« 大府 2011/10/9 その2 | トップページ | 可動K字てっさ »

2012年3月12日 (月)

ダブルスリップスイッチ

またまた唐突な話で恐縮ですがダブルスリップについてのお話を。
あくまで素人目線でのお話ですのでプロの方がご覧になったら笑われるかも。

まず、ダブルスリップって何か所の可動部があるのでしょう。
正直なところしげしげと現物の転換の様子を眺めたりしたことはないのですが、想像するにしてもまあそれほど難しいことはないように思います。多分こんなものかと。

Dss1

赤線部分が可動部で、全部で12か所です。

しかしながら、これら12か所の可動部を他に無関係にそれぞれ独立して動作させる必要はありませんね。2本のレールの上を車輪が走行するというシステム上、対となる可動部は連動させたほうが自然ですし、ダブルスリップに限らず普通の分岐器もそうなっていますから。

従って対となる先端軌条もしくはてっさを機械的に連結してやれば、所要となる転てつ器は合計6台ということになります。6台の転てつ器に11~16の番号を与えるとこんな感じになるかと思います。

Dss2

実際、配線図ではダブルスリップはこのように記載されています。

1

左側は高岡駅、右側は品川駅の例です。

定位の方向を示す毛羽が6か所に描かれておりますので、すなわち6台の転てつ器が使用されていることを表しているように思います。

ところで先ほど「12か所の可動部を他に無関係にそれぞれ独立して動作させる必要はない」と書きましたが、これら6台の転てつ器についても同様のことが言えます。

各転てつ器の動作によって、結果として構成されるダブルスリップの進路は下図のA~Dの4パターンです。

Dss3

仮にAの時の11~16の各転てつ器の状態をすべて定位とすると、A~Dにおける各転てつ器の定反位は下図のようになります。定・反の記載のないものはどちらでもOKです。

Dss4

これを表で表すと以下のようになります。空欄はどちらでもOKという意味です。

Photo

これをご覧になればお分かりの通り、11と12は常に同じ動作をします。15と16も同様です。13は11・12と同じ動作でも構いませんし、15・16と同じ動作でも構いません。14も同様です。従いまして、たとえば6台の転てつ器のうち11~14の4台を電気的に連結して連動させ、残りの15と16の2台を連動させても支障ないわけで、つまり転てつ器は6台でも転てつてこは2本あれば事足ります。

連動であることを明示するために11~14を1イ~1二、15・16を2イ・2ロと呼び方を変えますと下図のようになります。

Dss5

先の高岡駅、品川駅の例の場合も転てつ器の番号は下図のようになっています。

2

左の高岡駅の場合は287イ~287ニと286イ・286ロ、右の品川駅の場合はさらにほかの転てつ器との連動もあって466イ~466ニと465ロ・465ハとなっています。いずれも4動と2動の組み合わせです。

以上が図面上のダブルスリップの取り扱いです。改めて整理しますと、
・ダブルスリップには6台の転てつ器が使用される。
・これら6台の転てつ器を2つのグループに分け(多くの場合4動と2動)、2本のてこで操作する(実際には信号てこで総括制御され、転てつてこを単独で操作することはまずないと思いますが)。

では実際はどうでしょう。

先日の記事でご紹介した小山駅のダブルスリップです(2002年5月26日)。

20020526a762

どう見ても転てつ器が6台あるようには見えません。4台しかありませんね。
おそらく1イと1ロ及び2イと2ロは機械的に連結し、それぞれ1台の転てつ器で転換させているのではないかと。つまりこんな感じ。

Dss6

一方配線図ではこうなっています。

1979121

186イ~186ニ、185ホ・185ヘの6個の番号が記載されていますが、実際には転てつ器は4台しかありませんので186イと186ロ、185ホと185ヘはそれぞれ同一の転てつ器ということになると思います。図面と現物が一致していないんですね。

さらに同じ小山駅のこれなどは

20020526a741

どうも転てつ器は3台しかないように見えます。

つまり

Dss7

ということなんでしょうか。

配線図ではこうなっています。

1979122

若干不鮮明ですが、189ハ~189ヘ、190イ・190ロでしょうか。実際には転てつ器は3台しかありませんから189ホと189ヘ、189ハと189ニ、190イと190ロはそれぞれ同一の転てつ器になるかと思います。

この小山駅の2例は現物としては転てつ器の数が4台及び3台と異なるわけですが、配線図上ではその違いは表現されておらず、ともに6台という取り扱いですね。

近接した可動部を機械的に連結することにより転てつ器の数を減らす発想は当然といえば当然かもしれません。ただそうであるならば、たとえば

Dss8

とか、

Dss9_2

というものがあってもよさそうですが、私の知る限りでは(大して知ってはいませんが)存在しないように思います。

つまり機械的に連結して転てつ器を減らすにしても限界があるようで、ダブルスリップの場合は転てつ器3台までが限度、2台は無理ということでしょうか。「限界」とは、おそらく保守作業性によって決まるものではないかと思うのですが。

このあたりの様子を改めて確認するために先日小山駅まで行ってきたのですが、記事の通り残念ながら見事に空振りに終わってしまいました。

ついでにオマケ。横浜港信号場、1983年6月4日です。

19830604_2

現場扱いのダブルスリップです。配線図はこうなっています。

09_2

44の転てつてこは4動ですから転換するには結構力が必要な気がしますが・・・。

配線図はT.Mさんよりご提供いただきました。

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
バックナンバーはこちらからどうぞ。

« 大府 2011/10/9 その2 | トップページ | 可動K字てっさ »

