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2014年9月21日 (日)

熊ノ平のスイッチバック その2

熊ノ平駅における入換(スイッチバック)の様子を描写した記事を4件ほど見つけましたのでご紹介します。

ただし4件中3件は同じ方(横川機関区OBの方)が書かれていますので、実質的には2件かもしれません。

最初に鉄道ピクトリアル1993年1月号 P32
『それから約12分くらいして熊ノ平駅に到着する。同駅は本線の有効長が短いため、いったん下り突込み線の隧道に列車の前頭部を進入させて停車する。入換作業により、下り押下げ線方に列車を移動して、下り本線に出られるようにする。この入換作業が上り列車の発車と競合すると誠に賑やかである。下り列車が入換作業開始の退行気笛(短急2声、適度1声)を本務機から4台が順次吹鳴する。ちょうど上り列車の機関車4台も発車の気笛を吹鳴する。
まるで気笛の狂想曲を聞いているようで、さらに昼間の旅客列車であると、それに加えて名物の力餅を売る売り子のかん高い声が山に囲まれた狭い構内に反響する。』

次に鉄道ピクトリアル1997年8月号 P20
『静かな山峡のこの熊ノ平にとって一番の賑わいのひとときは列車の到着時であった。下り列車が到着すると、この列車は入換えのため一旦退行する。列車の最後部に連結された3両の機関車が、本務機・第1補機・第2補機の順に退行のための短急汽笛二声と適度汽笛一声を、列車の前頭に連結されている第3補機も同じく計4両の退行汽笛吹鳴。その間に「玉屋」さん(先に述べた小池さんが経営するお土産屋)の売り子が、「名物力餅」と山盛りにした売り箱を首からかけて、ホームを甲高い声で売り歩く。ちょうど上り列車が発車する頃であれば、4両の機関車の順次発車の汽笛合図と重なって、こだまがこだまとなって、都会の喧騒のような感じがした。それだけに上下列車が発車していった後は、あまりの静寂さに淋しさを感じたものであったという。』

●この2つの記事からは、列車が退行を行う際は4台の機関車が汽笛の合図による共同作業を行っていたことがわかります。ただし、前回の記事で私が書いたように、もし出発信号機の手前でいったん停止しているのであれば、そこから前進する際の汽笛の合図について記述があってもよさそうなのですが、これについては書かれていないんですよね・・・。

次に鉄道ピクトリアル1997年8月号 P57(この記事のみ別の方が書かれています)
『我々を乗せた下り列車は本線用トンネルを抜け、下り線ホームに入るポイントを渡り、ホームに停車せずに左側の突込み線のトンネル内に先頭部が進入、そして最後部の本務機がポイントを通過するまで進んで停車する。次にポイントを切替え、今度はバックして最後部が反対側の押下げ線用のトンネル内に入り、先頭が本線進入可能地点までもどりやっと到着、乗客は一息入れることができる。』

●この記事からは、列車は出発信号機の手前でいったん停止することなく、そのまま進んで突込み線に進入しているように思えます。もしそうであれば前述の前進時の汽笛合図がなくても頷けます。ただし、停止を現示している信号機を無視(?)してその内方に進入するということが許されるの?という疑問が残ります。突込み線に異常があって、到着列車を出発信号機の手前で停止させなければならない状況が発生した時はどうするんでしょう?(手旗で合図?)

最後にRM POCKET 17 P179
『下り1305列車は、軽井沢への満員の避暑客を乗せて、第10号隧道の暗闇から蝉しぐれの熊ノ平駅へと進入していく。有効長の短い同駅構内では、下り列車は軽井沢方に設けられた下り“突込み線”の隧道に、その前頭部を突込まないと本務機方のポイントが切り換わらない。列車最前に位置する第三補機の機関士は、停止目標が目前に迫るので、無意識のうちに単独制動弁の把手を握っている。ほどなく最後部の本務機の制動扱いによる排気音を感知して、ほっと気持ちが和らぐ。暫くして下り“押し下げ線”への入換信号機の進行現示を確認した本務機関士から、短急気笛二声、適度気笛一声の退行気笛合図が送られてくる。第一補機、第二補機、やや間を置いて第三補機がこれに呼応して、列車は静かに下り“押し下げ線”へと退行を始める。第三補機の機関士は、本線への分岐器の内側に入ったところで、短急気笛三声を送り本務機に制動手配を促す。列車は制動音を残して熊ノ平駅ホーム所定の位置へ停車する。』

