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2012年3月17日 (土)

可動K字てっさ

調子に乗って今回は可動K字てっさです。

 

まず可動部は

 

K1

 

の4か所ですが、対となる可動部同士を機械的に連結して、

 

K2
のように2台の転てつ器で動作させることになると思います。

 

さらにこれら2台の転てつ器を連動させて

 

K3
のように1本のてこで取り扱われるのが一般的かと思います。

 

配線図での記載例を2例ほど。

 

Photo

 

左は上沼垂駅(当時)、右は越谷貨物ターミナルです。可動K字てっさの場合、その周辺の転てつ器も含めた3動、4動となる場合が多いように思います。

 

次に現物です。

 

201202182
黒磯駅、2012年2月18日です。配線図と同じように2台の転てつ器が使用されています。

 

06200912122
これは浅野駅、2009年12月12日です。可動K字てっさが2つ並んだ光景は珍しいかと思います。

 

01197808152
長野駅、1978年8月15日です。これは転てつ器が1台だけですね。つまり、

 

K4_2
こんな感じで機械的な連結を行うことにより転てつ器を1台だけで済ませています。

 

03197908303
西明石駅、1979年8月30日です。これも転てつ器は1台っぽいですね。

 

19790830a062
加古川駅、1979年8月30日です。これも1台のように見えます。

 

ダブルスリップスイッチの記事での名無し信通区さんのコメントの通り、昔は転てつ器の数を減らすことが重要視されていたものの現在では考え方が変わったのかもしれません。信頼性を上げることが結果としてコスト低減に結びつく、ということでしょうか。

 

象徴的な例として、

 

P10102212
盛岡駅、2009年5月9日です。異軌間の場合は豪勢な4台使いですね。

 

配線図はT.Mさんよりご提供いただきました。

※以下2019年8月4日、NZさんからご提供いただいた図を追加しました。

R_20190804214101

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コメント

 ぅぃきCommonsの鉄道関係画像にもいろいろとありますね。
 またご覧になっても好いかと。

bad.Ⅳh-95さん、ありがとうございます。
路面電車のDSSって結構笑ってしまいました。

 分岐器の中で更に分岐しながら続いている車庫線用のポイントなんて、前衛芸術みたいで、独逸人や仏蘭西人もいい加減なものですが、それにもまして、ブリテン島の住人たちは如何に複雑な分岐器を作れるか、競っているようにしか思えないのが凄いです。

 基本は信号関連なんですが、信号あるところに分岐器有り、でトラックダイアグラムのページがあります。
 笑えるものもあれば、もし錯誤現示や閉塞違反をやらかしたときのことを想像したくないような配線図ものっています。
ttp://www.signalbox.org/index.php
上段のタブ、9が「TrackLayouts」です。

何と言いますか、これがすべてとは思いませんが、立体交差とかって思想はないんでしょうか(笑)。鉄道ピクトリアルの5月号の103ページにもすごい写真がありますね。

思うのですが、
このK字てっさはどちらか一方向しか開通できないですよね。
前回のダブルでいうと、A開通しているとき、
Dは不可だと思うんです。
A,DだけにしたいのならなぜXクロスにしないのでしょうか?
前回のダブルのような、、
BやCのような行き来は想定されてないんですよね?

ゆかわあきらさん
BやCのような行き来は想定されていません。
「Xクロス」とは可動ではなく固定という意味でしょうか。もしそういうことであれば固定の場合はフランジの逃げの隙間による速度制限が生じるために可動にして隙間が生じないようにしている・・・・がご返事になるかと思ったのですが、よくよく考えれば外側のてっさ部は固定ですね。ここはガードレール設けられるため内側のてっさ部ほどシビアではないということでしょうか。

>「Xクロス」とは可動ではなく固定という意味でしょうか。

ハイその通りです。
機械メンテナンスの手間より、
固定のほうが楽のような気がしてならないとおもうんです。
速度制限かかるデメリットはあるとは思いますが。

御詳しい方のフォローお待ちしています。

本職ではないので、私なりの推理ですが…

可動K字てっさは、通過する列車から見ると、背向の分岐器と対向の分岐器が連続しているようなものです。
スプリングポイントでも分かるように、背向の分岐器は最悪割り出すということができますが、対向の分岐器は異線侵入やトングレールの密着が悪いと脱線という危険もあります。

