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2009年3月16日 (月)

脇道16(第1種継電進路選別式)

今度の例は芦原温泉駅です。

19791004

この駅の連動装置は第1種電気継電連動装置(進路選別式)と呼ばれています。
この連動装置は、今までご紹介した連動装置とは大きく違う点があります。「転てつてこ」がないのです。(正確に言えば、転てつてこは設けられているのですが、故障時や点検時に備えて設けられており、通常の取扱いで転てつてこを操作することはありません。)

それでは、どうやって転てつ器を転換するのかというと、信号てこで転てつ器を転換するのです。

今まで紹介した連動装置における信号の取扱いは、
1)関係転てつ器を正当な方向に個別に転換する。
2)信号てこを反位にする。
の順で行なわれます。
考えてみれば、反位にする信号機が決まると転換すべき転てつ器も決まりますから、1)と2)は1対1に対応していることになります。ということは、何も2つの手順を踏む必要がないわけですよね。取扱者が2)を行なったときに装置が1)と2)の両方を実行しちゃえばいいわけです。

というわけで、進路選別式の継電連動装置では信号てこの取扱いにより転てつ器も制御されます。

具体的な操作を説明します。
下り列車を下り本線に進入させる場合、信号てこ1Lを反位にし、その次に選別押ボタンCを押します。すると、転てつ器31、32、36、34はいずれも定位に転換され鎖錠されます。その後信号機1LCに進行を指示する信号が現示されるのです。

これは便利ですね~。
信号扱所に構内の線路配線を描いたパネルを置き、信号機の位置に信号てこを、各本線に選別押ボタンを設けておけば、信号てこを列車の進行する方向に倒し(45度回転させる)、進入させたい本線の選別押ボタンを押すことにより関係する転てつ器が正当方向にに転換されて鎖錠されるわけですから取扱いが非常に楽になります。
発線(信号てこの位置)と着線(選別押ボタンの位置)を指定するだけで、途中に介在する転てつ器の番号や、それらをどちらに転換してやらなければならないか、なんてことを全く気にする必要がなくなります。進路が多い駅では威力を発揮します。

進路選別式の場合、連動図では以下のような特徴があります。

まず、各本線に選別押しボタンが設けられます。図の「下り1番線」と書かれた右側の○で囲まれた「B」が選別押ボタンを表しています。
連動図にこれが記載されていたら進路選別式ですね。
芦原温泉駅では、下り1番線~上り1番線の順にB~Eの選別押しボタンが割り振られていて、場内信号機1Lと9Rのてこと併用して進路を構成します。OとIの選別押ボタンは出発信号機2R、3R、5L、6Lと併用します。A、K、F、Gの選別押しボタンは入換標識のてこと併用します(B~E、O、Iも入換標識と併用します)。

次に、信号てこは1つの発線につき1本となるため、進路が複数ある場合は信号機番号の末尾に着線の選別押ボタンの記号が付加されます。
下りの場内信号機1Lの場合、進路は下り1番線(選別押ボタンB)と下り本線(選別押ボタンC)の2進路があります。
進路選別式以外では、1つの進路につき1本の信号てこを設けますので、この場合であれば2本の信号てこ(たとえば1Lと2L)を設けますが、進路選別式では1L1本のみです。信号機そのものは2つの進路に対応して2本建植されますので、選別押しボタンの番号を末尾に付加して1LB、1LCとなります。
場内信号機の末尾にAとかBとかついていたら進路選別式ですね。

なお、進路選別式の場合、たとえば列車が構内に進入して信号てこを定位に戻しても転てつ器は転換されず、進路を構成したときの状態を維持します(もちろん解錠はされますが)。

また、信号てこにより転てつ器を総括制御するのもとしては、この進路選別式のほかに進路てこ式というのがあります。多分松任駅がそうだと思われます。
信号てこはL、R両側反位の1進路1てこですので、操作性はさほどではないように思います。進路数の少ない駅に採用されているようです。