ここでもいくつか疑問点があります。
>『最後部の本務機の制動扱いによる排気音を感知して、ほっと気持ちが和らぐ』
●第三補機の機関士さんは制動扱いを行わないってこと?
>『下り“押し下げ線”への入換信号機』
●入換信号機なのか入換標識なのか、ってことですね。「鉄道青春時代 上信越線」に記載されている配線図に描かれている3R、4Lは間違いなく入換標識の記号なのですが、
8r
誤記の可能性もありますので絶対かと言われるとちょっと自信が・・・。ただ入換信号機となると当然閉そくの取り扱いが必要になるんです。「信号機」ですので。自動区間であれば軌道回路による自動閉そくになるのですが、非自動区間の場合は通票閉そくとか票券閉そくとかになるはず。このようなわずかな距離の退行でそのような閉そくの取り扱いを行っているとは到底思えませんので、その点でも入換標識と考える方が自然ですね。
>入換信号機の進行現示を確認した本務機関士から
●入換信号機であればこの記述で正しいのですが、入換標識であれば本務機関士さんに退行の指示を出すのは操車担当さんのはずです。
>第三補機の機関士は、本線への分岐器の内側に入ったところで、短急気笛三声を送り本務機に制動手配を促す
●これも「エエッ?」という感じですね。第三補機の機関士さんが本務機関士さんに列車の停止を指示するってこと?入換信号機で退行を始めたのであれば、どこかに設けられた車両停止標識(配線図には描かれていませんが)を目標に本務機関士さんが停止させるのではないかと思うのですが。操車担当さんの合図による後退であれば操車担当さんが停止を指示するはずです。
>列車は制動音を残して熊ノ平駅ホーム所定の位置へ停車する
●このあたりにも停止の際の汽笛合図については描かれていませんね。4台の機関車の制動扱いはどうなっていたのでしょう。

さらに前回の記事で名無し信通区さんからいただいたコメントについて。

>私の想像では、操車さんは進行前側にいて、入換合図は下りを例にするなら軽井沢方の前補機運転士に対してしていたのではないかと思ってます。
●前掲の記事から判断すると、列車を動かすときは4台の機関車が歩調を合わせた作業を行いますが、止めるときは特定の機関車(本務機)だけが作業を行っているように思えるんですよね。であれば操車担当さんは横川寄りにいるのではないかと思うのですが、それ以前に操車担当さんが列車に前後進/停止の合図を行っていたのかどうかが怪しいところです(汗)。

>で、到着車両をつっこませる時は目の前にポイントがあり目視できるので入標不要、後退させるときは目視できないので入標を設置した
●これって第三補機の機関士さんが目視で転てつ器の開通方向を確認しながら旅客の乗った列車を動かす、ということでしょうか?これはちょっと保安上厳しいように思うのですが・・・。ましてや機関車の運転台は横川方ですし(転てつ器標識は設けられていますが)。

>入換の時って各機関車相互間の汽笛合図ってやるんですかね。平地での入換なんだから、一両だけノッチ入れれば十分ではないかという気がしますが…
●前述の通り、少なくとも動かすときは汽笛合図を行っているようですね。

疑問だらけですが、名無し信通区さんのおっしゃる通り、往時を知る方のお話を伺いたいところですね。

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コメント

 列車のブレーキ扱いは常に本務機が行います。ここでは4両のうち横川寄りの先頭機であり、下り列車の場合は最後部になります。進行方向先頭の第3補機がハラハラするのは当然で、緊急時には単弁によるか車掌弁によって非常ブレーキを使用するしかありぇせん。
 タブレットも本務機が携帯します。私は未確認ですが、下り列車は最後部本務機が携帯したはずです。

