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2012年4月18日 (水)

2動の転てつ器

(今回もものすごく細かい話です。あしからず。)

現場扱いの2動の転てつ器の場合、1本のてこで2つの離れた位置にある先端軌条を転換するわけですから必然的にそれなりの長さのロッドが必要になります。

たとえば、播但線新井駅、1979年(昭和54年)8月29日です。

197908291
フタで隠れてしまっていますが、ロッドは

197908292
のように走っています。赤丸は転てつてこです。

これは八王子駅です。1979年(昭和54年)5月4日です。

19790504b13
特にカバーするようなものはありませんのでロッドの経路がよくわかりますね。

もう一つ、燕駅です。1979年(昭和54年)8月9日です。

19790809
50mくらい離れた位置にある分岐器をつないでいますね。

連動させるためには当然といえば当然ですが、場合によっては結構離れた位置にある分岐器を長いロッドで連結して動作させているわけです。

一方電気転てつ器の場合には、1台でこのようなロッドによる連結を行うことにより複数の分岐器を転換する実例を見たことがありません。単純にそれぞれの分岐器ごとに電気転てつ器を設けるのが一般的です。ダブルスリップの記事可動K字てっさの記事で書きました通り、最近は可動部がすぐそばにある場合でさえ個々に電気転てつ器を設けるようですから。

だからといって、「1台の電気転てつ器で駆動するのは1か所だけ」かと言うと、これも違うんですね。岡崎駅の記事で皆さんからコメントをいただいた通り、番数の大きい分岐器の場合には同一分岐器ではあるものの1台の転てつ器で2か所の駆動を行っています。

その岡崎駅の写真を再度。2011年10月8日です。

20111008
右側にロッドがあり、2か所を駆動しています。弾性分岐器ですね。

次に東仙台駅。2007年(平成19年)9月23日です。

200709232
これは弾性分岐器ではないようですが2か所を駆動していますね。

さらに刈谷駅の場合。2011年10月9日です。

P1040294
記事を書いた時は気づかなかったのですが、よくよく見るとちょっとヘンですね。

普通は、

Photo_2
のようにてっさ側に動作かんが来るように電気転てつ器が配置されるようですが、この刈谷駅の場合は逆ですね。鎖錠かんがてっさ側に来ています。

P10402942
その関係だと思うのですが、この写真のように動作かんからの動力はいったん線路の下を素通りし、反対側からタイバーに伝えられる構造です。なかなか珍しいような気がするのですが、どうなんでしょう?

もうひとつ、和田山駅。1979年(昭和54年)8月29日です。

197908293
意識して撮影したわけではなく、最近気づいたのでマトモな写真ではありませんが、電気転てつ器からロッドが伸びているのが確認できます。

この転てつ器は、

11r_2
赤丸部の第122号転てつ器です。本線を分岐する重要な分岐器であることは確かなんですが、この時代に、しかも山陰線で(失礼)、番数の大きな分岐器が使用されていたとも思えないのですが・・・。

最後に吉原駅の話を。

吉原駅の記事

Photo_3
の写真(2011年12月17日)を掲げたところ、名無し信通区さんより以下のコメントをいただきました。

『同じ写真に写っている、ワム8の手前の分岐器(先日の配線図によれば14イ)は、双動の14ロから鉄管を伸ばして転換させていますね。鉄管ルート上に鉄蓋が被せてあるのが見えます。電気転てつ機が高いから安く上げるためにこうなっているのでしょうか。でもそのぶん調整が大変そうです。』

配線図はこうなっています。

Photo_4

おそらく名無し信通区さんは、
1)14ロは本線の分岐器である。
2)同じ本線の分岐器である13は電気転てつ器が使用されている。
3)14イには電気転てつ器は設けられておらず、代わりに14ロの方向からロッドが伸びてきている。
という事実より、『14イ・14ロはロッドによる機械的な連結により1台の電気転てつ器で転換を行っている』という推測をされたのではないかと思うんです。
もし本当にそうであれば、前述の通り私は見たことがありませんで、とても貴重な例のように思いますので早いところ見に行かなくては、とアセっております(すでに撤去されていたりして・・(汗))。

それにしてもたったこれだけの写真からそこまでの推測をするとは、名無し信通区さん恐るべし、です(笑)。

配線図はT.Mさんよりご提供いただきました。

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コメント

燕駅の
国鉄線と新潟交通の線路がつながっているシーンはものすごく貴重です。美しいです。
転てつ器云々は気になりません(笑、汗)

いつも楽しく読ませていただいております。紀勢線沿線に住んでいますので、初島、下津に分岐があった頃の写真などとても参考になりました。
さて、記事内の長いロッドでイ号ロ号をつないでいるものと、番数の大きな分岐を2箇所稼動させるものとでは、役割が違うのでしょうね。イとロをロッドでつないでいるものは、誤扱い防止や労働力の軽減なのでしょう。電気転轍機でイとロを別々に動かしているように見えますが、電気で動かしていることを考えれば、スイッチ1つでイとロに同じ命令がいくので、ロッドが電気配線に変わったと考えればいいのではないでしょうか。また、K字鉄鎖など昔は1台でしていたけど、2台になったのも、電気転轍機の台数を減らすことよりも、保守のしやすさ、特殊な電気転轍機を使用しなくてもいいようにしているのでしょう。後者は。分岐器の転換を安定させるために2箇所を駆動しているのでしょうね。電気転轍機がさかさまについているやつは、新大阪にもあったと思います。60kレールと50kレールとで違うのかな??わかりません。稼動部分が多いと保守面倒でしょうね。過去の記事を見るとこんな感じかと思います。

