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2009年2月 4日 (水)

脇道8(継電連動・電気鎖錠器)

おうさて、連動関係の話、再開します。余り評判よろしくないような気もしますが・・・。

今度の例は赤谷線東赤谷駅です。継電連動です。

19790716

スイッチバックの終端駅として有名でした。

軌道回路がなく転てつ器はすべて現場扱いという点では一番最初に例として挙げた駅と同じですが、信号機が腕木式(機械式)ではなく色灯式(電気式)である点が異なります・・・・と言うよりは、連動装置が機械連動ではなく継電連動である点が異なるのであって、色灯信号機はそれに付随したものと言ったほうが正しいかもしれません。

それでは継電連動装置というのはどのようなものでしょうか。
その前に、まず継電器とは? いわゆるリレーですね。

1

常時は左の状態のものが、コイルに電流を流すと磁力が発生して可動片を吸引し、右の図のようになって可動片が他の回路を遮断(または導通)するものです。これが継電器です。
これを組み合わせて連鎖関係を構築するのです。たとえば下図です。

2_5 

2つの信号機1、2の相互に定位鎖錠(1を反位にすると2は定位に、2を反位にすると1は定位に鎖錠される関係)を設けたいとします。このために2つの継電器A、Bを上図のように組み合わせます。右端は信号機につながっており、電流が右端に到達したときにそれぞれの信号機が進行を現示するものとします。
信号てこに相当するスイッチが設けられており、上図のように回路が遮断されている状態を定位とします。この状態では電流は信号機に到達できませんので、信号機はいずれも停止を現示しています。

ここで信号機1のてこを反位にしてみます。

3

すると継電器Aのコイルに電流が流れ、継電器A内の接点が遮断されます。
コイルを通った電流は継電器B内の接点を通過して信号機1に達し、信号機1は進行信号を現示します。

さらにこの状態で信号機2のてこを反位にしたとします。信号機2のてこのスイッチが導通して電流が流れますが、継電器A内の接点が遮断されていますので電流は信号機2まで到達できず、信号機2は停止を現示したままです。

逆の場合も同様で、信号機1のてこが定位の状態で信号機2のてこを反位にすると信号機2には進行信号が現示されますが、続いて信号機1のてこを反位にしても信号機1は停止現示のままとなります。

すなわち、信号機1と2の間に連鎖関係を設けることができたことになります。

これはかなり簡単な例で実際にはもっと複雑なのですが、このように継電器を組み合わせることにより信号機と転てつ器または信号機相互間に連鎖関係を設けたシステムを継電連動装置といいます。

継電連動装置の場合は機械連動装置に比べて有利な点がいくつかあります。そのうちの主たるものは保安度の向上と操作性の向上です。
継電連動装置では機械連動装置のような物理的な摩擦・摩耗がなく、温度による伸縮もないためより信頼性が高いシステムです。
また、大きなてこは不要で、小さなスイッチで事足ります。格段のコンパクト化が可能になるわけです。そこでてこを集中したパネルを設け、これに線路配線略図を描くと共にてこを集中し、操作性を向上させています。
また電気的な制御により各種表示灯の設置も可能となり、パネルを見れば信号機の現示も把握できるようになりました。
かくして機械連動では本屋の外に追い出されていた信号扱所は、継電連動では本屋内にパネルが設けられるようになりました。

次に、信号機と現場扱いの転てつ器との連鎖はどうなっているのでしょうか。

継電連動装置の場合でも現場扱いの転てつ器は機械連動と同じく転てつ転換器を使用します。従って信号機との連鎖を設けるためには転てつ器の機械的な動作と信号機の電気的な動作を関連付ける必要があり、このために転てつ転換器に電気鎖錠器というものが設けられています。機械連動における第2種連動機に相当するものです。

概念的には下図のようです。

1

この状態が信号てこ、転てつてことも定位の状態とします。
この状態から転てつ器を反位に転換します。
転てつてこを転換する前に踏釦を踏みます。

2

すると電気鎖錠器内の電磁石が動作して、転てつてこの転換を邪魔していた鎖錠片が解除され、転てつてこの転換が可能になります。

3

転てつてこを転換すると電気鎖錠器内のスイッチが動作して回路を遮断します。
従って、仮にこの状態で信号てこを転換しても信号機は反位とならず定位のままとなります。
つまり、転てつ器が反位の時は信号機は定位に鎖錠されることになります。

