad.Ⅳh-95さんのおっしゃる通り、調査報告を待ちましょう。

長崎本線の肥前龍王で発生した正面衝突未遂の事件を知った時は正直びっくりしました。

翌日の新聞を拝見し、ある条件で起こる可能性があり、見事に条件が成立してしまったからと思いました。

本来なら場内信号機を列車が過ぎて停車した場合、転てつ機が本線側から待避線側に転換されないようになっているはずです。

①ところが、信号機の位置とレール上の境界の位置がぴったり合っていない場合があります。写真を見る限り信号機の位置に対してレール上の境界の位置が少し先にあるような気がします。

②さらに列車検知はセンサーで列車の先頭を検知するのではなく車輪がレール上の境界の位置を超えることによって検知します。列車の先頭(または運転席の位置)に対して車輪の位置が後ろの位置にあるのが普通だと思います。

信号機の位置に対して①+②の分列車の先頭(または運転席の位置)が前に出ても構内に入ったことにならず転てつ機は転換できてしまいます。
(その範囲はせいぜい十数メートルかと思います)

一旦場内信号機に進行を指示する現示を出した後に急きょ停止にすることはあり得ると思います。
ただ、通常時速100キロ以上で走行するので十数メートル進むのにかかる時間は1秒にも満たない。このようなことは想定されてないはず。今回はまさに「神が降りた」と思わせるような事件だと感じました。

 verdandiさんのコメントで思い出しました。
 軌道回路セクションであるレール継目と信号機位置との差は、継目の手前5mから継目行過ぎ1mの範囲に信号機を設置する、との規程があった筈です。
 いま資料を探しましたが見つかりません。どなたか確認をいただけると助かります。
 車両形式図によるとボディ前端から先頭軸まで1.85mと出ました。ノーズのない特急型ですので上記の5mを加えた最悪条件では、運転士が車外を確認しても信号機柱が自分より後方にあることはあり得ます。 

私は事故現場の正確な位置関係は把握していないのですが、verdandiさんのコメント、 C6217さんのご指摘の通りの事は充分にあり得ます。そこへ運輸指令との連絡が不充分だったのでしょう。

 追記です。
 上の想定があたっていれば2019MはATS-Sの直下警報を受ける筈です。
 しかし車上のアンテナは先頭台車の後に装備するものが多く、また地上アンテナは継目の相当手前に位置します。
 結果として最初の停車が場内直下の地上アンテナを通過した後とすればすべてのツジツマがあいます。  
 地上アンテナが相当手前に置かれるのは蒸気機関車の名残です。車上アンテナはテンダーに装備しましたから先頭軸から10m以上も後方になります。先頭軸が継目を越えると場内信号機が停止となって警報を発しますので、それをキャッチしないようにとの配慮です。

verdandiさん、C6217さん、 すみもとさん(お久しぶりです)、結局のところ2019Mの停止位置と、軌道回路の境界と、下り場内信号機の建植位置が微妙な位置関係になってしまったことが根本のようですね。

>もし転換中に進入していたらどうなりますか? 分岐の上に車両がいれば転換しないし、転換を開始した分岐は何があろうと転換を終えますね?
●転換途中で動作を停止することはないでしょうし、転換前の状態に戻ろうとすることもないでしょうから、おそらくは転換を終えると思うのですが。

>一旦場内信号機に進行を指示する現示を出した後に急きょ停止にすることはあり得ると思います。
ただ、通常時速100キロ以上で走行するので十数メートル進むのにかかる時間は1秒にも満たない。このようなことは想定されてないはず。
●このようなケースは想定されていると思います。具体的には接近鎖錠または保留鎖錠ですね。

補足です。

「そのようなこと」とは停止した列車の先頭の位置が信号機の位置を通り過ぎていつにも関わらず車輪が構内に入っていない状態のことを指します。
その範囲はどんなに多く見積もっていても十数メートルのはずでず。(信号機が運転席から十分に見えないため、運転士が信号機を行きすぎたと思う可能性がある範囲を含む)

もし最初の停止の時にブレーキをかけるタイミングが1秒でもずれていれば、信号機が十分見える位置に停止するか、完全に構内に進入して転てつ機が待避線側に転換できない状態になっていると思います。

最初の停止の原因が停止現示ではなく異常の感知のようで、停止した段階では場内信号機は進行を指示する現示となっていたと思われます。

verdandiさん、スミマセン、誤解しておりました。
補足いただいた文章で理解できました。
そうですね、想定されていないでしょうね。想定されていたら今回のようなことは起こらなかったでしょうし。

遅まきのコメントご容赦下さい。
2019Mの第一軸が場内信号直下の絶縁継目を踏んだか否かが非常に微妙な位置だったようです。この一件以後、緊急措置として絶縁の継目板上面に白ペイント塗布がなされ、その後オレンジ色の「絶縁継目位置標」が設置されました。緊急停止した場合に「ウテシが降車して絶縁継目を超えたか否かを目視で確認するよう、指令が指導する」事が規定されました。

コメント中にも運輸安全委員会の報告書待ちの旨が書かれていますが、同委員会から「鉄道重大インシデント調査報告書」が出ています。
同委員会のサイトから、
発生日 2015年05月22日
公表日 2016年06月30日
で、検索できます。

下り特急列車が停止した位置(運転士、車軸の位置)と、信号機、軌道回路の境界が、微妙な関係にあったようです。さらに、CTC扱いで、指令員が現場の状況を把握するには、乗務員と指令員とのコミュニケーションが適切に行われなかったようです。
事故でなく、インシデントでおさまったことは、不幸中の幸いでした。

たいへん長文な報告書ですが、わかりやすく書かれていますので、ご一読をおすすめします。

軌道回路の境界を信号機より確実に手前にすればよいのでしょうが、あまり手前にしすぎると信号機を通過する前に停止現示になってしまいますので位置関係の設定は難しいですね。目視確認はあまりカッコよくないですがやむを得ないのでしょう。

 軌道回路境界と信号機位置との食い違い限度は定められている筈です。前後で異なり、1mと5mだったと記憶しています(朧)。

その限度を決めるのがなかなか難しかったのではなかったかと思いますね。

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