『運転設備〔改訂版〕』(日本鉄道運転協会・刊 昭54)には、ダイヤモンドクロッシングに関してこんな記述があります。
「2つの軌道を同一平面上で交差させるもので、固定式と可動式があり、在来線では8番以上のものには可動式を使用している。」(36ページ)
分岐器の番数は大きいほど、交差する角度が浅くなりますから、レールに欠線部分ができてしまう固定式では、異線侵入のおそれが大きくなります。
そこで、番数が大きいダイヤモンドクロッシングでは、トングレールを可動式にして、レールを密着させて欠線部分をなくし、異線侵入や脱線を防止しようとしているのではないでしょうか。
なお、ノーズの部分はガードレールあるので、他の分岐器と同じレベルの安全性が確保できるものと思われます。

また、可動K字てっさの通過速度は、分岐器の直線側を通過することになりますから、50Nレールで6番以上の分岐器では90km/hの制限がつきます。むしろ、90km/hで通過できるように、8番以上のダイヤモンドクロッシングでは可動K字てっさを採用しているのではないでしょうか。

ちなみに、外房線蘇我駅には、電気転轍機が6台付いている豪華なシーサスクロッシングがあります。中央のダイヤモンドクロッシングにも転轍機が付いています。

横から失礼します。

池袋駅に、埼京線の上下本線を、山手線からの回送線(単線)が、平面交差する箇所があるのですが、ここは、一方が、「ダイヤモンドクロッシング(固定式)」で、他方が「可動K字てっさ」となっています。

NZさんが紹介されている書籍の記述にある交差角度で固定式と可動式を使い分けている例になるでしょうか。

人さまの動画ですが、下の動画のような感じです。

https://youtu.be/yWXRmb3rJm8?t=68


皆様
KASAさんのご紹介動画、おそらく固定式よりも可動式のほうが交差角度が小さそうですね。
この固定式のほうは昔からのヤツがそのまま使用されているのでしょうか、それとも改良工事の際に新設されたものでしょうか。

皆様ありがとうございます。

公式の(?)見解が見つかりました。

JR東の社内通信教育のテキスト『鉄道施設計画・基礎』
第8章 軌道  第4節 分岐器
(3)クロッシングの構造
 同一平面上で2つの軌道のレールが互いに交わっている箇所をクロッシングといいます。クロッシングには軌間線欠線のある固定式のものと、欠線部をなくす構造の可動式のものとがあります。
 最近のクロッシングは、高マンガン鋼を鋳造したもので、リベットやボルトのない一体構造で靭性に富み、急進的破壊がなく、耐摩耗性が高いマンガンクロッシングが多く使用されています。種類としては、ダイヤモンドクロッシング・シーサースクロッシング・シングルスリップスイッチおよびダブルスリップスイッチにK字クロッシングなどが使用されています。K字クロッシングには固定式と可動式があります。普通クロッシングは、ガードレールで異線進入を防止していましたが、K字クロッシングはガードレールがないため、クロッシング番数が大きくなると、構造上軌間線欠線部が長くなり異線進入のおそれを生じます。したがって、在来線では8番以上のK字クロッシングでは可動K字クロッシングを使用しています*3。

*3 新幹線の場合は、車輪のフランジの大きさ、ガードレールの高さ等が在来線と異なっているため、8番でも固定K字クロッシングを用いています。


 なお、「軌間線欠線部」が、クロッシングのどの部分を表すかの図面を別に送りますので、管理人さんにアップをお願いします。

f54560zgさん、こんばんは。

改良工事前は、どちらも「可動K字てっさ」でしたので、上り本線との交差にある固定式の方は全くの新設ですね。

下り本線との交差にある「可動K字てっさ」も移設等されて設置された可能性がありますので、昔からのをそのままではないかもしれません。

こんばんは。
固定式と可動式のクロスの対比が見られる場所は、津田沼駅にもありますね。
Googleマップの航空写真でも転てつ器の有無が判別できると共に、NZ さんからご紹介のあったテキストの通り、転てつ器のある方が番数が大きいことが見てとれます。