次に、転てつ器が定位の時に信号機を反位にしてみます。

4

信号てこを反位にすると継電器内のスイッチが動作して回路を遮断します。
従って、仮にこの状態で転てつてこを転換しようとして踏釦を踏んでも、電気鎖錠器内の電磁石は動作せず鎖錠片が転てつてこの転換を邪魔したままとなりますので、転てつてこは転換できません。
つまり、信号機が反位の時は転てつ器は定位に鎖錠されることになります。

以上のような構成で信号機と現場扱いの転てつ器間に定位鎖錠の関係を持たせています。

現物は以下のようです。

1979081010
越後線弥彦駅です。転てつてこの下の箱状のものが電気鎖錠器です。

電気鎖錠器を設けた転てつ器は連動図では、以下のような記号で表されています。

Photo_7

転てつてこが黒く塗りつぶされた記号です。
東赤谷駅の場合は21と22号転てつ器に電気鎖錠器が設けられています。

次に信号機の記号について説明します。

機械式(腕木式)の信号機の場合は連動図では以下のように表示されていました。

Photo_2

一見してそれとわかる記号です。

色灯式の記号はちょっと複雑です。一つは現示の種類を表現するため、もうひとつは制御j方法を表現するためです。

まず現示の種類ですが、下図の方法で表現します。

Photo_4

停止は必ず現示しますので、これ以外の現示を上図の組み合わせで表現します。

次に制御方法ですが、
1)信号てこによってのみ制御される信号機
  =手動の信号機
2)信号てこと、連続しない軌道回路の両方によって制御される信号機
  =半自動の信号機(保留)
3)信号てこと、連続する軌道回路の両方によって制御される信号機
  =半自動の信号機(非保留)
4)軌道回路よってのみ制御される信号機
  =自動の信号機
の4種類を下図の方法で区分します。

Photo_5

半自動(保留)は、列車が軌道回路に進入することにより停止を現示すると、この列車が軌道回路を抜けても改めて信号てこを取り扱わない限り停止現示を継続しますが、半自動(非保留)は自動的に現示がアップします。

これらを組み合わせるわけです。たとえば、

Photo_6

左から、
・手動で、停止と進行を現示する信号機
・半自動(保留)で、停止と進行と注意を現示する信号機
・半自動(非保留)で、停止と進行と注意と警戒を現示する信号機
・自動で、停止と進行と注意と警戒と減速を現示する信号機
となります。

停止と進行とか停止と注意しか現示しない信号機は2灯あれば十分ですが、実際には3灯の信号機が使用される場合が多いようです。使用しないところに電球が入っているかどうかはわかりませんが。
また、5灯の信号機だから5現示、とも限りません。停止・減速・警戒・進行の4現示でも5灯の信号機になります。
つまり信号機の灯数だけでは現示の種類は判断できないということですね。

次回に続きます。

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コメント

お久しぶりでございます。閉塞方式や鎖錠についての説明は、どこのサイトや博物館よりも詳しい故、いつも興味深く拝見しております。

突然ですが、半自動(保留・非保留)と自動信号機についてのちがいがわかりません。たとえば半自動(非保留)が駅の出発信号機だとした場合、駅を出た列車によって信号は停止現示になったあと、係員の手を介すことなく、次の閉塞区間に列車が進出すると現示が上がる(例えば注意現示)ということなのだと思うのですが、そうなると自動信号機と動作は全く変わらないのではないか、という疑問が1つ。

また、例えば福知山線三田駅を例に取りますと、三田駅は出発信号機が半自動(保留)なのですが、この駅にはその時代特急まつかぜという通過列車が設定されておりました。
半自動信号機は軌道回路に進入すると(ここでは5OTないし5CTだと思いますが)自動的に停止現示に切り替わるということですが、係員は駅に列車が近づき自動的に出発信号機が停止現示になったあと、列車が入線(というよりも通過信号機の設置された地点=場内信号機)するまでに急いで信号を進行現示に切り替える。というなんとも厄介な行為を行っていた、という事なのでしょうか?

最後に、配線略図に記載される記号についてなのですが、「鐵道法規類抄第十八編工事圖面 信号・建物 図第55号 聯動圖表調製心得附圖(昭和3年7月 達609号)」(http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1650759/610)によると、手動信号機は記号上部を黒く塗りつぶす。
半自動(保留)は右側に線を引き塗りつぶし、(非保留)は右側に線を引くのみと言う事で、自動については特段の記号なし(四分割されている表欄に「手動」「半自動(保留)」「非保留」残り一つ何も記されていないところがおそらく自動でしょうか)なのですが、これはどういう事なのでしょうか。
3位式腕木信号機が現役のようなのでかなり古い文献、と言う事でそれ相応に古い配線略図記号である故の違いという事でしょうか?

