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2009年9月16日 (水)

構内運転と入換え

「列車と構内運転」という記事を書いてしまいましたので、勢いで「構内運転と入換え」も。

似たような内容を過去一度書いていますので、重複する部分があったりしますがご容赦下さい。
(例によって1980年頃の基準をベースにしています)

構内運転も入換え(狭義)も、車両の入換え(広義)です。
車両の入換では、連結や開放といった作業が伴いますので、運転士だけで作業をすることができません。従って地上側(操車担当)と連携をとりながら作業をするわけです。

しかしながら入換えの中には電車や機関車の入出区など連結・開放を含まない場合もあります。このような場合にはわざわざ操車担当が誘導するまでもありませんので、「誘導を省略した入換え」として構内運転という制度が設けられているわけです。簡単に言えば簡素な入換えが構内運転、ということですね。
一般車扱貨物輸送が廃止され、機関車牽引の客車列車も激減してしまった現在では、入換えといえばほとんどが構内運転なのかもしれません。

ただ、どこでもいつでも好き勝手に構内運転ができるわけではなく、鉄道管理局長があらかじめ指定した区間でしか構内運転を行なうことはできません。(逆に言えば、構内運転を行ないたい区間があったら局長に指定の申請をすればいいわけです。)

構内運転と入換え(狭義)の「定義」的なことは以上だと思います。
では、結果として何が違ってくるかというと、

1)運転速度
・構内運転は先にも書いたとおり基本は25km/h以下で、一定条件を満たせば45km/h以下なんですが、通常はこの一定条件は満足されると思いますので、実質45km/h以下と考えていいと思います。
・入換えは25km/h以下です(機関車のみの場合は45km/h以下ですが)。

2)信号
・構内運転は、入換信号機を運転士が確認して作業をします。

19790711a01
1979年の松戸駅の入換信号機です。入換信号機は上のほうのオニギリ形の部分だけですが、その下の入換信号機識別標識が点灯していないと入換信号機ではなく入換標識として扱われてしまいます。入換信号機と入換信号機識別標識の2つで1セット、ということですね。

2007111435
2007年の宇都宮駅の入換信号機です。

・入換えの場合は、操車担当の出す入換合図及び入換通告合図を運転士が確認して作業します。
入換合図は「動け」とか「止まれ」といった内容で、入換通告合図は「連結する」とか「突放する」とかいった内容の合図です。

19770323c04
1977年の高崎駅での機関車連結作業です。
操車担当さんが緑色旗と赤色旗による入換合図で機関車を誘導しています。

3)進路上の転てつ器の状況
・構内運転の場合は入換信号機が転てつ器の状況を現示します(正当方向に開通している場合にのみ進行現示します)。
・入換えの場合は、操車担当が入換標識や転てつ器標識や先端軌条の開通方向を目視で確認するなどして転てつ器の状況を確認します。

19790810d01
1979年の大河津駅の入換標識です(右端)。入換信号機識別標識は設けられていません。

4)進路上の車両の状況
・構内運転は閉そくが行なわれます。軌道回路を設けたり(言わば自動閉そく)、軌道回路を設けないのであれば別途閉そく方式を定めて閉そくの取扱いを行ないます。
ほとんどの場合は軌道回路を設けていると思われますので、構内運転で閉そくの取扱いを行なうのは先の土崎~秋田港間のような貨物支線の場合だけではないでしょうか。
・入換えには閉そくはありません。閉そくを行なってしまったら連結(一種の衝突)ができませんから。従って、操車担当が目視で進路上の車両を確認し、状況に応じた入換合図を行なうことになります。

ついでに誘導信号機について。
誘導信号機は列車に対する信号機です。入換とは関係ありません。併結などのためにすでに列車や車両が停止している線路に列車を進入させる必要がある場合に設けられます。
本来の信号機は進路上に列車や車両がいないことを保証してくれるわけですが、誘導信号機に限ってはその逆で、進路上に列車や車両がいることを「保証」してくれます。その代わり、速度は15km以下です。
今は高度な防護システムが構築されているのではないかと思うのですが、昔はどうだったのでしょう。ATSなどの防護装置を切って、まさに運転士の注意力のみによる運転だったのでしょうか。旅客が乗っているわけですから、それではちょっと怖いような・・・。

2007092422
2007年の仙台駅の誘導信号機です。すべての線路のホーム直前に第2(もしくは第3)場内信号機が設けられ、そのすべてに誘導信号機が設けられていたように記憶しています。

さて、何で以上のようなことを書いたかと言うと、実は入換合図・入換通告合図が好きなんです(要するにこれが今日の記事の結論ですね)。
ステップに足を乗せ、片手で手すりにつかまって、反対側の手で緑色旗を振って機関車を誘導する姿、カッコイイ。
連結する時は2本の旗の柄のオシリの部分同士を頭上で当てたり、突放の時は頭上で2本の旗を大きく交差させたり・・・。
多分、そこそこ誘導できるんじゃないかとひそかに自信を持っています。

19791003a20
1979年の城端駅です。客車列車の機回し作業です。

1519780324b10
1978年の横川駅です。
機待線からホームの先端付近までは構内運転で、操車担当がEF63を誘導するのは連結直前のホンの20mくらいでした。
上りの場合も同様で、連結器を開放して数メートルEF63を前に出すところまでが誘導で、あとは構内運転で機待線に引き上げていました。
黒磯では機留線から結構長い距離を操車担当が誘導していたように思います。

