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2015年1月11日 (日)

誘導信号機

列車が停止している線路に、併結などの目的で他の列車を進入させるために設けられている誘導信号機。

現物はコレ。

01_20020707c16t
・郡山駅の東北線上り場内信号機です。誘導信号機は信号機ごとに3基設けられています。

配線図では下図のように表現されます。

02_198003t2

もう一例。

03_p1070356
・大月駅です。富士急行線の場内信号機です。同様に信号機ごとに設けられています。

以上は列車に対する誘導信号機ですが、当然ながら列車や車両が停止している線路に他の車両を進入させる場合(すなわち入換作業)もあります。

操車担当さんが誘導を行うのであれば別段問題はないのですが、入換信号機による構内運転(無誘導)の場合は、入換信号機も信号制御を行う信号機ですので、そのままでは列車や車両が停止している線路に他の車両を進入させることができません。
これの対応としては以下の2パターンがあるように思います。

●パターン1
入換信号機の防護区間を細分化する場合です。

04_20020609b10
・小金井駅の上りホームです。ホームの中ほどに入換信号機が設けられています。
・配線図では下図のように描かれています。

T2r
・小金井駅では、到着した上り電車の後部に増結車を連結する、といったような作業が多分頻繁に行われるんだと思います。
・たとえば上り入出区1番線に増結車を待機させておき、上り1番線に到着した電車の最後部にこれを連結する場合、17Rが設けられていませんと増結車は10Rの位置から誘導を行う必要があります。17Rが設けられていれば増結車は17Rの位置までは無誘導で進むことができるわけですね。
・もちろん上り到着電車は17Rの内方に収まっていなければなりませんし、また増結車の連結作業は誘導が必要になります。

06_19780927d04
・これは籠原駅です。小金井駅と同様の作業が行われる駅です。

07_p1020422
・これは新前橋駅です。同様ですね。

T
・沼津駅です。これは行き止まりの留置線(留置3番線)ですが、途中に入換信号機が設けられています。
・連結というよりは短編成車両の「縦列駐車」用でしょうか。

R
・配線図ではこんな感じに描かれています。留置3番線は1区/2区に分かれています。

R_2
・東大宮です。
・12番線から28番線まで、途中に入換信号機が設けられて1区/2区に分けられています。
・これによって、たとえば2区に短編成車両が留置されていたとしても、1区に短編成車両を誘導なしで進入させることができるようになります。

●パターン2
パターン1は誘導信号機を使用しないケースでしたが、こちらは列車に対するものと同様に、入換車両に対しても誘導信号機を設けるものです。

10_p1060574
・新津駅です。列車用と同じ形態の誘導信号機が設置されています。

R_3
・浜松駅です。形態が違うのですが、一番下、列車停止標識の左のランプが誘導信号機です。何かの反応灯と見間違えてしまいそうですね。
・同じ誘導信号機でも形態が違うのは、JR各社の規定の違いでしょうか。

09_200604t
・配線図上では列車用の誘導信号機と同じ記号が使用されていますね。


ところで誘導信号機等に関する素朴な疑問。
①冒頭の郡山駅といい大月駅といい、場内信号機が複数設けられているときは誘導信号機はそれぞれ別に設けられています。これはそのように規定で定められているからなのですが、なんでそのように定められているんでしょう。1基で共用ではダメなんでしょうか。進路表示機で共用される場内信号機の場合は1基でよいわけですから、何とも中途半端な気が・・・。
②誘導信号機は速度15km/h以下ですが、入換信号機は(多分)45km/hのはず。防護区間を細分化した場合、どのようにして過走を防止していんでしょうね。

配線図はT.Mさんよりご提供いただきました。

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コメント

①のこと。誘導信号機は複数の信号機を束ねると思いこんでいたので、郡山の場内のように独立しているのは驚きです。現在の規程が変わったのか、取り扱い誤り防止の投資なのか?