長い質問なのですが以上3点、御教示頂けたら幸いです。

 詳細な回答が寄せられると思いますが、その道についての素人から記します。

 疑問1: 自動信号機と動作は同じですが、その上にてこ扱いが可能だという意味だと思います。したがっててこを扱わなければ動作は自動そのものです。

 疑問2: このときは事前にてこを扱って出発を進行としておきます。進行の条件さえ揃えばいつでもてこで可能です。

 疑問3: 自動信号機は柱に小さい○印があります。表欄に何も記入がなくても○がなければ半自動だと思います。


 保留は出発の前方に踏切がある時も採用されます。停車時間が長いとき、出発を停止としておけば踏切道路側は通行可能となります。

 半自動という言葉は混乱の元ですね。「手動併用の自動」でもヘンだし。

km_207さん、お久しぶりです。
すでにC6217さんからご回答をいただいておりますが、若干補足します。

疑問1
C6217さんのご回答の通りですね。半自動の信号機と自動の信号機の大きな違いは、信号てこがあるかないかです(半自動の信号機には信号てこがありますが、自動の信号機には信号てこがありません)。軌道回路によって制御されるという点では両者は同じですので、半自動の信号機でもてこを反位にした状態では自動の信号機と変わりありませんね。ただし半自動の信号機では信号てこを定位にすれば防護する区間の軌道回路に列車や車両がいなくても停止を現示させることが可能ですが、自動の信号機ではてこがありませんので列車や車両がいない状態では停止信号を現示させることはできません。

疑問2
ひょっとしたら勘違いをされているのかも。
たとえば尼崎方の軌道回路5OT・5CTによって制御される信号機は3番線及び2番線から尼崎方への出発信号機5及び6です。1番線から福知山方への出発信号機7は5OT・5CTでは制御されません。出発信号機7を制御する軌道回路は福知山方の7OT・7CTです。ですので「まつかぜ」が5OT・5CTに進入しても出発信号機7は停止を現示することはありません。ご質問はそういうことではない・・・のでしょうか?

疑問3
これはちょっと難しいですね(汗)。直感的には、何も書かれていない表欄は、「自動」というよりは「基本形」を表しているように思えるのですが。つまりこれを基本のカタチとして、上部を黒く塗りつぶすと手動、右側に線を引いて塗りつぶすと半自動(保留)を示す・・・、といったような意味合いではないかと思うのですが。ただし、「じゃあ自動は?」というとよくわからないですね。一番左側の列に「場内 閉塞 ○護 出発」と書かれており、「閉塞」信号機は自動の信号機のハズですので。(「○護」というのもよくわかりませんが・・・。)

C6217様、f54560zg様、詳細な解説ありがとうございます。

((そもそも論として半自動、手動信号機には信号テコが存在し、進路が開通していてもテコを動かさない限りは信号の現示変化はなく、自動信号機では進路が開通されると自動で進行現示になるという認識で正解でしょうか))

質問1についてですが、軌道回路に制御されつつ、係員の手を介しても操作可能なのが半自動信号機なわけですね。
例えば三田駅の信号7において進行信号を現示する各条件をクリアし進行現示にした後にでも、テコ操作により停止現示に切り替える事が可能。また、軌道回路7OT,7CTに列車を検知した場合に、テコ操作に関係なく自動的に停止現示へと切り替わり、この信号機は半自動(保留)ですので、以降に係員が再び信号テコを取り扱わない限りは停止現示のままになるという事ですね。
これは認識が間違えていたら恐縮なのですが、もし仮にこの信号機が半自動(非保留)の場合、軌道回路7OT,7CTを短絡した列車が5OT・5CTを踏めば、信号7は再び自動で進行現示になる……という事でしょうか?
そして、仮にこの信号機が手動だった場合、もしも列車が7OT,7CTを踏んでも信号が赤になる訳ではないという事……ですよね?上り場内を進行信号にする条件に分岐器51を定位に、とありますから、そもそも分岐器51を反位にしなければならない信号7の開通条件とは噛み合わないのですが、そうなるとそもそもなんでこの方式の信号機があるのか、と。C6217様の仰るような踏切対応の使い方もあるのでしょうが、手動信号機でも衝突対策のためにしっかりと鎖錠条件があるわけで……連査閉塞特有の装備、という事ですかね?