・入換合図・入換通告合図を出す操車担当さんの姿をずいぶんとビデオに収めました。当然と言えば当然ですが、見ていると旗の振り方には結構個人差やクセがあって面白いです。
・誘導の上手・下手もあります。下手、というのはめったにお目にかかれませんが、私が見てきた中で1つだけ。
とある駅で、機関車を貨車に連結する作業が行なわれており、若い操車担当さんが機関車を誘導していました。貨車の傍らまで誘導し、さあ連結です。操車担当さんが「今だ!」と思って止まれの合図を出したところ、機関車は惜しくも20cmほど手前で停止してしまいました。「連結の空振り」を見たのはこの1回だけです。
このときもビデオで撮影していましたので、若い操車担当さんを緊張させてしまったのかもしれませんね。ゴメンナサイ。
その後、連結が空振りに終わったことを知った機関士さんは、動揺する操車担当さんを尻目に自力で連結を完了させました。

昔はそんな入換え風景がいたるところで見られたのですが、それでも一部の駅ではトランシーバーのようなもので操車担当さんと運転士さんがやりとりをしていました。手旗で意思疎通を図るなんて、どう考えても前時代的ですものね。もう手旗による入換合図なんて見ることができなくなってしまったのでしょうか。人間味あふれる作業であるように思っていますので、もしそうであれば寂しいことこの上ありません。

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コメント

三木鉄道では、2番線及び入換標識が設置されるまでは、現場で転轍機を操作して入換を行っていました。

出庫車輌に当務駅長が旗を持ち添乗、分岐器手前で降ろして転轍機を反位にして引き上げたり・・・、です。

増結・解放は滅多にしかなかったのですが、運転台の機器操作を短時間にすましてから制動試験・起動試験もしなければならず、忙しかったです。
逆に、線路に下りてブレーキ管を繋げたり、又は外したりといった作業も懐かしいです。ブレーキ及び電気系統のホース、意外と重くて固いです。慣れないと手際よくできませんから、ベテランの皆さんは凄かったです。

機関車の場合は操車担当さんが外のステップに乗るのが普通でしたが、なぜか気動車の場合は運転室に添乗するのが普通でしたね。
おっしゃるとおり電気系統のホースは重そうですね、両手で抱えるようにして扱っている光景を見た覚えがあります。
ブレーキホースも外すときに「シュッ」と大きな音がしてちょっとびっくりしますよね。

機関士さんにも当然癖があるので
動きの鈍いゆっくり移動する機関車が連結時に停止を機関士に指示した場合などすぐ止まってしまい
再びちょい後連結を指示します
このように、おっしゃる「空振り」は結構頻繁にあり
さほど珍しくはないです
それから当時の無線機は確か4チャンネルくらいしかなかったので中規模の駅までは対応できましたが大規模な操車場は同時に何か所も入換をやっているので旗が主流でした
結構飛び乗り飛び降り時に送受話器が外れてコードにぶら下がったような状態で地面に落ちたり
雨の日に雨水が入って故障なども多かったですね

そうですか、空振りは珍しいことではないんですね。でもその逆はちょっとコワイですね。
保安上は無線機のほうが好ましいとは思いますが、取り扱いの苦労もそれなりにあったんですね。
ヒデヨシさんは「経験者」の方でしょうか。

 操車の旗の持ち方・振り方も個性があって見ていると飽きません。
 ステップ添乗のとき片腕はハンドレールを握るので残りの片腕で旗を振ることになります。
 このとき不使用の赤旗をどうしているのか? 現場では、赤旗を絞って青旗とともに握り、停止を指示するときは赤旗を握る指の絞りを解けば、青旗の手前に赤旗が重なって停止の合図となります。
 緊急時には青旗を投げ捨てる事で残った赤旗を振ることになります。
 これらは現場の常識として聞いていましたが、最近の操車を見ているとハンドレールにかけた片腕に絞った赤旗を握っているものが目立ちます。
 現場の教育がどうなっているのか、気にかかりながら眺めています。

 連結の空振りのこと、これは無衝動の連結を考えればありうることで、私の知っている現場では操車・機関士のどちらのミスでもないとされていました。
 手前の一旦停止のとき、少しでも近くに寄せるのは操車の腕とされていました。機関士もその方が連結が楽です。双方の意志は同じなのにうまく行かないのはやむを得ないことです。
 機関士も当たっても危なくない超低速で動き、停止合図が出てもブレーキをあてずにそのままやんわりと体当たりするタイプもありました。これも決まれば見事です。

 なお誤って激突するとき、ブレーキが効いていると食い込んだまま戻らないので、かえって損傷が大きくなるのも事実です。でも機関士にとって無理な心理ですね。

 ブレーキホースを切り離すときのシュッという音は貨物操車場ではいつもしていました。
 連結面双方の肘コックを閉じると、コック間のホースにはまだ5kg/cm2の空気が残っています。ホース継手を外すと、はじめて排気されることになりこの音が響きます。むろん少量なので取り扱いの危険はありません。
 間違ってコック開きのまま切ると無限の空気が噴出してホースが振れて暴れます。とても取り押さえができる状態ではありません。一度だけこの現場を眺めた事があります。

C6217さん、

>赤色旗
確かに手摺を握る手で持っているケースが多いようですが、とっさの場合反応が遅くなるかもしれませんね。

>無衝動の連結
それにしても滑らかな連結をするにはかなりの熟練が必要そうです。

>シュッという音
肘コックを開いたままでホースを切る、考えただけでも恐ろしい気がします・・・。

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