刈谷について
弾性の結構大きめの分岐のようで、写真の右側にすぐに線路があるので、電気転てつ機は今の位置にしか置けないのだと思います。写真は定位開通ですが、定位の時にトングレールを基本レールに押す力がかかるように付属装置を組んだのではないでしょうか。

刈谷みたいに転轍機が通常と逆向きに付いているタイプは、関東では浅学にして見た記憶がありません。が、以前関西に出かけた際には大阪近辺の複数箇所で見かけました。

国鉄時代の管理局によって標準が違ったのでしょうか。そして刈谷タイプのメリットって何でしょう。複雑になるだけでメリットが思いつきません。

ご無沙汰しています。
私自身、現職の時に転轍機を扱った経験はなくもないのですが、やはり列車に乗っていて、カタンカタンカタンと分岐器を通過する時の音が心地よく感じてしまいます。

LUNさん、かつては繋がっていた線路が分断されたとしても、廃止されてしまうよりはまだ幸せですね。
つじえさん、おっしゃる通りかと思います。ただ、ならば番数の大きい分岐器も電気転てつ器2台使用にしたほうが良いのでは?と思ってしまいます。
HSlRさん、電気転てつ器は今の位置のままで、ただぐるっと180度回転した状態が普通なんです。そうすれば線路と直角方向の赤い線が2本で済むのですが・・・。
名無し信通区さんとつじえさん情報では関西地区、特に新大阪あたりですか。刈谷駅の写真はたまたま「中押し」付きですが、そうでない分岐器の場合も一旦線路の下をくぐるんでしょうね。これは是非見てみたい。
すみもとさん、お久しぶりです。大きい駅に進入する際は分岐器を通過する際の独特の音が何回も聞こえますので、目をつぶっていてもその駅の規模が想像できますよね。

f54560zgさん
確かに180度ひっくり返せばそうなりまね。写真を見ると、岡崎駅や東仙台駅は先端部分と2段目の部分では逆の動きをします。先端部分で電気転てつ機が「引く」と2段目の部分では「押す」ことになります。これに対して刈谷駅は、先端部分も2段目の部分も同じように「押す」動き、「引く」動きをします。なぜそのようにしなければならないか、本当のところは鉄道事業者に聞かなければわかりませんが、番数の大きい分岐器の転換のためにわざとそうしているのだと思います。
写真では東仙台駅は先端部分も2段目もクランクでつないでいます。岡崎駅は先端部分はクランクで、2段目はエスケープクランクですね。刈谷駅は一旦反対側でクランクで力の向きを変えて、先端部分と2段目もともにエスケープクランクでつないでいます。この辺も理由はわかりませんが面白いところです。 

>ただ、ならば番数の大きい分岐器も電気転てつ器2台使用にしたほうが良いのでは?と思ってしまいます。

これはNGです。1本のトングレールを2台の電気転てつ機で転換するようにすると、故障等で2台のうち片方だけ動作してしまった場合トングレールに無理な力がかかってしまうので・・・最悪折れたりするんでしょうか。そこまではわかりませんが。
また、異常時に手回しハンドルで転換させるときにも、2台を「せーの」で転換させないといけないので、やっぱり難しいです。

あと、関西で見かけた際は、転てつ機が逆向きについているのは高番数の「中押し」つきのものだけでした。低番数で「中押し」なしのものは普通の向きでしたね。

HSlRさん、私はたまたま気づいただけですので、その気になって真剣に探せばもっといろいろ変わったものがあるかもしれませんね。
名無し信通区さん、ナルホド、確かにそうですね。誤動作で破損とかが発生したら大変ですから。それと、転てつ器逆向きはやっぱり中押しつきですか。中押しなしの逆向きというのを見てみたい・・。

 今日昼に大崎通過のEH500牽引コンテナ列車撮影しに行き 環6(山手通り)大崎陸橋歩道階段踊り場で撮影していてふと気付くと山手貨物線北行と大崎支線(蛇窪支線)南行線競合して居る部分の分岐が2動転轍器である事に今頃気付きました
 貴下の大崎1978の最期に掲載された写真のダブルスリップ分部を湘南新宿ライン及び埼京線大崎乗り入れで構内改良後此の分部のダブルスリップを撤去普通分岐二組に変更分岐側は大崎6番線にさらに山手貨物線から分岐5番線に別れる分岐が二動転轍器に変更されました 大崎の2動転轍器は電動転轍器からLクランクIクランクLクランクと云う工程で作動 電動転轍器側に此れ等が接致されております

yyoshikawaさん、情報ありがとうございます。
弾性分岐器ということなんでしょうね。

動作かんと鎖錠かんの逆順:
16番の曲線クロッシング仕様がこの方式をとっているようです。全長約44mでトングレール長も15mと長くなっていますが、なぜ転轍機の反対側から動作させるのかは不明です。

もしかして、単純にスペースの関係とか(汗)?

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