質問2ですが、これは完全に誤解しておりました。発駅出発信号機、着駅場内信号機をその間の軌道回路で制御するわけですね。閉塞テコと信号制御の欄にしっかりと記されておりました……恐縮でございます……

質問3
基本形、ですか。
なるほどよく見ると該当の表の下に「自動信号」と書かれた欄がありました……
ただしこれに関しても腕木を縦にしたような記号が円内に記された、あまり見かけない記号ですので、現在のような記号に変化する際に「これじゃどういう信号かわからないから○記号をつけよう」ということになったのかも知れません。
さらにその下に自動信号に似た◎の付いた記号がありますが、それは「徐行許容標附」とのこと。あまり聞きなれませんが停止すると再発進が難しいような勾配区間などで停止現示でも15㌔以下なら走行しても良いという標識がついた信号機のようです。信号機の拘束信頼性を著しく下げるゆえになるだけ設置しないようにされたらしいですが……
今でも使われているなら、当該信号機が自動信号機のときには○と◎が並んで記されているのでしょうかね、どうなんでしょう。

○護は掩護のようです。遮断機もなく踏切掛も居ない踏切や可動橋などで閉塞区間や駅防護区間とは別に、列車に対して防護を与えなければならない際に使われたんだとか。
臨港支線で可動橋の多かった国鉄期には多少はあったのでしょうが……今はもう無さそうですね、聞いたこともありません。


質問1に関して少々疑問が残りますので、重ね重ねで申し訳ないのですがお教え願えませんでしょうか、よろしくお願いします。

そもそも論のところで「テコを動かす」とありますが、「テコを反位」にするという事です。誤解を招きかねないので訂正させて頂きます。
また、反位にさえしておけば進路が構成されれば進行現示に、列車が来たら自動で反位になるということだと思うのですが、そうなると必然的に、この信号テコは条件を満たさなくとも反位にすることは可能(信号は停止現示)ということですかね……考えるほど謎が深まります……

km_207様
お初にお目にかかります。
僭越ながらコメント申し上げます。

>質問1
>もし仮にこの信号機が半自動(非保留)の場合、軌道回路7OT,7CTを短絡した列車が5OT・5CTを踏めば、信号7は再び自動で進行現示に

そもそも非自動区間には非保留の半自動信号機はありません。
仮に、出発信号機のてこを反位のまま列車が出発信号機の防護区間(三田駅7号出発信号機の防護区間は広野駅下り場内信号機まで)を出たら自動で進行信号現示が出るようなしくみにすると、もし駅長等が信号てこの復位を失念した場合、駅間の閉そくを確保せずに出発信号機に進行信号現示を出すことになり危険です。


>自動信号機の○印
もともとは「自動識別標識」ー現在では「閉そく番号標」とかいろいろの名称で呼ばれていますが、要は信号機の傍らに番号を書いた看板を付けて第何閉そく信号機かを示す標識ーをシンボル化したものです。

>そもそも論
ご認識は正しいかと存じます。
信号機を手動で反位にし、自動で復位するものを半自動。
反位にするのも復位するのも手動なものを手動といいます。
列車の駅への進入や進出には駅長等の意思が介在するので、場内信号機や出発信号機には、てこのない自動信号機は用いません。

前投稿を訂正します。

誤:そもそも非自動区間には
正:そもそも三田駅のような二位式の信号機には

km_207さん

>そもそも論
→ちょっと荒っぽいですが、自動の信号機は進路に転てつ器のない閉そく信号機、半自動や手動の信号機は進路に転てつ器のある出発信号機や場内信号機に使用されると考えてよろしいかと思います。
半自動の信号機の場合、進路上の関係転てつ器が正当方向に開通していなければてこを反位にすることはできません(総括制御を除けば)。また、列車が進入すれば軌道回路によって停止現示にはなりますが、てこ自体は反位のままです。定位には復位されません。

>質問1・・・7OT,7CTを短絡した列車が5OT・5CTを踏めば、信号7は再び自動で進行現示になる
→これは上り列車のことを指しているのでしょうか?

>そうなるとそもそもなんでこの方式の信号機があるのか
→「この方式」とは何を指しているのでしょうか?