余談になりますが、旧国鉄の運転取扱基準規定には、転てつ器の取扱いに関して、「転てつ器は、これを反位に取り扱ったときは、その取扱いが終わった後、すみやかに定位に復さなければならない」という記載があります。
進路選別式及び進路てこ式以外の場合は転てつ器を単独で取り扱えるため、上記の基準を守ることができるのですが、進路選別式の場合は転てつ器を単独で取り扱えないためこれを守ることができません。従って、上記基準には但し書きとして、「ただし、総括制御の第1種継電連動装置・・・(中略)・・・の転てつ器を除く。」と書かれています。

以上のように進路選別式は操作性が非常に良く、当時は最も保安度の高い連動装置でした。進路数の大きい駅はまず間違いなく進路選別式が採用されており、記事の中では名古屋駅長野駅新潟駅大宮駅など多くの駅で確認することができます。

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コメント

いつもお世話になっております。
またまた登場の ち と申します。
上記内容とは少し関係ないかもしれませんが、書き込みたくなったので、つぶやき程度で見てください。

電子連動は別にして、主に第一種継電連動は、進路てこ式、進路てこ式押しボタン併用、進路選別式が大多数をしめます。他にもありますがそれはまた後日で・・・。
継電連動は名前の通り継電器(リレー)の組み合わせで、ルートを作っています。信号機を扱う側は設備の中身(結線)まではわからないと思いますが、これらはルート数によって使い分けています。
20ルートくらいまでなら進路てこ式、30~40ルートあたりが、進路てこ式押しボタン併用か進路選別式と悩むところ、それ以上の大構内では進路選別式です。大構内でてこ式にすると信号機ごとに一本のてこを設けていたのでは、取扱い誤りも発生します。それともう一つ重要なのが、中身の結線のほうです。見た目(制御盤など)は進路てこ式押しボタン併用と進路選別式はほぼ同じですが、中身はまるで違います。むしろ結線的には進路てこ式と、進路てこしき押しボタン併用が同じで、進路選別式が違います。
小さな構内ではてこ式結線のほうが使用するリレーが少なく、大きな構内になると選別式のほうがリレーが少なくて済みます。設備はシンプルなほうが故障も少なく保安性が高い上、経済的ですから考えられたのでしょうね。

PS 現示が出るまで)
信号てこを扱う⇒転てつ器が所定の方向に転換する⇒転てつ器が転換を終えると今定位なのか反位なのかの表示が返ってくる⇒信号てこ反位と、転てつの転換方向が合致したときに、接近鎖錠がかかる⇒接近鎖錠がかかることで、進路鎖錠がかかり接近鎖錠に抑えられる⇒進路鎖錠が、各々の担当している転てつ器を鎖錠する。(時間鎖錠もこのあたりに入る。)⇒最後に関係する軌道回路に列車がいないか?転てつは鎖錠されているか?てこは反位か?進路鎖錠はかかっているか?運転方向はあっているか?ポイントは所定の方向に転換しているか?などなどたくさんの情報を最終段階で再度チェックして、最後に進行を指示する現示が出ます。

私自身も連動について勉強しているところなので、何か疑問があれば教えてください。自分も一緒になって学びたいのでこれからもよろしくお願いします。

ち さん、ありがとうございます。ち さんは本職の方ではないのでしょうか? これからもいろいろ教えていただけるとありがたく思います。
ところで、「進路てこ式押しボタン併用」ってどのようなものでしょうか?
私は進路てこ式と進路選別式しか知らなかったもので(汗)。

職については・・・(笑)
一度直接お会いしてお話ししてみたいものですね。

進路てこ式押しボタン併用と進路選別式は、制御盤や動作、扱い方は同じです。
ただ、中身の電気結線が全く違いますので、信号屋は区別しています。
継電器による進路選別式は、ルート数が多くなるほど設備が少なく故障も少ない、またコストが安くなります。

ち さん、そうですね、お話をお聞かせいただけると嬉しいですね。昔は興味本位でいろいろ調べたものですが、最近は限界もあってさっぱりです(汗)。

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