脇道6(信号制御)
三田駅の続きです。
その前に訂正がひとつあります。
昨日の記事で、
>場内信号機2についてみれば、
>副本線の通過は禁止されていますので、
>上下待避線からの下り列車の出発:出発信号機8
>も定位に鎖錠します。
と書きました。
その後、他の駅の連動表を調べてみたのですが、どうも三田駅特有の論理みたいです。
たとえば同じ福知山線の石生駅。
下り列車に対する上下待避線への場内信号機3の鎖錠欄には上下待避線からの下り出発信号機6の番号は記載されていません。他の駅でも同様であり、三田駅のような信号機間の連鎖は設けないのが普通のようです。
そう思って再度三田駅の連動表を見直すと他にもおかしなものを発見。
場内信号機3の鎖錠欄に出発信号機6が、逆に出発信号機6の鎖錠欄には場内信号機3の番号が記載されていますが、これらは進路を共有していません。
信号機3を反位にするためには転てつ器23を定位にしなければなりませんが、転てつ器23が定位では信号機6を反位にはできませんから、わざわざ連動表に記載するまでもなく信号機3を反位にしたときは信号機6は定位に鎖錠されます。つまり余分なことが記載されているということですね。
話が脱線しましたので元に戻します。
通過信号機をみてみましょう。これも終端駅には登場しなかったものですね。
下り通過信号機4の鎖錠欄には下り本線への場内信号機3と下り本線からの出発信号機をいずれも反位に鎖錠するよう記載されています。つまり、通過信号機に通過の現示を出すためには、まず先に場内信号機と出発信号機に進行を現示してから、ということです。
連動表には遠方信号機も記載されていますが、遠方信号機のてこはありません。
三田駅の下り遠方信号機は電気の単灯のようですが(見たかった!)、場内信号機2と3のいずれかが進行であれば進行を、いずれも停止であれば注意をただ単純に現示するだけです。おそらく信号機2と3のてこ付近に電気的な接点があるのかと思います。
昔は遠方信号機も腕木式で、遠方信号機用のてこも存在して駅からワイヤーで操作されていました。しかし遠方信号機は場内信号機の外方400m以上もの距離を隔てて建植せねばならず、操作するにも力がいるし、ワイヤーが長い分気温による伸縮の影響も大きく、操作性・信頼性が低いものでした。従って場内信号機や出発信号機は腕木式のままで残しても遠方信号機だけは真っ先に色灯化されたようで、私も腕木式の遠方信号機は見たことがありません。
再度連動表に戻ります。鎖錠欄の右隣に今まではなかった新しい欄があります。「信号制御」と書かれています。
この欄には、それぞれの信号機を制御する軌道回路名が記載されます。つまり、記載された軌道回路に列車や車両が進入するとその信号機は停止を現示する、ということです。
今まで例に挙げた駅の信号機は信号てこによってのみ制御される信号機でしたが、「信号制御」欄に軌道回路名が記載された信号機は軌道回路によっても制御されます。
軌道回路により制御される信号機は閉そく区間への進入の可否を示す信号機に限られますから、出発信号機とこれに従属する通過信号機が対象で、場内信号機は対象外です。駅構内の閉そくは通票閉そく式などと同様、駅長が目視確認するわけです。
軌道回路は2つ設けられており、OT、CTの名が示すとおり、開電路(Open、通常は回路が開放されているところを車軸により回路を構成するもの)と閉電路(Close、通常は回路が構成されているところを車軸が短絡するもの)から成り立っています。軌道回路を2つ設けた理由は誤検知防止が目的のようで、列車の進行方向を検知する機能は持っていないようです。
下り列車に対する出発信号機7、8は広野方に設けられた軌道回路7CT及び7OTに列車が進入すると自動的に停止現示となり、同様に上りの出発信号機5、6は軌道回路5CT及び5OTに列車が進入すると自動的に停止現示となります。
色灯式の信号機が列車によって自動的に赤に変わるのは見慣れていますが、腕木が自動的に水平に戻るのはちょっと奇異ですね。停止現示に戻るタイミングも、信号機の直下を通過した時点ではなく、列車がだいぶ先まで進まないと変わりません。また、列車がそれぞれの軌道回路を抜けても信号機は停止現示を継続します。
閉そくてこについてはまた次の記事で・・・・
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