コメント

 欧州型の鉄道模型用レールには殆どのメーカーにDSSの設定がありましたが、構造と扱いの簡略化で、×状に設定するか)(に設定するかの二択になっていました。
 おまけに2線式の場合、給電と絶縁の組み合わせをよくよく考えないと、隣同士の線路に待機していた動力車が同時に起動して衝突するという、お間抜けが生じる可能性がありました。
 でも、DSSはスペースの捻出には威力を発揮するので、重宝しました。

ご無沙汰しております。
ダブルスリップは結構難しいですよね。
こちらのサイトに、比較的分かりやすく解説されておりました。

通票マル!マルよし!
http://blogs.yahoo.co.jp/rail_88638/9160720.html

しかし、転轍機の構造って、よく考えられていますよね。関心してしまいます。

模型のレールですと
通常11、13は省略して線路に切欠が生じたものになりますね
ダブルスリップはレールマニアにとって楽しい装置です

興味深い記事をありがとうございます。

4動と2動の組み合わせというところは、クロス部分が可動のダブルクロスに似たところがありますね。

模型、実物ともに興味津々の装置です。

転てつ機には、「トングレールを転換させるためのロッド」と「トングレールの位置を照査するためのロッド」の2本があり、後者は特にミリ単位の調整が要求されます。(1.5mmずれると転換不能)
なのでここをロッドで長くするのは安全上よろしくないかと思います。ロッドに遊びがあると、そのぶんだけトングの先端が開口することにつながりますので。
転てつ機3台のタイプの真ん中の転てつ機は、転換させるロッド1本で照査するロッドが2本の特殊な転てつ機を使います。
高い電気転てつ機の数を減らせるので考えられたみたいですが、調整がとても大変で転換不能の原因になるので、転てつ機4台のタイプにどんどん変えられてきています

ご無沙汰しております。
なかなか面白いところに目をつけられましたね。
分類すると面白いかもしれません。
海外ではDSSなのに真ん中が可動しないものがあったり、国内でも横浜港のように手動だと今でも転轍リバーは2個だけです。

bad.Ⅳh-95さん、Tanktankroさん(お久しぶりです)、ヒデヨシさん、「ダブルスリップ」というとどちらかと言えば模型のイメージでしょうか(笑)。
KASAさん(お久しぶりです)、そうですね、ダブルスリップを少しづつ全体的に引き伸ばしていくとだんだんクロス部分が可動のダブルクロスになっていきますね。
名無し信通区さん、1台の電気転てつ器でロッドで複数の可動部を転換するのは大変なんですね。吉原駅が気になります・・・。
ヘッポコ出戻りモデラーさん(お久しぶりです)、転てつ器まわりってその気になるといろいろと発見がありますね(笑)。

ダブルスリップを興味深く読ませていただきました。
最寄りの土浦駅には現在はありませんが、電化前の時代(昭和30年代中期)にはD.S.があったことを覚えています。まだ電気機連動だったようで、ポイントは信号所から鉄製ロッドで動かしていました。土浦の配線図が掲出されるのを期待しております。

はじめまして。
いつも楽しく拝見させていただいております。
さて、ダブルスイッチとは直接関係ないので恐縮なのですが、前回の紹介ではなかった横浜港信号場/駅の配線図が掲載されておりましたので思い切ってお願いすることにします。
可能であれば、横浜港信号場/駅と高島貨物駅の、もっと我がままを言わせてもらえれば高島貨物線(鶴見-山下埠頭)全体の配線図の紹介をお願いします。
高島線は、横浜港の臨港貨物線として大変な規模を誇っていたのですが、数年前には新興駅(旧入江駅)の側線群も撤去されていまや当時の雰囲気を残しているのは東高島駅のみとなってしまいました。高島線を愛するものとしては寂しい限りです。(あ、鶴見は東海道貨物線がらみで既出ですね)
よろしくお願いします。

コスモスさん、よこはまみなと駅さん、リクエストありがとうございます。申し訳ありませんがちょっとお時間をいただきたく思います。

こんばんは。
今日も興味深く拝読させて頂きました。
全体としては配線はシンプルにしてメンテナンスにかかるコストを増やさないで済むようにする方向なのでしょうが、過去からのそのままになっていたり、何らかの制約があって使い続けられている複雑な分岐器を見かけますと、つい興味が湧いてカメラを向けてしまいます。
多くを知るわけではありませんが、このような多方向に進める分岐器も、実際に列車が通ってレールが銀色に輝いているのは一定の方向だけということも多いように感じており、一時的なコストをかければ、多くの場所で取り払われてしまう可能性もあるのかもしれないと思っています。
私鉄になりますが、西武鉄道は平面交差の多さもあり、よく複雑な分岐器を見かける印象です。
線路に注目する旅も楽しそうです。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

風旅記さん、傾向としてはスリップスイッチは普通の分岐器に変更されていく方向のようですが、スペース的な制約で変更が難しいところも多々あるでしょうね。
>線路に注目する旅も楽しそうです。
その通りです。面白いですよ(笑)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/506157/54139164

この記事へのトラックバック一覧です: ダブルスリップスイッチ:

» ここは酷いダブルスリップスイッチですね [障害報告@webry]
神鉄の事故についてはいろいろ思わざるを得ない まずは有馬口で事故が多発している、ということ まえは新開地側の分岐部でポイントが古くて 脱線事故が起きて線形改良までおこなっていた 今回は三田・有馬温泉側でのダブルスリップでの脱線だった 神鉄スレでも今となっては過剰なのでは、ともいわれる 神戸電鉄有馬口駅 ダブルスリップをNで模倣 - YouTube http://www.youtube.com/watch?v=rshMt0LJQoQ ダブルスリップスイッチ: 懐かしい駅の風景...... [続きを読む]

« 大府 2011/10/9 その2 | トップページ | 可動K字てっさ »

過去の記事

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