②のこと。誘導信号機は15km/h以下ですが、この速度では時間がかかって見ていてもイライラします。入換信号機は原則25km/hなので作業効率が大幅に向上するはずです。入換信号機の停止位置は20m手前と聞いています。ATS-Pが装備できそうですね。

阪神電車の入換信号機は色灯式です。主体の信号機と並ぶと本当ににぎやかです。紛らわしい思いもしますが信号冒進はなくなるでしょう。


入信はあくまで「入換」なので25km/hですが、田端操の着発1-6~山手着発線のように規定で定められた区間は45km/hとなっている所も存在します。
C6217さんが言うようにJR東管内では電車の入出区が多い入信は全てPが効いていますので、入力されたパターンによって入換速度もキチンと制限がかかります。

新津駅の入換信号機付帯の誘導信号機に驚きました。私は場内信号機付帯の場合は灯列式と色灯式の誘導信号機があり、入換信号機付帯の場合は色灯式のみだと理解していました。新鮮な情報をありがとうございます。
浜松の誘導信号機ですが、上段の単灯が誘導信号機で下段は入換信号機のように見えますがいかがでしょうか。拡大すると上段が白色、下段が青紫色に見えます。でも一般的な誘導信号機とはちょっと違うし、下段の単灯は近畿日本鉄道の手信号代用器に付属している合図灯のようにも見えます。

①についてなのですが、進路表示機で共用される場内信号機の場合でも、誘導信号機が点灯している時に、進路表示機が点灯するならば、必ずしも中途半端ではないのではないかと思うのですが・・・。

下のような場合もあるようです。(千葉駅総武本線上り第二場内信号機の例。)

http://www.geocities.jp/jtqsw192/FIG/100/etiba_sig.htm

ただ、国鉄時代、誘導信号機は、進路表示機がある場合、その下に設置する旨の規程があったような気もするのですが、JRになって変わったのですかね。

すいません・・・。「鉄道の技術上の基準に関する省令」の解釈基準を読んでいませんでした。

http://www.rail-e.or.jp/modules/library/index.php?content_id=13

の中の

Ⅶ-2 第55条(鉄道信号の現示装置等)関係

の8に、「進路表示機を附属させた誘導信号機」であれば、誘導信号機一基で2以上の進路に共有することが可能なようですね。

 皆様の論議以前のことで恐縮です。
 手信号代用器はすべての進路に有効と思っていました。進路は所定線か、変更があれば別途連絡を受けているはずです。写真でも場内信号機群に対して一つですね。
 誘導信号機もこれと同じと信じていたのに自信がぐらついています。進路指定があるのなら場内信号機の数だけ誘導信号機が必要となります。ヘリクツになりますが。

>c6217さま

装置的には手信号代用機と誘導信号機は天と地ほど違います。手代は旗の代わりで軌道回路も転轍機も関係ありません。
対して誘導信号は立派な信号で、場内との機能上の主な違いは着点軌道回路に在線している時に現示が出るかどうかです。転轍機の開通方向も途中の軌道回路もチェックします。連動表にも記載します。
なので例えば下り場内で下本と中1〜中3に入れる駅があったとして、場内に誘導が併設されていても、場内と同じ全ての番線に誘導で入れるとは限りません(多分そうでないほうが一般的)

なので誘導信号の進路は各番線毎に設ける必要があります。なお、実際に機構を進路毎にもうけるかというとそうではなく、上にも書いている方がいるように進路表示器で共用できます。

>管理人様
①についてですが、運転士がどの進路に対する誘導信号の現示かわからないから、だと思います。大月の例で、誘導信号を一つで共用してしまうと、誘導信号で入線するとき運転士は何番線に連れて行かれるかわかりません。これでは異線現示の時に気づきようがありません。

(ご存知かもしれませんが、ダイヤと異なる番線に入線してしまったら異線進入として運転事故になり、信号扱い者も運転士も両方一本取られます。運転士は事前通告なしでダイヤと異なる番線の進路が開通してるのを認めた場合は、基本的に場内外方で停車しなくてはなりません)

名前欄書き忘れましたが、一つ上のコメントもわたしです。三連投失礼しました

 私の勉強不足はお騒がせしております。私の誘導信号機の目撃は1回のみ。仙台駅の下り場内信号機で止められた後、誘導信号機の表示によって1番線に停車中の列車の後部直前まで進入しました。
 停止位置には係員が白旗を振っていました。目撃場所はキハ55のデッキといえば説明不用ですね。年代もこれで想像して下さい。
 このとき場内群に対して誘導信号機は1基だったので全体に対するものと思い込みました。
 手信号代用器と誘導信号機の相違はわかっているつもりでしたが全然ダメです。