スミマセン、もう少し詳しく教えて下さい。

 てこは信号機の進路に転轍機がある場合に設けられる・・・・は正論ですが例外もあります。
 山陽本線の入野駅は複線区間の棒駅ですが、上下とも場内と出発があって4基の信号機を扱うてこがありました。
 てこを定位とするのは緊急時の列車停止手配のときだけで、あとは反位のままで触ることはありませんでした。
 現在はすべて閉塞信号機となり駅員無配置の駅となっています。

 2現示の信号機にも3つ玉のカバーが使用されるのは珍しくありません。中央はレンズがなく蓋をされています。単なる備品の標準化と受け止めていましたが、真相は何でしょう?

てつ様、ありがとうございます。設置されることがありえない状況下でのシチュエーションだった訳ですね。
閉塞標識を識別化したものだとは知りませんでした。ご教示ありがとうございます。

f54560zg様
>質問1
そうですね。上り列車の事です。どうやったらそうなるかはわかりませんが、広野〜三田において上り列車が在線しているのにも関わらず、7号出発信号機が進行現示だとしても、7OT,7CTに列車を検知すれば自動的に停止現示となる、この時点で信号テコは反位です。そしてこれはありえないシチュエーションだったようですが、非保留だった場合に上り列車が三田駅を出たことが確認される=5OT,5CTを踏むと、「上り列車の三田駅からのチェックアウト」と認識されて信号機が進行現示に戻るのか、という疑問でした。
しかしながら二位式には半自動(非保留)がないということと、7号信号機は7OT,7CTにしか制御されないようですのでありえない設定のようです。

半自動(非保留)がやはり今一度よくわかりませんので、三田駅ということではなく改めて質問をさせていただきたいのですが、
仮に1番線、2番線から同方向に出発可能な駅があったとして、1番線が進行現示になったとします。しかし、(ここの具体的な状況はよくわかりませんが)2番線の列車が先発で、2番線を出た列車が1番線出発信号機の防護区間に入ったら自動的に1番線出発信号機は停止現示となり(ここまで半自動の動作だと思っております)、保留ならば誰かが何らかの操作をしない限り1番線出発信号機は停止のまま。
しかし、非保留だった場合には2番線を出た列車が1番線出発信号機の防護区間を抜けて、次の閉塞区間に移ると勝手に停止よりも上位の現示(閉塞信号機のような動作)になるということで良いのでしょうか。

そしてもうひとつ疑問なのが、この「勝手に停止現示を示す」という動作。これが緊急時の保安システムとして成立(先の例なら、本来1番線が進行現示を示せば2番線は停止現示のはずなのに、何らかのミス、あるいは故障によって2番線も進行現示となり列車が進出してしまった。その際に衝突事故を起こさないためのバックアップとして勝手に停止に切り替わるようになっている)しているのか、日常的に(例えば脱線転轍機は列車が来たり出たりする度に反位になったり定位になったり動く。これ自体は保安のためなのには変わりないけれど、異常時に作動するのではなく、日常的な保安システムとしていつも動く)勝手に停止現示を示すような光景が見られた、ということなのでしょうか?
現物が見られない今、そのあたりの実感がわかりません。

>この方式
これは、半自動(保留)の事です。比較対象は手動です。

仮に三田駅の信号機が全て手動だとしても、各信号機はあらゆる分岐器や信号機と連動機を介して繋がっていて、事故は起こらないように安全は確保されていると思います。
しかし、三田駅の5,6,7,8号出発信号機、あとそれに対応する通過信号機は半自動(保留)となっています。
手動でも十分に安全は確保されていると思うのですが、わざわざ半自動にする理由は何なのでしょうか。
システム導入にお金も技術も時間もかかるでしょうし、それに見合う対価は、私には「より一層の保安度の向上」位しか思いつきません。手動のどこかに欠陥があって、なにか事故が起こってしまった故の改良版、という事でしょうか。

またあるいは、三田駅の記事のところで「連査閉塞……結果、半自動の……」という記述をなさっておりましたので、半自動信号機は連査閉塞特有の装備出会って、連査閉塞のなにかの欠点を補うためにわざわざ保安度が高くなる信号機なのかな?と、よくわからなくなった次第です。