 押込み線への後退は入換ではなく列車の運転と考えれば信号機によると考えるのが妥当ですが私には確認できません。
 スイッチバック駅での退行は信号機による運転だっったと覚えています。体験された方のレボートを期待します。

 いままで多くの連動図表を楽しませていただきました。同時に多くの疑問を生じています。
 もし連動表が添えてあれば疑問はほとんど解けると思います。今後の資料提供に際しましては困難があるのを承知で要望いたします。
 なおプロが扱うときは連動図表と連動表は必ずセットで持ち歩いています。

いつも、資料を読ませていただいております。

一つの推測なのですが、場内信号機は「本線+突込線」を保安していたのではないでしょうか?
そうすれば、出発信号機で一旦停止と入換作業は必要ありません。突込線で異常があれば、場内信号機を停止にすればいいですし、最悪停止位置指示合図で出発信号機外方に停車させれます。

あとは、押下線へ入換で出発信号機外方まで退行。出発信号機から停車場外への軌道回路が確保され、出発信号機は信号を引く事ができると。。。


次にブレーキ扱いについては、退行の入換作業は本務運転士が担当すると推測すれば、
1、列車後部がポイント22を通過したのを確認して本務がブレーキを扱う。
2、押下線への進路が構成され、汽笛合図をして本務機が列車を退行させる(補機は何もしない?)
3、列車前部が出発信号機外方に入った所で第三補機運転士が連絡してあげて、本務がブレーキを扱う。

と、進む方向がよく見える?本務に任して作業していたのではないでしょうか?

詳細な記事ありがとうございます。

前の記事にコメントした、
>到着車両をつっこませる時は目の前にポイントがあり目視できるので入標不要、後退させるときは目視できないので入標を設置した

というのは、操車の人が目視できるかどうかという意味で書きました。

でも私、大きな勘違いしていました。軽井沢方の第4補機の機関士は軽井沢方に乗務していると思ってたんですが、ちょっと調べてみたらED42も片運転台で横川方にしか運転台がないんですね。

あと、到着列車が出発信号機を「冒進」して突込線に進入していたというのも驚きました。1L反位で51を定位に鎖錠しているのでしょうね。

連動図表もそうですが、「横川―軽井沢間運転取扱基準規程」というのもあるそうなので、こちらも見てみたいものです。。。

アプト時代のものではないですが、昭和42年3月の高崎鉄道管理局の運転取扱基準規程をみましても、横川ー軽井沢間は、黒磯駅構内とともに別途定める旨が書かれていますね。

それと「作業内規」にいろいろ詳しいことが載っているのかもしれませんね。

粘着単線時代のものだと思われますが、昭和40年3月の関東支社運転取扱基準規程の常用閉塞方式一覧をみますと、

横川ー丸山間 双信閉そく式

丸山ー矢ケ崎間 連査閉そく式

矢ケ崎ー軽井沢間 双信閉そく式

となっておりました。

ブレーキ扱いについては私が勘違いしておりました。皆様のおっしゃる通りかと思います。
1Lと51の関係についてはぽっぽや貨物さん、名無し信通区さんのおっしゃる通り連鎖関係が設けられているように思います。
スイッチバックの運転取り扱いについては、名無し信通区さんやKASAさんのおっしゃる通り、碓氷峠限定の運転取扱規定によって定められていたのでしょうね。

かなり前にこの碓氷関連の記事は読んでいたはずなのに、先日、有効長の関係から列車が引き上げ線に突っ込んで停車、後退して分岐器クリアした時点で再停車後、発車する駅に巡り合えたのに、連動関係をチェックし忘れました。無念。
黒部渓谷鉄道鐘釣駅なんですが、次はいつ行ける事か…

TKSYさん、そうなんですよね、鐘釣駅。
以前にYOUTUBEで見たのですが、出発信号機は本線用と突込線用との2つが設けられていて理にかなった配置になっているように感じました。ぜひ行ってみたいですね。

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