C6217さん、中の人さん、そうですね、速度照査で過走を防止できるわけですね。
yukawa さん、新津のは私も衝撃的でした(笑)。浜松のは、順番としては上が入信識別灯、下が誘導のようです。連動図もその順番で描かれていますし。
KASAさん、なるほど、進路表示機も一緒に点灯するんですね。それなら共用も納得ですね。
名無し信通区さん、おっしゃる通りで。1つだけではどこに入るのかわかりませんものね。
もう一度C6217さん、おっと、忘れていました。誘導信号機で進入した場合の停止位置ですね。この場合は必ず人手による「白旗」(停止位置指示合図)が必要になるんですよね、きっと。停止位置目標のようなもので代用している例ってないのでしょうか。
また、誘導信号機止過走防止はどうなっているんでしょう?

f54560zgさん
誘導停目を使っている駅もありますよ
関東だと私が知る限り東京(総武地下)や小金井にあります

名無しさん、情報ありがとうございます。
そうですよね、こんなご時世ですからいちいち人手を使って白旗で合図、というわけにはいかないですよね。

初めまして。十兵衛(じゅうべえ)と申します。構内配線や信号機が大好きなので、こちらをよく拝見させていただいています。ただ、自分自身ではあまり画像が無いのでブログを立ち上げるほどではないのです。
JRの入換信号機に誘導信号機があるとは驚きでした。私鉄では場内に対しては灯列式、入換に対しては色灯式、が通例と思っていました。
小金井と籠原の画像でも誘導信号機が付いていないので、併合の際は識別標識が消灯して入換標識として進入させるのがJR方式と思い込んでいました。
横浜市に住んでいるので横須賀線逗子駅や京急の金沢文庫駅にも近いので、両社の違いなんかもじっくり観察してみたいと思います。

私の誘導信号での駅進入体験ですが、郡山駅で経験しています。磐越東線経由の水戸発福島行き準急(昭和41年3月から急行)「いわき」です。配線図にあるように、新幹線開業以前で機関区が福島寄り西側にあった時代です。車種は運転台そばにかぶりつけたのでキハ26形だったとおもいます。磐越東線本線に併結相手の「あいづ」がすでに在線していたので、誘導信号による構内への進入になったと思われます。
 東北地方では、気動車による分割併合の列車運用が広範に行われていた時代には、主要分岐駅では、誘導信号による進入が頻繁に行われたことでしょうが、現在は使用頻度もそう多くはないでしょうね。
 JR東の新幹線福島駅、盛岡駅でも「つばさ」、「こまち」が進入するときは誘導信号によるのか気になりますね。

十兵衛さん、はじめまして。
十兵衛さんの「驚き」は私も同じでした(汗)。機会がありましたら逗子駅や金沢文庫駅の情報お願いしますね。
コスモスさん、そうですよね、新幹線はどうなっているんでしょう。気になりますよね。

「ミニ新幹線誕生物語」(成山堂書店)によれば、衝突防止のため、ATS-Pによる速度ー距離パターンを利用して、「やまびこ」と「つばさ」の列車間隔の制御を行なっているようです。

東北新幹線・福島駅の在来線からのアプローチ部分には、第一~第四場内信号機があり、第四場内信号機(この場合は停止現示)内方約10メートルのところに新幹線列車が併結を待っており、第三場内信号機・注意現示で進入してくる在来線列車は、新幹線列車の約30メートル手前で一旦停止し、運転士が併合スイッチを取り扱うと、併結を待つ新幹線列車までの距離と速度のパターン(併結パターン)が発生し、その指示に基づき、在来線列車の運転士は、運転操作を行うとのことです。

https://www.youtube.com/watch?v=HIZUAFvt1w8

とかをみる限りでは、ホームの中間、併結を待つ東北新幹線の列車を護るように建っている信号機(上記書籍によれば、停止現示の第四場内信号機。)のところには誘導信号機は設置されていないように見えます。