質問に不備があり申し訳ありませんでした。

km_207さん、

>上り列車在線で7号出発信号機が進行現示
そうですね、このような事態が発生したとしたらとんでもないことですね。運輸安全委員会が出動してきますね(笑)。
ここでは機器は正常に動作し、運転側の人為ミスもない場合に限らさせて下さい。

>1番線が進行現示で2番線から列車が出発
これも上記と同様ですね。絶対にあり得ないこととは言い切れませんが、それはちょっと次元の違う話になってしまいますので、この場では考えないこととしましょう。

>勝手に停止現示を示す
これは今でも日常ごく普通に見られる、列車が信号機の脇を通過すると信号機が(勝手に)停止現示に変わる、という動作と同じものです。
緊急時を想定したものではありません。
三田駅の場合は出発信号機7と軌道回路7CT・7OTがちょっと離れていますので、信号機の脇を通過してから信号機が停止現示になるまでに少し時間がかかりますが。

>半自動(保留)と手動
連査閉そく式である福知山線の三田駅の出発信号機が手動ではなく半自動なのは、直接的には国鉄の規定に定められていたためです。
----------
運転保安設備基準規定
第2章閉そく装置
第2節閉そく装置
第3款連査閉そく装置
第21条
「連査閉そく装置を設ける停車場の出発信号機は、次の各号に掲げる条件を備える装置のものとする。
(1)(省略)
(2)閉そく区間に列車のある時は、自動作用により停止信号を現示すること。
(3)(省略)」
----------
この規定が定められた理由まではわかりませんが、想像するに、列車が出発したにもかかわらず駅の信号掛さんが出発信号機を復位するのを忘れてしまうと、後続列車がそのまま出発してしまう恐れがあるからではないでしょうか。
通票閉そく式であればたとえ出発信号機が進行であっても通票を受け取らない限り列車は出発できませんが、連査閉そく式の場合は通票がありませんので、そのまま出発してしまうことを防止する必要があったのではないかと思うのですが。

但し、連査閉そく式の場合は必ず半自動信号機(保留)が使用されるのですが、半自動信号機(保留)が使用されるのは連査閉そく式だけではありません。通票閉そく式でも半自動信号機(保留)は使用されます。
たとえば小国や会津川口や松尾寺など、たくさん事例があります。
つまり通票閉そく式では手動の信号機が用いられる場合と半自動(保留)の信号機が用いられる場合とがあるわけで、その使い分けの理由はよくわかりません。まあ、自動的に停止現示になったほうが何となくより安全なような気はしますが・・・。

 「援護」信号機について。
 大阪地区の東海道本線の電車駅は閉塞区間の中間にあるので場内も出発もありません。昔のことですが、緊急時にこの信号機を停止とする機構がありました。
 名称も記憶になく、信号機名は閉塞のままでした。援護の意味が判りませんのでこのシステムのことかと疑問を持っています。

 ◎の徐行許容標識は実物を見ています。紫の灯が点灯のままでした。つまり一旦停止せずにそのまま無閉塞運転に移行できた訳です。

 腕木式信号機が列車進入により自動的に停止となった場合、信号所のてこは戻らないと思います。その後のてこの扱いはどうなっているのでしょう。

国鉄の「信号設備施設基準規程」では、信号機の定義について、軌道回路による現示の制御と、取扱者(駅長又は信号掛等)による操作の組合せにより、以下のように定義しています。

1.信号機の防護区域に連続して軌道回路がある
2.信号現示が列車又は車両によって自動的に制御
3.取扱者が操作できない
→「自動の信号機」

1.信号機の防護区域に連続して軌道回路がある
2.信号現示が列車又は車両によって自動的に制御
3.取扱者も操作できる信号機
→「半自動の信号機」

1.進行を指示する信号現示が、その信号機の進路の一部に設けられた軌道回路に列車又は車両が進入したことにより自動的に停止信号現示となるもの
2.取扱者も操作できる信号機
→「半自動に準ずる信号機」

1.取扱者が操作する信号機
→「手動の信号機」


また、復位失念(列車通過後に定位に戻すべき信号てこを戻し忘れること)防止という視点から、
1.信号てこを引き直さなければ再び信号現示が出ないものを「保留現示の信号機」
2.そうでないものを「非保留現示の信号機」
と定義しています。