快速下り本線から下り方へ発車した列車から進行右側を見ると、すぐに中線と上り本線の間に両渡りがあり、クロスは固定式です。
次いでそのすぐ先で、今度は自分の足元の下り本線と中線の間にも両渡りがあって、クロスは可動式です。
これらの渡り線を“渡る”進路を通過するのは、特急退避などで中線に着発する快速列車と、幕張車両センターへの入出庫回送ですから、下り側の渡り線と上り側の渡り線で、運転速度の条件は変わらない様に思われます。
それなのに両者で番数とクロスの仕様が異なっているのには、実は歴史的な理由があります。

現在の津田沼駅の線路配置は、昭和56(1981)年7月の津田沼-千葉間複々線化の際に完成したものです。
それ以前の快速線と緩行線は、津田沼駅の下り方、ちょうど頭上を新京成電鉄線が横切るあたりで、平面交差で合流し1組の複線になっていました。
現在の線路配置から逆に考えると、あれ?と思う方もおられるのではないでしょうか。
当時、快速下り本線は、津田沼駅を出ると両渡りを右に渡っていたのです。
つまり現在の幕張車両センター入出庫線が当時の下り本線であり、逆に現在の下り本線は入出庫線(当時は幕張電車区)でした。
可動式のクロスを持つ番数の大きな両渡りは、特急列車の通過もある下り本線を渡らせるために設置されたものだったのです。

ちなみに2組の両渡りを並べた特徴的な配線は、下り本線の外側に位置していた幕張電車区から、津田沼駅快速上り本線への進路を確保するためでした。
おそらく現在、上り本線から下り列車の出発は無いでしょうから、この配線の意味は失われていますね。
むしろデメリットとして、中線から出発する下り列車と、車両センターから上り本線へ進入する出庫回送が同時運転できません。
一見奇妙に見える配線ですが、かつての名残りです。

意外と長文になってしまい失礼しました。

皆様
貴重な情報ありがとうございます。
>8番以上
超具体的でありがとうございます。
>軌間線欠線部
図面を記事に追加させていただきました。
>池袋の固定式
そうですか、新設ですか。ひょっとしたらもう固定式は新設されないんではないかと思ったのですが、そんなことはないんですね。
>津田沼駅
1975年頃に記録した津田沼駅の配線図が手元にありましたので見てみたのですが、クモイ103さんのおっしゃる通りですね。将来を見越して番数の大きい分岐でしのいだんですね。


>電気転轍機6台の蘇我駅シーサス
16番分岐器のシーサスはダイヤモンドクロッシングが(半分の)8番となりますので、K字クロッシングは可動式です。転轍機が線路外側に設置され、ダイヤモンドクロッシングの可動レールまでの転轍ロッドが長くなるため調整が難しいようです。
DSSが避けられるのは西洋に比べて地盤が柔らかく

済みません、なぜか途中で切れました。
・・・軌道狂いが生じやすいという環境であり、特に狭軌の場合は狭いスペースに短レールが多数配置されるため短絡しやすく、道床つき固め作業も容易ではありません。
このため、線形が悪くなるのを承知で、DSSは片開き分岐器2組に置き換えられる傾向があります。
話は変わりますが、東海道・山陽新幹線の18番分岐器のクロッシングは元々ノーズ可動式でしたが、全列車が停止する駅に限って固定のマンガンクロッシングに交換されたようです。
マンガンクロッシングの耐久性は捨てがたいのですが、普通レールとの溶接が困難なため機械式継目とせざるを得ないのが実情です。
逆に分岐器を無継目(=溶接組立)とする場合は普通レールから製作したクロッシングを使うので耐久性に劣り、車輪の乗り移り部が叩かれると騒音の原因にもなります。
以上、ご参加ですが。

スリップスイッチが撤去された、もしくは普通分岐器に置き換えられた事例は多く見られますね。上野駅はどうなんでしょう。

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