KASAさん、ありがとうございます。さすがに新幹線に誘導信号機はありませんか。
でもホーム中ほどに信号機が建っているんですね。ちょっとオドロキ。

京急の金沢文庫駅に出かけてきました。併合・切離し作業が多い駅で、しかも2分弱で終えて発車してしまうので感嘆です。併合はやはり入換信号機の下に装備された燈黄色の誘導信号機で行っていました。併合や切離しに立ち会う係員が携帯無線機で信号扱い所に作業の状況を知らせているようです。
また、金沢文庫と金沢八景の間に金沢検車区があり、検車区の出入り口にあたる部分に歩道橋があるので構内をよく観察できます。ここでは、ホームから入換信号機で運転してきた車両は車両停止標識のある個所で一旦停止、そこで運転席の高さに合うように設置されたボタンを押し、入換標識と書かれた進路表示機のようなものに表示された数字に従って運転していました。構内は乗務員でなくヘルメットをかぶった専任の構内運転士が行っているようで、全員が無線機を持っていました。無線機と入換標識を組み合わせて構内運転士が単独で進路を構成しながら運転しているようです。
注意深く見ると入換信号機と入換標識で運転する個所はきっちりと区切られているようなので、そこがJRの構内とは違うようですね。

十兵衛さん、京急ではある意味「曲芸」的な離れ業が行われている印象ですね(失礼かな?)。
併結時は誘導信号機なんですね。これが主流なんでしょうか。

みなさま はじめまして。やわやわとまれと言います。よろしくお願いいたします。
十兵衛さん、ご照会の福島駅新幹線下2「つばさ」併結ですが、KASAさん記述の通り、停止現示の第四場内まで入ってきます。この下2にある第四場内ですが、「つばさ」単独運転の場合は減速現示がなされます。そこがおもしろいところです。

連投でお邪魔いたします。
新津駅入換信号機の灯列式誘導信号機、初見でした! 先日たまたまですが、長岡車両センター等から長岡駅に通じる線路の長岡駅手前に同じように灯列式誘導信号機が着いている入換信号機を見かけました。
雪の多い地域だけに、入信誘導でも灯列式の方が認識しやすそうですね。

やわやわとまれさん、はじめまして。今後ともよろしくお願いします。
情報ありがとうございます。長岡まで見に行かねばなりませんね。雪が融けたら見に行きましょうか。

②のことで、誘導信号機での速度が15km/hに抑えられている事に関して、遅く非効率では?旨の記事がありました。
 勝手な一考察ですが、入換信号機の防護区域は次の信号機または車両停止標識までで、留置車両が無いことが(軌道回路で判断)保障されています。よって安心して最後まで進むことができます。それに対し、ある箇所の連動図表を見ますと、入区ルートにそれぞれ入換信号機と誘導信号機が存在しますが、誘導信号機の現示条件に着点の軌道回路が含まれていません。すなわち、誘導信号機の防護区域は留置車両(アタリ)の手前までとなっており、当該着点の軌道回路は現示の条件から外れているのです。よって、着点の軌道回路内のどこに留置車両(アタリ)が存在するのかわからないので、目視でより容易に安全に停止手配が可能な15km/hに制限されているのでは…と思います。

新川佐紀衛門さん、おっしゃる通り誘導信号機の場合は到着線の軌道回路は信号制御からは除かれていますね(そうでないと到着線に進入できませんから)。前方に車両が存在することを前提として進むわけですから15km/hは妥当なんでしょうね。

誘導信号機は防護するものが何もなくほんと扱い方によっては危険ですよね。(ATS-Pで制限速度指定しているところもあるけれど・・・)

誘導信号機で繋ぐ場合、信号機外方でいったん止まる必要があるだけでなく、信号扱者が止まったことを確認する必要があります。

今は自動で踏切制御子、ATS、スピードガン等を用いて信号扱者の代わりに止まったことを確認する機械を置いていますが、運転士一人の判断にゆだねられているところが多いです。
入換速度の25→45km/h(45は条件付き)
誘導信号機も場所によっては15km/h→25km/h
に変更されているところもあります。

上に補足ですが、誘導信号機は保留現示になっています。
増結などの為に留置されている軌道回路(ホームトラックなど)を除き、進路上内方のどの軌道回路でも在線検知すると誘導信号機は停止となります。その後信号てこ反位のまま忘れたり遅れて放置されても、てこを引き直さない限り現示は出ません。

少し話が戻りますが、入換信号機の速度が45km/hのところでは、過走防護する距離は50mで設計されています。

ちさん、連結と衝突はほとんど同じようなものですから、もともと誘導信号機はそれなりの矛盾を持った設備なんでしょうね。

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