分類する目的が異なるので、整理して考えてみると理解しやすいのかなと思います。

>km_207さん
>f54560zgさん
f54560zgさんご推察の通り、また前回の私の書き込みの通り、もし連査閉そく式施行区間で出発信号機が手動の場合、出発信号機を定位に戻し忘れた状態で続行列車がやってきた場合、1閉そく1列車の原則を侵す「閉そく違反」という運転事故、さらには列車追突事故を引き起こす危険があるためです。
したがって、連動閉そく式・連査閉そく式の区間の場内・出発信号機は「半自動の信号機」または「半自動に準ずる信号機」とするものと「信号設備施設基準規程」第27条第2項に定められています。


>f54560zgさん
>通票閉そく式では手動の信号機が用いられる場合と半自動(保留)の信号機が用いられる場合とがある
昭和40年の「信号設備施設基準規程」の制定以降、通票閉そく式など自動・連動・連査以外の閉そく方式の区間では原則として「半自動に準ずる信号機」を設備するものとされています。
ただし、線路等級が「丙線」または「簡易線」で、上下本線を分岐する転てつ器に発条転てつ機を使用した停車場の場内・出発信号機は手動の信号機とすることができます(「信号設備施設基準規程」第27条第3項)。
要するに運転本数がごく少ない閑散線区まで全部半自動に準ずる信号機にする必要はないと考えられたための「ただし書き」です。

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「信号設備施設基準規程」第27条抜粋
http://s1.gazo.cc/up/168782.jpg
----------

一例を挙げれば、国鉄木原線(現:いすみ鉄道)国吉駅の配線図です。
----------
国鉄木原線配線図(昭和49年10月)抜粋
http://s1.gazo.cc/up/168783.jpg
----------

木原線は通票閉そく式の簡易線で、上下本線を分岐する転てつ器に発条転てつ機を使用しているので、場内・出発とも半自動ではなく手動の信号機のシンボルとなっています。
ご例示の会津川口や小国、松尾寺は、上下本線を分岐する転てつ器が発条転てつ機ではないのでただし書きの適用外となり、半自動に準ずる信号機となっています。

>C6217さん
掩護信号機については、以前のf54560zgさんのご説明の通りのものです。
なお、昭和22年の「鉄道信号設備心得」の制定のタイミングで、国鉄での「掩護信号機」という区分は廃止されています。
これは、掩護信号機を設けた可動橋や平面交差等のある個所は停車場(信号場)とすることとされたためです。

>2現示の信号機にも3つ玉のカバーが使用
国鉄の物品規格「JRS(日本国有鉄道規格)」には、緑と赤の2灯しか現示しない信号機でも、本体(「信号機構」といいます)は3現示のものを使用することとされています。
----------
「JRS 22312-1H-14AR5C(多灯形色灯信号機)」抜粋
http://s1.gazo.cc/up/168789.jpg
----------
ご推察の通り、機構の種類を減らすことで、製品調達の効率化を図るためです。

長文失礼いたしました。

C6217さん、
>その後のてこの扱い
列車が軌道回路を通過したのち、適当なタイミングで信号てこを定位に戻します。
この扱いは半自動(非保留)でも手動でも同じですね。

てつさん
「信号設備施設基準規程」の情報ありがとうございます。
「自動・連動・連査以外の閉そく方式の区間では原則として半自動に準ずる信号機を設備」
という内容については知りませんでしたが(汗)。

ただ現実的には(過渡期なのかもしれませんが)、1980年頃ではローカル線はもちろんのこと、そこそこ主要な幹線でも手動の信号機が結構使われていましたね。
たとえばこのブログでご紹介した停車場では関西線の伊賀上野、紀勢線の鵜殿・熊野市などです(多分松阪や多気もそうだと思います)。

また、信号機の半自動化は継電化のタイミングに合わせて行われるのではないかと勝手に思っていたのですが、たとえば只見線を例に出すと、
・会津宮下=第2種機械丙
・会津川口=第2種継電乙
・只見=第2種継電丙
・大白川=第2種継電丙
といった感じで、必ずしも継電化とは関係がないようなのが面白いですね。

あけましておめでとうございます

>f54560zg様
>てつ様
ありがとうございます。疑念がすべて解決致しました。

鉄道規格はJIS準拠だと思っていたのですが、JRSというものがあったのですね。さすが国営鉄道というべきでしょうか、分割民営化よりもさらに何年も後に産まれた自分にはあまり理解し易い例や企業が既になく、半ば過去の伝説の様に感じます。
日本鉄道電気技術協会の会員になればJRSが閲覧できるようですが、サイトに飛ぶと他にも興味深いことが沢山あって本気で会員になろうかと思ったり…
鉄道マニアの中で、特に設備や配線を好む人口はそんなに多くないようですが、そんな中でそれに特化したものがあれば嬉しいものですね。

今年も楽しく記事を拝ませていただくつもりです。本年もよろしくお願い致します。

km_207さん、若い方にとっては昔の設備は「???」ですよね(笑)。
こちらこそよろしくお願いします。

おひさしぶりです。

この度は「信号機の自動化」について聞きたいのですが、自動化、というのはすなわち腕木信号機から色灯信号機に転換された、という事ですよね?

