脇道3(第2種機械丙)
dさて、やっと信号機と転てつ器、もしくは信号機同士に連鎖関係を持たせるための具体的手段についての説明に入ります。
先に述べましたとおり、信号機2と転てつ器21の間には、
・転てつ器21が定位でなければ信号機2は反位にできない。
・信号機2を反位にしたならば転てつ器21は定位に鎖錠される。
という機械的な関係づけがされています。
これらは、単純化すれば下図のようなメカで実現されています。
いたって単純なメカです。
一番上の図が、信号機2、転てつ器21ともに定位の状態です。
この状態から転てつ器21を反位に転換したのが真ん中の図です。
この状態では切り欠きが引っかかって信号機2を反位に転換できません。
逆に、一番上の状態(2、21ともに定位)から信号機2を反位にしたのが一番下の図です。
この状態では転てつ器21は反位に転換できません(すなわち定位に鎖錠されます)。
こういったものを組み合わせて関係付けを行なっています。
これを連動機といいますが、連動図では、
の下の、長方形に十文字のような記号が連動機を表しています。
「甲ニ」というのは信号機2本、「甲三」というのは信号機3本との関連付けが可能なタイプの連動機であることを意味しています。
正確にはわかりませんが、ひとつの連動機では最大3つの信号機までしか対応できないようで、それ以上の数の信号機と関連付けを行なう必要がある場合は複数の連動機が使用されるようです。
転てつ器21に関係する信号機は全部で5本ですので連動機が2つ並べられています。
現物はこれです。
転てつ器標識の右下に2つ並んだ箱が連動機です。左が甲ニ号、右が甲三号ですね。
転てつ器から写真水平方向に伸びた板状の部材と、合計5本の信号機のワイヤーが直角に交差しています。
フタがされているので中身は見えませんが、大まかには先に示した図のようになっているハズです。
実例をもう少し。
これは会津田島駅です。
最もシンプルな信号機1本だけの連動機です。甲一号ですね。
信号機のワイヤーには雨樋のようなカバーがしてあります。
会津坂下駅です。ちゃんと「甲ニ」と表示されています。
安全に直結する機器ですから、南京錠で厳重に保護されています。
阿仁合駅です。積雪地では信号機のワイヤーが高いところに張られていますので、連動機も高いところに設けられています。
現場扱いの転てつ器と信号機に連鎖関係を持たせるための機械的なしくみ(すなわち連動機)はおおよそ以上のようなものです。これらが転てつ器ごとに設けられているわけです。
例に挙げた駅では、転てつ器21~25のそれぞれに連動機が設けられており、信号機との連動に関係のない転てつ器51には設けられていません。
次に、信号機同士の連鎖はどうなっているのでしょうか。
例に掲げた駅では転てつ器は現場扱いですので、信号てこと転てつてこは場所が離れており、各転てつ器付近に連動機が設けられていました。しかし信号てこは集中して設けられているため、信号機同士の動作の関連付け(連鎖)を行なう機械的なしくみはてこが並んでいるところに設け、てこそのものを鎖錠するのが普通です。
残念ながら私はこのしくみを注意して見たことがなく、写真もありませんのでご紹介はできないのですが、「教科書」によれば、信号てこの背後の床上に設けられているようです。
原理的には信号機と転てつ器間の連動機と同じで、「片方のてこを反位にすると今まで引っ込んでいたブロックが出っ張って他の信号てこの動きを妨害する」といった類のものです。「駒組」と呼ばれます。
例に掲げた駅の連動図表の右上に「てこ配列図」という図が描かれていますが、これは信号機1と3、2と5のそれぞれの信号てこ間に連鎖が設けられていることを表しています。
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