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2009年1月 8日 (木)

脇道5(第2種機械乙)

 三番目の例となる駅は福知山線三田駅です。

Photo

 

この駅は、転てつ器は現場扱い、信号機は腕木式で、この点では最初に例示した駅と似ているのですが、大きく異なる点がひとつ。
それは、閉そく方式として連査閉そく式が採用されており、それに対応した設備になっているということです。

連査閉そく式というのは、閉そく区間内の列車の有無を自動的に検知することにより通票なしで閉そくを行なうもので、なおかつこれを低コストで実現しようとするものです。

連査閉そく式特有の設備とは、具体的には、
1)場内信号機付近に短小軌道回路が設けられていること。
 ・・・駅間すべてに軌道回路を設ける(すなわち自動閉そく式
   または連動閉そく式)のに比べコストが低減できます。
   但し保安度は落ちますが。
2)この短小軌道回路が車両により短絡されると出発信号機が
 自動的に停止現示となり、再度閉そくの取り扱いを
 行なわない限り停止信号を現示し続けること。
3)閉そくを行なうための閉そくてこなどが設けられており、
 閉そくの取り扱いを行なわないと出発信号機に進行を現示
 できないようになっている。
といったところでしょうか。

今まで例として挙げた駅では、連動は信号機と転てつ器または信号機同士までの範囲であり、閉そく装置との間にはなんら連鎖関係が存在しませんでした。
極端な話、閉そくの取り扱いを行なわなくても出発信号機に進行信号を現示できてしまうわけで、運転士がぼんやりしていたら正面衝突の恐れもあります。
連査閉そくはこの点が改良されており、信号機と閉そく装置の間にも連鎖が設けられているのです。

駅本屋内には配線図が描かれたパネルや閉そくてこ、相手駅との連絡用の電話や送信ボタンなどが設けられた連査閉そく器が置かれています。これを操作して三田駅から隣の広野駅方面に向けて下り列車を出発させる時の大まかな手順は以下のようになります。
1)三田駅から広野駅に向けて送信ボタンを押す。
2)送信ボタンが押されている間は広野駅の閉そくてこ11Lが解錠
 されるので、広野駅では閉そくてこ11Lを転換する。
3)広野駅の閉そくてこ11Lが転換されると三田駅の閉そくてこ13L
 が解錠されるので、これを転換する。
4)13Lが転換された状態で三田駅で出発信号機7Lを反位にする
 と7Lは進行信号を現示する。
列車を出発させる側と列車を受ける側との共同作業ですね。
通票閉そく式でも通票を取り出すためには両駅の共同作業が必要になる点は同じですが、通票を取り出す作業と出発信号機のてこを反位にする作業の間には何ら関係がないことは先に書いたとおりです。

それでは連動表を見てみましょう。

Photo_2

各信号機に対する鎖錠欄の転てつ器の番号は今までの例と同様で、その信号機の進路上の転てつ器について定位に鎖錠されるものは番号のみが、反位に鎖錠されるものは番号が○で囲まれて記載されています。

信号機相互の鎖錠については今までの例にはなかった記載があります。
たとえば下り場内信号機2についてみれば、進路を共有する出発信号機6を鎖錠する以外に、広野方の信号機7~10も鎖錠することが記載されています。
これは列車の同時進入・進出を防止するための措置で、今までの例として挙げた駅はたまたまいずれも終端駅だったので出てきませんでした。

たとえば場内信号機2により下り列車が上下待避線に進入するのと同時に上り列車が場内信号機10により上り本線に進入していたとします。もし、下り列車がブレーキの操作を誤ってオーバーラン(過走)すると、対向する上り列車と転てつ器51付近で衝突してしまいます。
下り列車が上下待避線に進入するのと同時に下り本線から下り列車が出発する場合も同様です。
これを防止するため、以下のいずれかの条件を満たさない場合は列車の同時進入・進出を禁止しています。
1)安全側線を設ける。
2)場内信号機に警戒信号を現示する。
3)出発信号機の先に150m以上の余裕距離を設ける。

三田駅の場合はこれらのいずれにも該当しないため、同時進入・進出ができないよう信号機相互に鎖錠を設けています。
場内信号機2についてみれば、
下り本線からの下り列車の出発:出発信号機7
上り列車の上り本線への進入:場内信号機10
を定位に鎖錠します。
また、副本線の通過は禁止されていますので、
上下待避線からの下り列車の出発:出発信号機8
当然のことながら、上り列車の上下待避線への進入:場内信号機9
も定位に鎖錠します。

以上より場内信号機2によって信号機6~10を鎖錠する必要があるわけです。

他の信号機についても同様です。

(つづく)

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