もちろん連査閉塞でも色灯信号機はあった(昔の山田線など)と思いますけど、自動信号機ならば腕木ではないという事は言えるんですよね……?


「自動信号機ならば色灯信号機」は○
「色灯信号機ならば自動信号機」は×

そして、「自動化される」という文言は閉塞方式が少なくとも連査閉塞ではない(自動閉塞か特殊自動閉塞かは不明)という認識……でいいんでしょうか?

km_207さん、お久しぶりです。

私の知る限りの話になりますが、一般的に「自動化」という表現は閉そく方式について使われ、信号機についてはあまり使われないような気がします。まあ、そうは言いましても、自動閉そく化されれば結果として信号機は自動の信号機化されることになると思いますので、そのように解釈すれば

>「自動信号機ならば色灯信号機」は○
>「色灯信号機ならば自動信号機」は×

は正しいと思います。
但し一般的には前述の通り

>「自動閉そくならば色灯信号機」は○
>「色灯信号機ならば自動閉そく」は×

という表現になると思います。

おっしゃる通り連査閉そく式は「自動化されていない閉そく方式=非自動閉そく」のひとつです。但し非自動閉そくには連査閉塞式だけでなく通票閉そく式や連動閉そく式などがあります。

灯火式の自動識別標識ですが
どうも現在も生き残りがあるようですね。

Twitterで見かけましたがこのようなものだそうです。
https://twitter.com/OPS_cityrabbit/status/866305792399388672
https://twitter.com/765pro_union/status/881161366077292544

おそらく列車からのヘッドライトのビームも
届かないような場所なので
旧来の設備を引き続き利用している、
といったところでしょう。

伊26さん
情報ありがとうございます。なかなかレトロな感じですね。

色灯信号機における自動・半自動・半自動に準ずる信号機(保留)・手動の区分は本記事で
理解できたのですが、
腕木式信号機における保留現示の場合、連動図表にその旨の記述・記号はあったのでしょうか。

伊26 さま

あります。

『解り易い連動図表の解説』(原英雄・著 運転保安会 昭和33年初版)
この本は、連動図表調製心得(昭和27.6.9 総裁達第306号)に基づいて解説しているものですが、本文に記号の解説が載っています。腕木式信号機の部分を抜粋します。

24ページ
第4章 連動図に必要な記号
第1節 信号機、入換標識の記号
(2) 腕木式信号機
 腕木式信号機は腕木の形状をそのまま記号としているから場内、出発信号機は同一である。遠方信号機は矢筈型、通過信号機は撥型としている。遠方、通過信号機の多くは双線式と云って引線、帰線の2本の鉄索が使用されているものがある。これを現すには腕木の型の中で中央に2本の縦線を入れる。機械単灯型色灯式信号機であれば信号柱に2本横線を入れる。又腕木式信号機を電動で動作させるものはその尖端を黒く塗りつぶすことにしている。以上のことを表で現わすと第14図のようになる。

*****

本文は、ここで終わっていますが、第14図を見ると、場内、出発信号機には「手動」と「半自動に準ずるもの(保留)」も欄が分けてあります。それを、上記の本文にならって書けば、
「半自動に準ずるもの(保留)型では腕木の根元を黒く塗りつぶす」になろうかと思います。
例えば、電気式の腕木式信号機で半自動に準ずるもの(保留)では、腕木の部分が「黒白黒」に塗り分けられます。

なお、「信号設備施設基準規程」(昭和50.12.5 電情達第3号)では、そもそも腕木式信号機の規定がありません。

NZさん
詳細な解説ありがとうございます。

伊26さん
保留現示の腕木式信号機はなかなか例が少ないですよね。軌道回路による信号制御を行う場合はほとんど色灯化されてしまいますので。
拙ブログの福知山線三田駅、石生駅の記事に連動図表を掲載してあります。

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